勝つために
「チームの雰囲気は良いと思いますし、自分の調子を言っているあれではないと思うので、もうみんなで一丸となってやるだけだと思います」。
ロッテの中村奨吾は14日から始まる『2023 パーソルクライマックスシリーズ パ ファーストステージ ロッテ-ソフトバンク戦』に向けて、このように意気込んだ。
チームはリーグ3連覇したオリックスと夏前までリーグ優勝を争ったが、8月以降にロッテが失速。最大13あった貯金も気がつけばどんどん減っていき、9月19日のオリックス戦から26日の日本ハム戦にかけて7連敗。9月25日のソフトバンク戦後には4位に転落した。クライマックスシリーズ進出へ向け厳しい戦いが続いていたが、9月30日の西武戦、石川慎吾の適時二塁打でサヨナラ勝ちを収めてから6勝2敗と勝ち越し。勝てばCS、負ければ4位転落となるシーズン最終戦の10月10日の楽天戦に5-0で勝利し、2位でシーズンを終えた。
「シーズンの最後、クライマックスシリーズを争う戦いで緊張が続く戦いが多かったので、その緊張感を持ったまま、戦っていきたいと思っています」。 中村自身も9月は月間打率.128(78-10)と苦しんだが、10月は3日の西武戦から5試合連続安打を放つなど月間打率.350(20-7)と復調気配だ。
役割
ここ数年、中村に限らずチームとして進塁打、犠打、四球を選ぶ、1つ先の塁を狙う走塁など、細かい野球で得点を奪い、そのリードを投手陣が守り切るという戦いをしてきた。短期決戦では日頃の積み重ねが勝敗に大きく左右していきそうだ。
中村自身もそのことをよく理解している。「なかなか点が取れないと思いますし、そのためにはランナーを進めたり、ワンチャンスでなんとか点が取れるようにと思って、そういう野球で1年間やってきたと思います。四球からだったり、相手のエラーとかからだったり、そういうところから点を取ることが多かったので、そういう進塁打というのも大事になってくるのかなと思います」。
中村もシーズン終盤の10月2日の西武戦では3-2の4回無死一塁の第2打席、一塁走者の岡大海が二塁盗塁し、エンスが1ボール2ストライクから投じた4球目の147キロのストレートをセカンドへゴロを打ち、二塁走者の岡を三塁に進め、松川虎生のスクイズで4点目。中村の“進塁打”が得点に繋がることがこの日に限らず、シーズン中には何度もあった。
進塁打や犠打といった役割だけでなく、中村には当然決めるバッティングも求められる。「そういう場面が来ればそういう気持ちで行きます」と力強く返ってきた。
18時にロッテの日本一に向けた絶対に負けられない戦いが始まる。「勝つことが一番だと思うので、勝つしかないと思います。勝てるように色々考えながらやっていけたらいいと思います」。キャプテン・中村奨吾は熱く燃えている。
取材・文=岩下雄太