「苦しいシーズンでした」。
ロッテの美馬学は昨季チームトップの10勝を挙げ、今季も先発ローテーションの一角として若手を引っ張る活躍が期待された中で、18試合・98回1/3を投げ、3勝9敗、防御率4.76だった。
「去年も一昨年も1年間しっかり投げられていないので、しっかり1年間投げてローテーションを守って規定投球回は投げたいと思います」。
春季キャンプ中、今季に向けこのように意気込んでいた美馬だったが、開幕から“らしくない”投球が続いた。今季初登板となった4月2日のソフトバンク戦で4回、4失点で黒星を喫すると、なかなか白星を手にすることができず、今季初勝利は7月8日の日本ハム戦。オールスター前は8試合・43回2/3を投げて、1勝4敗、防御率4.95だった。
「夏場に状態が良いことが多いので、ここから巻き返していけたらなと思っています」。
美馬はロッテ加入後、後半戦に抜群の強さを見せ、二桁勝利を挙げた20年は8・9月の2カ月で6勝を挙げ、昨季は前半戦、13試合・73回2/3を投げ5勝6敗、防御率4.15だったが、オールスター明けは7試合・44回を投げて5勝0敗、防御率は驚異の0.82とエース級の働きを見せた。
夏場以降に本来の力を発揮するかと思われたが、8月は4試合中3試合で6イニング以上投げたが、0勝2敗、防御率6.20とピリッとせず。それでも、9月に入って少ない球数で長いイニングを投げる美馬らしいピッチングを見せた。
9月1日の楽天戦は、0-0の初回一死満塁のピンチを招くも、鈴木大地を146キロストレート空振り三振、フランコを左飛。初回だけで31球を要するも無失点に抑え、2回以降は調子を上げていき、楽天打線を2安打。7回・106球、4安打、無失点で2勝目を手にした。
9月9日のオリックス戦は敗戦投手になったが、7回・102球、3安打、3失点、9月16日の西武戦は5回・84球、無失点にまとめた。9・10月は5試合・28回1/3を投げ、2勝2敗、防御率3.18だった。
今季9月1日の楽天戦、初回満塁のピンチを無失点に抑え、2回以降は尻上がりに調子を上げ、尚且つ少ない球数で長いイニングを投げ、ゲームを作る、これが本来の美馬の姿。今季に関しては、美馬本来の投球を見せる場面が少なかった。
「なんとか粘って長いイニングを投げるのが自分の仕事だと思っていたんですけど、今年はなかなかできなくて“自分らしさ”がほとんど出せなかったという感じですかね」。
“自分らしさ”が出せなかった原因はどこにあったのだろうかーー。
「前半は純粋に調子が良くなかったので、後半ちょっと良くなってきて少しずつイニングを投げられるようになって、もうちょっとかなという感じで、よくなってきて、シーズンが終わったかなという感じですね」。
若手主体の秋季練習メンバーには参加していなかったが、シーズン終わってすぐ、ZOZOマリンスタジアムでキャッチボールなど、新シーズンに向けてトレーニングしている姿があった。
「後半は調子が良くなってきたので、その調子を維持できるように、それ以上にレベルアップできるようにと思ってやっています」。
具体的に調子が良くなった理由について訊くと、「純粋に体の調子が良くなってきたという感じですね。前半は本当に体が全然良くなかったので、それが良くなってきて、動くようになってきてトレーニングもしっかりできるようになってきて良くなってきたのかなという感じです」と教えてくれた。
小島和哉、種市篤暉、佐々木朗希といった先発の中心を担いそうな若手が増えてきたが、まだまだ美馬の存在は必要不可欠。
「去年もそうですけど競争なので、まずは自分がしっかり成績を出さなきゃ若い子の見本になれないし、自分がしっかりやるというのが大事かなと思います」。
来季に向けての戦いは始まっている。「1年通して自分の仕事ができるように、今年みたいに最初はずっと迷惑をかけてばかりだったので、本当に最初からしっかりチームに貢献できるように頑張りたいと思います」。来年の9月で38歳を迎えるベテランと呼ばれる年齢だが、若手にはない味、投球術、ファンの心を熱くするような投球を1試合でも多く見せて欲しいところだ。
取材・文=岩下雄太
ロッテの美馬学は昨季チームトップの10勝を挙げ、今季も先発ローテーションの一角として若手を引っ張る活躍が期待された中で、18試合・98回1/3を投げ、3勝9敗、防御率4.76だった。
初勝利は7月8日
春季キャンプ中、今季に向けこのように意気込んでいた美馬だったが、開幕から“らしくない”投球が続いた。今季初登板となった4月2日のソフトバンク戦で4回、4失点で黒星を喫すると、なかなか白星を手にすることができず、今季初勝利は7月8日の日本ハム戦。オールスター前は8試合・43回2/3を投げて、1勝4敗、防御率4.95だった。
「夏場に状態が良いことが多いので、ここから巻き返していけたらなと思っています」。
美馬はロッテ加入後、後半戦に抜群の強さを見せ、二桁勝利を挙げた20年は8・9月の2カ月で6勝を挙げ、昨季は前半戦、13試合・73回2/3を投げ5勝6敗、防御率4.15だったが、オールスター明けは7試合・44回を投げて5勝0敗、防御率は驚異の0.82とエース級の働きを見せた。
夏場以降に本来の力を発揮するかと思われたが、8月は4試合中3試合で6イニング以上投げたが、0勝2敗、防御率6.20とピリッとせず。それでも、9月に入って少ない球数で長いイニングを投げる美馬らしいピッチングを見せた。
9月1日の楽天戦は、0-0の初回一死満塁のピンチを招くも、鈴木大地を146キロストレート空振り三振、フランコを左飛。初回だけで31球を要するも無失点に抑え、2回以降は調子を上げていき、楽天打線を2安打。7回・106球、4安打、無失点で2勝目を手にした。
9月9日のオリックス戦は敗戦投手になったが、7回・102球、3安打、3失点、9月16日の西武戦は5回・84球、無失点にまとめた。9・10月は5試合・28回1/3を投げ、2勝2敗、防御率3.18だった。
本来の投球
今季9月1日の楽天戦、初回満塁のピンチを無失点に抑え、2回以降は尻上がりに調子を上げ、尚且つ少ない球数で長いイニングを投げ、ゲームを作る、これが本来の美馬の姿。今季に関しては、美馬本来の投球を見せる場面が少なかった。
「なんとか粘って長いイニングを投げるのが自分の仕事だと思っていたんですけど、今年はなかなかできなくて“自分らしさ”がほとんど出せなかったという感じですかね」。
“自分らしさ”が出せなかった原因はどこにあったのだろうかーー。
「前半は純粋に調子が良くなかったので、後半ちょっと良くなってきて少しずつイニングを投げられるようになって、もうちょっとかなという感じで、よくなってきて、シーズンが終わったかなという感じですね」。
若手主体の秋季練習メンバーには参加していなかったが、シーズン終わってすぐ、ZOZOマリンスタジアムでキャッチボールなど、新シーズンに向けてトレーニングしている姿があった。
「後半は調子が良くなってきたので、その調子を維持できるように、それ以上にレベルアップできるようにと思ってやっています」。
具体的に調子が良くなった理由について訊くと、「純粋に体の調子が良くなってきたという感じですね。前半は本当に体が全然良くなかったので、それが良くなってきて、動くようになってきてトレーニングもしっかりできるようになってきて良くなってきたのかなという感じです」と教えてくれた。
小島和哉、種市篤暉、佐々木朗希といった先発の中心を担いそうな若手が増えてきたが、まだまだ美馬の存在は必要不可欠。
「去年もそうですけど競争なので、まずは自分がしっかり成績を出さなきゃ若い子の見本になれないし、自分がしっかりやるというのが大事かなと思います」。
来季に向けての戦いは始まっている。「1年通して自分の仕事ができるように、今年みたいに最初はずっと迷惑をかけてばかりだったので、本当に最初からしっかりチームに貢献できるように頑張りたいと思います」。来年の9月で38歳を迎えるベテランと呼ばれる年齢だが、若手にはない味、投球術、ファンの心を熱くするような投球を1試合でも多く見せて欲しいところだ。
取材・文=岩下雄太