ツインズ・前田健太

◆ データで振り返る!メジャー日本人選手の2023年:第8回・前田健太

 2016年に古巣ドジャースと結んだ8年契約が今季いっぱいで終了。直近4シーズンを過ごしたツインズからフリーエージェントとなっていたが、先月下旬にタイガースと2年総額2400万ドル(約36億円)で新たに契約を交わし、再びメジャーで次の一歩を踏み出そうとしている。

 ツインズで3年目の昨季は、前年秋に受けたトミージョン手術の影響で全休。メジャー(一軍)で登板がなかったのは、広島のルーキーイヤー以来の出来事だった。

 復活を期して迎えた今季は、開幕からローテーションの4番手を任されて再スタートを切った。ところがブランク明けで本調子にはほど遠く、4試合目の登板で4回途中10失点と炎上。この時点で、0勝4敗、防御率9.00と、かなり厳しい状況に置かれた。

 その後、右上腕部の筋肉炎症のため負傷者リスト(IL)入り。メジャーのマウンドに戻ったのは2か月近くたった6月下旬だった。

 そして前田はここから復活の狼煙を上げる。復帰登板となったタイガース戦で、5回を無失点に抑え、678日ぶりの復活勝利を飾ると、その後は安定した投球を続け、結局、21試合に登板し、6勝8敗、防御率4.23でシーズンを終えた。

◆ 相手の中軸をほぼ完ぺきに抑える

 手術明けの前田が見事な復活劇を遂げた理由の一つが、相手打線の中軸をしっかり打ち取っていたことだろう。

 メジャーでは打線の中軸ともいわれる2~4番の打者に対して、前田はほぼ完璧な投球を見せ、いずれも被打率1割台に抑え込んでいた。逆に、6~7番打者に痛打されることが多かったのは反省材料といえるだろう。

 今季投じた球種割合を見ると、最も高かったのがスプリットで31.9%、続くスライダーが30.6%なので、この2球種だけで、全体の6割以上を占めていた。

 前田にとって生命線ともいえるスプリットとスライダーだが、前者は今季の被打率が.182と手術前の水準だったのに対し、後者は同.237。決して悪い数字ではなかったが、これはメジャーでの自己ワーストだった。

 シーズンを通してみると、後半戦にベテランらしい働きでチームの地区優勝に貢献。ブルージェイズ相手のワイルドカードシリーズを勝ち抜き、チームは地区シリーズまで進んだ。

 前田自身はポストシーズンで2試合にリリーフで登板したものの、防御率6.75と期待に応えられず。悔いを残す形でツインズを去った。

 メジャーで3チーム目となる新天地のタイガースだが、チームの公式ページ上には執筆時点(12/13)で来季予想されるローテーション投手が4人記載されている。そして、そのトップにいるのが前田である。若手を中心に再建中のチームにおいて、エースとしての役割を果たすことができるか。まずは19年以来の2桁勝利を狙いたい。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊・プロフィール】
1976年、和歌山県出身。大学卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。日本にファンタジーベースボールを流行らせたいという構想を持ち続けている。

この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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