ニュース 2023.10.02. 05:00

慶大の1年生ルーキー・竹内丈、5回0封の好救援でリーグ戦初白星「今後にもつながる、すごく嬉しいです」

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慶大・竹内丈投手[写真=灰原万由]
【東京六大学野球・秋季リーグ戦】
○ 慶大 10 - 4 東大 ●
(1日・神宮)

 慶大の注目ルーキー・竹内丈投手(1年・桐蔭学園)が5回無失点の好リリーフを披露し、リーグ戦初勝利を挙げた。

 最後の打者を二ゴロに打ち取ると、竹内にようやく笑みがこぼれた。3点を返された直後の5回から2番手で登板。初球からストライクを先行させることでカウントを有利に進めると、5イニングをわずか38球で1安打に封じた。デビューから6試合目の登板で、念願のリーグ戦初白星。「長いイニングを投げようと思わずに、1人1人投げていこうという気持ちで掴んだ初勝利。今後にもつながると思いますし、すごく嬉しいです」と白い歯をこぼした。

 多くを得た一戦を経て、成長した姿を見せた。前カード、法大との2回戦では5番手で登板。4−4の同点で迎えた9回には「意識しすぎてしまって、悔しい思いをしました」と桐蔭学園高の1学年先輩にあたる松下に勝ち越し打を浴びるなど、2点を失ってリーグ戦初黒星。それでも指揮官の信頼は変わらず、1勝1敗1分けで迎えた絶対に落とせない4回戦の先発を任されると、3回2/3を1失点ながら自責0に抑える力投を披露。1年生ながらも、この一戦の行方がこの先のシーズンを大きく左右することを理解していたからだろう。劇的な逆転勝利を収めた試合後、右腕の目には大粒の涙があふれ、「あの試合に勝って次につないだことで、次のカード以降も頑張ろうという気持ちが芽生えました」。悔しさ以上の収穫を得た竹内はその経験を見事に生かし、チームに勝ち点をもたらした。

 狭き門として知られている難関のAO入試を突破し、慶大の環境情報学部に合格。「学業と野球の両方を高いレベルでできるのは慶應だなと思った」と塾野球部の門を叩いた。『KEIO』のユニホームに袖を通したかった理由はもう一つ。「高校の先輩である栗林さんがいらっしゃるので、一緒にプレーしたいと思っていた」と明かすと、「そうだよね!よく言った!」とグラウンド上では常にポーカーフェイスを貫く栗林泰三外野手(4年・桐蔭学園)が満面の笑みで大拍手。寮では同じ部屋で過ごしているという、桐蔭学園高出身の先輩後輩コンビ。「僕は彼の普段の頑張りを見ている」と話す栗林は「同じ高校でもあるので、僕としても彼の成長はすごく嬉しいです」とひと回りもふた周りも成長した姿を見せている後輩の活躍を喜んだ。

 お世話になっている先輩と1試合でも長くプレーするため、まだまだ負けられない戦いは続く。次カードに控える明大との首位攻防戦へ「絶対に勝ち点を取りたいので、ワンポイントであったりロングリリーフでもいつでも行けるように準備していきたい」と背番号45。4季ぶりのリーグ優勝へ、どんな状況でも勝利のために全力で腕を振る。

取材・文=灰原万由(はいばら・まゆ)
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