勝利を呼び込む先頭打者弾
ロッテの荻野貴司が14、ソフトバンクとの「2023 パーソルクライマックスシリーズ パ」のファーストステージ第1戦(ZOZOマリン)に『1番・右翼』で先発出場し、初回に先頭打者本塁打を放った。
9月17日の西武戦以来の先発となった佐々木朗希が初回、ソフトバンク打線をわずか12球で三者凡退に抑えると、その裏、1番・荻野が「思いきっていこうと思っていたので、ストライクは全部いこうと思っていました」と、ソフトバンク先発・スチュワートが1ボールから投じた2球目の150キロストレートを振り抜いた。打球はレフトスタンドに吸い込まれ、先頭打者本塁打となった。
荻野はシーズン終盤の取材で、「1番を打たせてもらえることが多いのでしっかり、チームに勢いをつける打撃ができるようにやっていきたいと思います」と話していたが、その言葉通り、トップバッターとしてチームに勢いを与える働き。この本塁打をきっかけに打線は、9安打8得点を奪い、3位・ソフトバンクに8-2と大勝。ファイナルステージ進出に王手をかけた。
試行錯誤の日々
この日先頭打者弾を放ち、さすが荻野貴司という活躍を見せたが、今季は怪我に泣かされ、復帰してからもなかなか結果を残せず不本意なシーズンだった。
「怪我もありましたし、なかなか思うように結果が出ない時もありましたけど、それが今の僕の実力かなと思ってやっています」。
課題を克服するために「常に自分の技術を上げようという練習というんですか、継続してやっています」と技術向上に励んだ。
試合前練習ではここ数年は、打撃練習でバットを長く持って打つことは減っていたが、9月24日のソフトバンク戦の試合前練習では左の打撃投手の時にバットを長く持って打撃練習をし、10月2日の西武戦の試合前練習では右の打撃投手の時にもバットを長く持って打撃練習。10月12日のZOZOマリンスタジアム練習でも左の打撃投手の時にバットを長く持って打撃練習を行っていた。
その理由について荻野は「ちょっと動きが小さくなっている時があったので、大きく使ってみようかなというのがありながら、はい」と、状態を上げるために試行錯誤。また9月13日の楽天戦の試合前打撃練習では、自分の打撃練習の順番が来るまで打撃フォームのチェックをしたり、左の打撃投手との打撃練習が終わった後に、自分のスイングに納得いかなかったのか、首を捻っていたこともあった。
悔しいシーズンになったが、14日から始まったCSでは第1打席に先頭打者本塁打、2-0の3回無死一塁の第2打席ではきっちりと1球で送りバントを決め、その後、得点につながった。さらに5回の第3打席もライト前に安打と、この日は2安打1打点の活躍で勝利に貢献した。
やっぱり、1番・荻野貴司が打てばチームに勢いがつき、盛り上がる。「1番バッターの仕事だと思うので、しっかり出塁できるようにやっていきたいと思います」。このポストシーズンで、ホームまで駆け抜ける姿を何度も披露してほしい。
取材・文=岩下雄太