「ロッテを離れるのはとても寂しいです。ただ自分にとってはプラスの事ですので、新天地で精一杯、頑張りたいと思います。ファンの皆様には7年間、いい時も悪い時も変わらず、凄い声援をいただき、ありがとうございました」。
ロッテの佐々木千隼が、8日に行われた現役ドラフトでDeNAに移籍することが決まった。
16年ドラフト1位でロッテに入団した佐々木は、1年目に4勝を挙げたが、2年目の18年7月6日に『右肘の関節鏡視下遊離体除去手術』を行うなど、2年目以降は故障に苦しみ、ロッテ浦和球場で復帰後の自分の中での理想を目指しリハビリに励む時間が長くなった。
ストレートもプロに入ってからストレートのスピードが出なくなった自分を許せなくなり、嫌な気持ちになった時期も。
2019年10月の取材では「スピードばかりを、追い求めているわけではないですけど、そこを追い求めたらおかしくなっちゃうかもしれないですし、でもやっぱりというのはあります」と吐露し、「1年目はスピードが出なくなって、自分が許せないというか、嫌な気持ちになった。許せないともっともっと考えて、どんどん悪循環になっていくのがあった。今年(2019年)は140そこそこしか出ないけど、スピードばかりを求めすぎないように、自分の中で許容範囲を広げられるようになりました。割り切らないと。どんどん変なサイクルに入っちゃうのかなと思った」と明かしている。
苦しい時間が長くなった中で、希望の光が差し始めたのは20年のフェニックスリーグ。同年11月9日に行われたフェニックスリーグでの巨人戦で投げていたストレートは特に素晴らしかった。佐々木本人も「そうですね。あのときはいい感じで投げられていましたし、去年(20年)の秋ぐらいからフォームの意識で変わった部分がありますね」と話し、「力まないように投げようという意識で投げていました」と口にした。
21年4月の取材では「今でも(スピードを)出したい気持ちはあるんですけど、ずっとそこばかり追い求めて、フォームをぐちゃぐちゃになってというのがあったので、どうやったらいいのかなと考えていて、ギャップというか、フォームの力感の割に球が来ているなという風に思っておもえたらバッターも打ちにくいのかなと考えました」。力感のない投球フォームからスピードガン以上に速く感じるストレートを試行錯誤の末に手に入れ、横や縦に落ちるスライダー、シンカーを駆使して打者をねじ伏せた。
21年は開幕直後、ビハインドゲームでのロングリリーフを担当していたが、結果を残し続け序列を徐々に上げていき、6月3日の中日戦から勝ちパターンに組み込まれ、初めてオールスターにも出場。東京五輪明けの後半戦からは、勝ちパターンの8回を任され、プロ5年目で初めて最後まで一軍で投げ抜き、54試合、8勝1敗、26ホールド、1セーブ、防御率1.26の成績を残した。
22年は「コンディショニング不良とかあったので、そこからなかなかいい感覚で投げられずにズルズルときてしまった。どこかでいい感覚を取り戻したらよかったんですけど、終わってしまった。すごく悔しいですね」と、23試合に登板して、2勝3敗1ホールド、防御率6.39に終わり、「やっぱり継続するのは難しいなと感じましたし、継続できている人、何年も継続している人は改めてすごいなと思いましたね」と、継続して活躍する難しさを知った。
今季は開幕一軍を掴むも、ファームで過ごす時間が長く、夏場にノーワインドアップで投げたり、好不調の波が大きかった中で、9月に“何かを変えたい”と、大谷智久投手コーチの助言で“シュート”を投げ始めた。“シュート”を投げ始めてストレートのスピードも上がり、9月はファームで9試合・9イニングを投げて、2勝1セーブ、防御率0.00と結果を残し、シーズン最終盤の10月6日に再昇格。同日のオリックス戦で1回を無失点に抑えた。
このオリックス戦は、佐々木千隼にとって今季ZOZOマリンスタジアムで初の公式戦登板となったが、結果的にロッテのユニホームを着てマリンスタジアムで上がる最後のマウンドとなった。
名前がコールされると、「すごい歓声は感じました。ただ(佐々木)朗希と間違えられているのかなと思いましたね」とライトスタンドのマリーンズファンから「ウォー〜」と大歓声が送られ、お馴染みの「千隼、千隼」のコール。佐々木千隼を後押しした。
佐々木はマリーンズ退団するにあたり球団を通じて、「今年、ZOZOマリンスタジアムで最後に登板した際に、登場曲が流れ、スタンドから凄い声援をいただいたことが忘れられません。皆様、本当にありがとうございました」と感謝の言葉を並べた。
秋季練習では来季に向けてZOZOマリンスタジアムで汗を流し、秋季練習最終日となった11月16日の取材で「全く一軍に貢献できなかったので、どんな形でも良いので投げて貢献できるようにしたい」と活躍を誓っていた。その中で、今回現役ドラフトでDeNAに移籍。
ZOZOマリンスタジアムでPerfumeの「FLASH」をもう聴くことができなくなり、マリーンズのユニホームでプレーする姿を見られなくなるのは寂しい。ロッテでは苦しい時間が多くなってしまったがこの時間が決して無駄ではなかったことを、DeNAで証明してほしい。新天地となるベイスターズで、一軍で活躍することをマリーンズファンは楽しみにしているはずだ。
取材・文=岩下雄太
ロッテの佐々木千隼が、8日に行われた現役ドラフトでDeNAに移籍することが決まった。
16年ドラフト1位でロッテに入団した佐々木は、1年目に4勝を挙げたが、2年目の18年7月6日に『右肘の関節鏡視下遊離体除去手術』を行うなど、2年目以降は故障に苦しみ、ロッテ浦和球場で復帰後の自分の中での理想を目指しリハビリに励む時間が長くなった。
ストレートもプロに入ってからストレートのスピードが出なくなった自分を許せなくなり、嫌な気持ちになった時期も。
2019年10月の取材では「スピードばかりを、追い求めているわけではないですけど、そこを追い求めたらおかしくなっちゃうかもしれないですし、でもやっぱりというのはあります」と吐露し、「1年目はスピードが出なくなって、自分が許せないというか、嫌な気持ちになった。許せないともっともっと考えて、どんどん悪循環になっていくのがあった。今年(2019年)は140そこそこしか出ないけど、スピードばかりを求めすぎないように、自分の中で許容範囲を広げられるようになりました。割り切らないと。どんどん変なサイクルに入っちゃうのかなと思った」と明かしている。
苦しい時間が長くなった中で、希望の光が差し始めたのは20年のフェニックスリーグ。同年11月9日に行われたフェニックスリーグでの巨人戦で投げていたストレートは特に素晴らしかった。佐々木本人も「そうですね。あのときはいい感じで投げられていましたし、去年(20年)の秋ぐらいからフォームの意識で変わった部分がありますね」と話し、「力まないように投げようという意識で投げていました」と口にした。
21年4月の取材では「今でも(スピードを)出したい気持ちはあるんですけど、ずっとそこばかり追い求めて、フォームをぐちゃぐちゃになってというのがあったので、どうやったらいいのかなと考えていて、ギャップというか、フォームの力感の割に球が来ているなという風に思っておもえたらバッターも打ちにくいのかなと考えました」。力感のない投球フォームからスピードガン以上に速く感じるストレートを試行錯誤の末に手に入れ、横や縦に落ちるスライダー、シンカーを駆使して打者をねじ伏せた。
21年は開幕直後、ビハインドゲームでのロングリリーフを担当していたが、結果を残し続け序列を徐々に上げていき、6月3日の中日戦から勝ちパターンに組み込まれ、初めてオールスターにも出場。東京五輪明けの後半戦からは、勝ちパターンの8回を任され、プロ5年目で初めて最後まで一軍で投げ抜き、54試合、8勝1敗、26ホールド、1セーブ、防御率1.26の成績を残した。
22年は「コンディショニング不良とかあったので、そこからなかなかいい感覚で投げられずにズルズルときてしまった。どこかでいい感覚を取り戻したらよかったんですけど、終わってしまった。すごく悔しいですね」と、23試合に登板して、2勝3敗1ホールド、防御率6.39に終わり、「やっぱり継続するのは難しいなと感じましたし、継続できている人、何年も継続している人は改めてすごいなと思いましたね」と、継続して活躍する難しさを知った。
今季は開幕一軍を掴むも、ファームで過ごす時間が長く、夏場にノーワインドアップで投げたり、好不調の波が大きかった中で、9月に“何かを変えたい”と、大谷智久投手コーチの助言で“シュート”を投げ始めた。“シュート”を投げ始めてストレートのスピードも上がり、9月はファームで9試合・9イニングを投げて、2勝1セーブ、防御率0.00と結果を残し、シーズン最終盤の10月6日に再昇格。同日のオリックス戦で1回を無失点に抑えた。
このオリックス戦は、佐々木千隼にとって今季ZOZOマリンスタジアムで初の公式戦登板となったが、結果的にロッテのユニホームを着てマリンスタジアムで上がる最後のマウンドとなった。
名前がコールされると、「すごい歓声は感じました。ただ(佐々木)朗希と間違えられているのかなと思いましたね」とライトスタンドのマリーンズファンから「ウォー〜」と大歓声が送られ、お馴染みの「千隼、千隼」のコール。佐々木千隼を後押しした。
佐々木はマリーンズ退団するにあたり球団を通じて、「今年、ZOZOマリンスタジアムで最後に登板した際に、登場曲が流れ、スタンドから凄い声援をいただいたことが忘れられません。皆様、本当にありがとうございました」と感謝の言葉を並べた。
秋季練習では来季に向けてZOZOマリンスタジアムで汗を流し、秋季練習最終日となった11月16日の取材で「全く一軍に貢献できなかったので、どんな形でも良いので投げて貢献できるようにしたい」と活躍を誓っていた。その中で、今回現役ドラフトでDeNAに移籍。
ZOZOマリンスタジアムでPerfumeの「FLASH」をもう聴くことができなくなり、マリーンズのユニホームでプレーする姿を見られなくなるのは寂しい。ロッテでは苦しい時間が多くなってしまったがこの時間が決して無駄ではなかったことを、DeNAで証明してほしい。新天地となるベイスターズで、一軍で活躍することをマリーンズファンは楽しみにしているはずだ。
取材・文=岩下雄太