ポスティングでMLB挑戦へ
DeNAのエース・今永昇太が13日、会見を開き、MLB挑戦を正式発表した。
スーツに身を包んだ今永は「わたくし今永昇太は、ポスティングシステムを利用してMLBに挑戦することをご報告いたします」と第一声。続けて「このポスティングを快く承認してくださった横浜DeNAベイスターズの萩原統括本部長並びに球団スタッフの方々、本当にありがとうございます」と関係各所に感謝の年を表した。
メジャーへの関心は「2017年のアジアチャンピオンシップからのプレミア12、そしてWBC。いろんな大会を経て、そして身近な選手がMLBに挑戦しているのを見て、自分もいつかそういう選手になれたらいいなとの思いから始まりました」と長年胸に抱いていたと告白。球団とは「話が出始めたのは2019年ぐらいからだったと思います。当時三原球団代表でしたけれども「シーズンオフの契約更改の度、僕からではなくて球団側からもその夢はどうなったんだという質問を頂いて、自分の背中を押してくれました」とポスティング実現への経緯を明かした。
今回の決断に至るまでには「メジャーを経験されているオリックスの平野さんだったりとか、マリーンズの澤村さんには何度かお話させていただいて。あとは仲のいいチームメイト、伊藤光さん、宮﨑(敏郎)さん、戸柱(恭孝)さん、佐野(恵太)などにも色んな話を聞きました」と様々な選手からアドバイスをもらったとし、「身近でトッププレーヤーが練習していたことで、いろんなアドバイスもいただけましたし、マインドもスキルも間近で見られたので、僕自身すごく自分のキャリアとしてはものすごくいい一年間をバウアーとともに過ごさせてもらったかなと思います」と今シーズンからチームメイトとなった"サイヤング賞右腕"の存在にも刺激されたとした。その上で「皆さん口を揃えて言ってくれたのは、誰しもがそこに立てるわけではないので、その権利が少しでもあるんだとしたら、挑戦しないよりは挑戦した後になにか見えるものはあるのではないかと。そういった言葉をいただきました」と後押しを受けたことも要因のひとつとした。
この時期の渡米には「理由は2つありまして、1つ目はサムライジャパンに選ばれるたびにそういう思いが出てきたというところ。2つ目はマインドの部分なんですけれども、自分の生き様として、僕自身非常に他者の目を気にしてしまったりとか、色んな人の評価を気にしてしまう性格で。そういう自分をまず変えたいので。自分の生き方を変えるのは今しかない、それがこの30歳というタイミングになった感じですね」と独特の表現で説明した。
MLB成功に向け
メジャーのバッターには「闇雲にスイングするわけではなくて、しっかりとコンタクトして尚且つ打球速度も速いですし、自分が打つ角度をわかっている選手がたくさんいる」とWBCでも対戦したことで凄みは経験済み。
それに対し「これからはもう一度自分の身体をビルドアップして。やはりマウンドも固いですし、ボールも滑りやすいと言われているので、まずは怪我をしないことが一番周りに信頼してもらえる要因だと思うので」とMLB仕様へのブラッシュアップを念頭に置き、「自分の持っているボールすべてで勝負していきたいなと思います」と目論んだ。
その中で「アメリカのMLBを目指す子どもたちが、球場に僕のユニフォームを着て足を運んでくれる。それがはじめの目標なので」と"IMANAGA"ファン獲得をターゲットにすると目を輝かせた。
アメリカでも「いつまで経っても野球が好きですし、努力を努力と思わずに突き進んでいけたらと思います」と己を貫いていくと決意した"投げる哲学者"。日本で培ったピンポイントの技で、MLBを攻め続ける。
取材・文=萩原孝弘