「勝ちきれなかったので悔しいシーズンです」。
ロッテの石川慎吾は、個人のことよりも、チームとして1974年以来となる勝率1位でのリーグ優勝、そして日本シリーズに進出できず、シーズンを終えてしまったことを悔しがった。
石川は7月3日に小沼健太とのトレードで巨人から加入し、翌4日に入団会見を行い、早速同日に一軍登録されると、巨人時代に本拠地にしていた東京ドームで行われた6日の西武戦、6-6の8回二死走者なしの場面で茶谷健太の代打で登場し、移籍後初出場。石川慎吾の名前がコールされるとスタンドから大歓声が送られ、その期待に応えるようにセンター前に移籍後初安打を放った。
7月8日の日本ハム戦では、2-2の7回二死一、三塁の場面で、この日本塁打と適時打を放っていた角中勝也の代打で登場し、宮西尚生から決勝の適時打。翌9日の日本ハム戦では『7番・右翼』で移籍後初スタメン出場し安打を放ち、『7番・左翼』で出場した同月15日の楽天戦では移籍後初のマルチ安打、同月17日の楽天戦では移籍後初の猛打賞、同月29日のソフトバンク戦で移籍後第1号本塁打を含む移籍後2度目の猛打賞と、7月の月間打率は驚異の.516(31-16)、出塁率.545、長打率.710、得点圏打率は.571、OPSは1.255。移籍直後の石川はまさに、“今日をチャンスに変える。”というチームスローガンを体現するような働きぶりだった。
移籍してすぐに活躍できた要因に石川は「(巨人時代と)何も変えていないですね」と前置きした上で、「強いていうならトレードしてもらったその日から一軍のベンチに入れてもらって、必要だと言ってくれたことに対して応えたいという気持ち。目に見えない力、期待されているんだと思うとそれに応えたいし、応えるためにどうしたらいいんだろうというふうなところはデカかったと思います」と振り返った。
マリーンズファンの声援も石川にとって大きな力になった。
「すごく大きかったですね。東京ドームで第1打席、移籍後初打席の歓声というのは、ホンマに一生忘れることのないすごく、今シーズン、マリーンズに来て、野球をする上ではデカかった出来事かもしれないですね」。
石川は打席内で、絶対に打ってやるぞという闘志、打ってくれそうな雰囲気、この打席にかける想いというものが、シーズン通してビシビシと伝わってきた。
「それはみんな持っているものだと思いますし、打席に立つとヒットを打ちたい、どないかしたいという気持ちは持っています。見てくれている人が言ってくれるのは嬉しいというか、もっともっと極めたいなと思いますね」。
シーズン通しても打率.348、出塁率.381、得点圏打率.474、左投手の打率.373と、特に左投手、得点圏での勝負強さは素晴らしかった。本人は「それもまあ色々考えてしっかりと答えを出さないといけないので、今これだったというのは言えることではないかなと思います」と振り返ったが、8月24日のソフトバンク戦、4-4の7回二死二塁の第4打席、又吉克樹からライト前に弾き返す決勝の適時打を放てば、9月30日の西武戦、4-4の10回一死一、二塁でこの日本塁打を放っていた角中の代打で登場し、左の佐藤から右中間にサヨナラ適時二塁打を放つなど、打って欲しい場面で何度もチームを勝利に導く一打を放った。
石川だけでなく、西村天裕、坂本光士郎、澤田圭佑など他球団からロッテに移籍してきた選手たちが活躍することが多い。他球団と違って、ロッテは入りやすい雰囲気があったりするのだろうかーー。
「入りやすさはもちろんあります。他の球団と違ってどうかというのはわからないですけど、そういう入りやすさ、やりやすさはありましたね」。
具体的に「僕は声をかけてもらうことがすごく多かった。監督、コーチにしても、ピッチャーの方にしても、そういったところでやりやすさはありましたね」と、プレーしやすい環境を整えてくれた首脳陣、そしてチームメイトに感謝した。
シーズンが終わり、現在は来季に向けてZOZOマリンスタジアムで秋季練習が行われている。「全てにおいてレベルアップをしないといけないと思いますし、短所を潰して来シーズンに向かうことも大事ですけど、それと同じように長所も伸ばす。そこですね」と、さらなるレベルアップを目論む。
そして、来季に向けては「勝ちたいですね。勝って優勝したいですし、日本一になりたい。最後の最後まで野球をやりたい。そのためにどうしたらいいかというのをオフシーズン、個人、個人が考える、僕が考えることが重要になってくると思うので、大切にいきたいなと思います」と、1974年以来となる勝率1位でのリーグ優勝、2010年以来の日本一を達成することだけを考える。もちろん、来季は石川がシーズン通して、今季のような活躍をしてくれればこれほど心強いことはない。
取材・文=岩下雄太
ロッテの石川慎吾は、個人のことよりも、チームとして1974年以来となる勝率1位でのリーグ優勝、そして日本シリーズに進出できず、シーズンを終えてしまったことを悔しがった。
移籍直後の7月の打率は驚異の.516
7月8日の日本ハム戦では、2-2の7回二死一、三塁の場面で、この日本塁打と適時打を放っていた角中勝也の代打で登場し、宮西尚生から決勝の適時打。翌9日の日本ハム戦では『7番・右翼』で移籍後初スタメン出場し安打を放ち、『7番・左翼』で出場した同月15日の楽天戦では移籍後初のマルチ安打、同月17日の楽天戦では移籍後初の猛打賞、同月29日のソフトバンク戦で移籍後第1号本塁打を含む移籍後2度目の猛打賞と、7月の月間打率は驚異の.516(31-16)、出塁率.545、長打率.710、得点圏打率は.571、OPSは1.255。移籍直後の石川はまさに、“今日をチャンスに変える。”というチームスローガンを体現するような働きぶりだった。
移籍してすぐに活躍できた要因に石川は「(巨人時代と)何も変えていないですね」と前置きした上で、「強いていうならトレードしてもらったその日から一軍のベンチに入れてもらって、必要だと言ってくれたことに対して応えたいという気持ち。目に見えない力、期待されているんだと思うとそれに応えたいし、応えるためにどうしたらいいんだろうというふうなところはデカかったと思います」と振り返った。
マリーンズファンの声援も石川にとって大きな力になった。
「すごく大きかったですね。東京ドームで第1打席、移籍後初打席の歓声というのは、ホンマに一生忘れることのないすごく、今シーズン、マリーンズに来て、野球をする上ではデカかった出来事かもしれないですね」。
打ってくれそうな雰囲気
石川は打席内で、絶対に打ってやるぞという闘志、打ってくれそうな雰囲気、この打席にかける想いというものが、シーズン通してビシビシと伝わってきた。
「それはみんな持っているものだと思いますし、打席に立つとヒットを打ちたい、どないかしたいという気持ちは持っています。見てくれている人が言ってくれるのは嬉しいというか、もっともっと極めたいなと思いますね」。
シーズン通しても打率.348、出塁率.381、得点圏打率.474、左投手の打率.373と、特に左投手、得点圏での勝負強さは素晴らしかった。本人は「それもまあ色々考えてしっかりと答えを出さないといけないので、今これだったというのは言えることではないかなと思います」と振り返ったが、8月24日のソフトバンク戦、4-4の7回二死二塁の第4打席、又吉克樹からライト前に弾き返す決勝の適時打を放てば、9月30日の西武戦、4-4の10回一死一、二塁でこの日本塁打を放っていた角中の代打で登場し、左の佐藤から右中間にサヨナラ適時二塁打を放つなど、打って欲しい場面で何度もチームを勝利に導く一打を放った。
移籍組が活躍しやすい環境
石川だけでなく、西村天裕、坂本光士郎、澤田圭佑など他球団からロッテに移籍してきた選手たちが活躍することが多い。他球団と違って、ロッテは入りやすい雰囲気があったりするのだろうかーー。
「入りやすさはもちろんあります。他の球団と違ってどうかというのはわからないですけど、そういう入りやすさ、やりやすさはありましたね」。
具体的に「僕は声をかけてもらうことがすごく多かった。監督、コーチにしても、ピッチャーの方にしても、そういったところでやりやすさはありましたね」と、プレーしやすい環境を整えてくれた首脳陣、そしてチームメイトに感謝した。
来季に向けて
シーズンが終わり、現在は来季に向けてZOZOマリンスタジアムで秋季練習が行われている。「全てにおいてレベルアップをしないといけないと思いますし、短所を潰して来シーズンに向かうことも大事ですけど、それと同じように長所も伸ばす。そこですね」と、さらなるレベルアップを目論む。
そして、来季に向けては「勝ちたいですね。勝って優勝したいですし、日本一になりたい。最後の最後まで野球をやりたい。そのためにどうしたらいいかというのをオフシーズン、個人、個人が考える、僕が考えることが重要になってくると思うので、大切にいきたいなと思います」と、1974年以来となる勝率1位でのリーグ優勝、2010年以来の日本一を達成することだけを考える。もちろん、来季は石川がシーズン通して、今季のような活躍をしてくれればこれほど心強いことはない。
取材・文=岩下雄太