指揮官も「心強い」
回復力でも、メジャーの超大物のプライドを発揮した。DeNAのトレバー・バウアーが11日、横浜スタジアムでライブBPを敢行。98球を投げて安打性の打球が6〜7本、与四死球4の内容で3度目の実戦形式を終えた。
8月30日の阪神戦で当たり損ねのゴロを処理した際に右腸腰筋を痛め、無念の戦線離脱。今季中の復帰には懐疑的な意見も多かった中、「絶対にもう一回ファンの前で投げるんだという気持ち」でリハビリに励んできた。
レギュラーシーズンには間に合わなかったものの、今月1日に横須賀で故障後初のライブBPを行うと、6日には横浜スタジアムで2度目のライブBPに登板。球数を徐々に増やしながら、復調ぶりをアピールした。
投球を見守った三浦大輔監督は「ベース板でのボールの強さ、変化球の曲がり方やキレ。打者の反応を見ていても戻ってきたなと感じています。本人も“一軍メンバーの反応が見たい”と言っていて、今日は牧秀悟や伊藤光といったメンバーと対戦できたことは収穫だと思います」と高評価。
続けて「前回よりも球数やセット数を増やすことができましたし、反応を見ても問題ない。よくここまで回復したなと思いますし、フォームを見てもかばっている姿は見られなかった。本人に聞いても“大丈夫だ”と言っていたので、CSに間に合ったかなと」とし、14日に開幕が迫るクライマックスシリーズでの登板に事実上のGOサインを出しながら、「心強い。正直な気持ちです」と相好を崩した。
負けられない戦いへ、本人も闘志
この日の最速は151キロで、平均は148〜150キロを計測。バウアーは「一番大切なフィジカル面は前と変わらずに良かったかなと思いますし、球威も前回や前々回と比べると出ていたかなと思います」と一定の満足感を口にしたが、トレイ・アンバギーに死球を与えた点に点に関しては「フラストレーションも溜まった」と告白。
続けて「制球は前回のほうが良かったと思います。もともと自分に対して厳しい性格ですが、今日のパフォーマンスには納得しきれていないです。前回が平均で、その後に行ったブルペンが平均以上。今回、特に序盤は平均以下なので、ならすと平均かなと思いますが、上昇傾向にはあると思うので、もっと上げていきたい」と語り、自身にさらなる上積みを求めた。
それでも、CS前最後の実戦形式を終えて「I'm ready」と頼もしい言葉を口にし、「コンディション面に関しては100%です。パフォーマンス面はまだ実戦で投げていないのでなんとも言い難い部分はあるのですが、自分としては投げる準備はできたと思います」と言う。
さらに「最終的には三浦監督の判断になると思うので、先発で行けと言われるのか、中継ぎで行けと言われるのかわかりませんが、行けと言われたところでしっかりと結果を残したいと思います」とフル回転も辞さない覚悟を示した。
最速を問われた際には「240キロです」と答え、味方打線についても「前回3本の二塁打を打たれた柴田(竜拓)選手は、うちの中で一番の強打者。同じチームで心から良かったと思っています」といった和やかなやり取りもあり、ハートのコンディションも良好な様子。
しかし、こと勝負に関しては「自分自身、試合で負けることは本当に嫌いですし、プレーオフで負けるのはなおさら嫌」と闘志をむき出しにしたトレバー・バウアー。勝利至上主義者の魂が、ベイスターズを頂へと導く雰囲気が漂ってきた。
取材・文=萩原孝弘