話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、今季のプロ野球で期待の若手選手のなかから、パ・リーグの「入団2年目以降で新人王資格を持つ選手」にまつわるエピソードを紹介する。
プロ野球開幕まであと1ヵ月。開幕1軍入りをかけ、若手選手の必死のアピールが見られるのはこの時期の大きな楽しみの1つ。昨秋のドラフトでは何人もの大卒選手が「即戦力」として指名されただけに、どのルーキーが春先から抜け出すのかは気になる点の1つだ。
ただ、パ・リーグは昨季、高卒3年目の山下舜平大(オリックス)が新人王を獲得。さらにさかのぼれば、2018年の田中和基(楽天)以降、パ・リーグでは6年連続で「入団2年目以降」の選手が新人王を獲得している。今年(2024年)も同じ傾向が続くのか。「ルーキー以外の新人王候補・ブレイク候補」をピックアップしてみたい。
なお、新人王の資格は……(1)海外のプロ野球リーグに参加した経験がないこと。(2)初めて支配下選手登録されてから5年以内。(3)【打者】前年までの1軍公式戦での打席が60打席以内。(4)【投手】前年までの1軍公式戦での投球回が30イニング以内。これらを満たすなかから注目選手を球団別に取り上げていく。
ところがその後、右ひじを痛め、トミー・ジョン手術を選択。2年目の昨季は全休し、今季は復活を期すシーズンだ。1年目は4試合、17.2イニングしか投げていないため、新人王資格をまだ有している。
そしてもう1人、注目を集めるのが高卒2年目の齋藤響介(2022ドラフト3位)。昨季は1軍初登板初先発で4回2安打無失点と好投。白星こそつかなかったが150キロのストレートを連発する圧巻デビューを飾った。また、オフには山本由伸がテレビのインタビューで“後継者指名”をしたことでも話題に。まずは開幕1軍を目指すことになる。
育成枠でも2人の投手に注目。才木海翔(2022年育成2位)は11月に台湾で行われたアジアウィンターリーグで10試合に登板。計10イニングで15三振を奪い、奪三振率は13.5。防御率0.00という見事な成績を残し、5セーブで最多セーブ(タイ)に輝いた。
もう1人は4年目の川瀬堅斗(2020年育成1位)。才木同様、アジアウィンターリーグで活躍し、3登板で2勝0敗、防御率0.95の好成績を残した。今年もまたオリックスの若手投手に驚かされそうだ。
高卒3年目の昨季(2023年)、1軍デビュー。13試合に登板してプロ初勝利も挙げるなど3勝2敗、防御率3.54という成績を残し、CSでも登板を経験。オフはオーストラリアン・ベースボールリーグで武者修行に励んできた。吉井監督は去年のキャンプから期待をかけてきた逸材だけに、真価の問われる4年目となる。
2022年ドラフト1位の菊地吏玖は、即戦力として期待されながら、春先に左内腹斜筋損傷で離脱するなど出遅れ、昨季は1軍登板1試合のみに終わった。ただ、11月のアジアウィンターリーグでは9試合に登板して防御率0.00の抜群の安定感を誇った。今季は開幕から中継ぎとして挑むシーズンとなる。
オフは三塁を争うライバル、栗原陵矢の自主トレに弟子入り。“師匠”を打ち負かしてのレギュラー獲得を目指す。
また、「現役ドラフト2期生」で注目株とされるのが日本ハムから移籍してきた長谷川威展(日本ハム2021年ドラフト6位)。昨季は2軍で34試合に登板し、すべてリリーフで8勝0敗。イースタン・リーグの最多勝利投手賞を受賞した。また、1軍でも通算11試合で防御率0.87の安定感。層の厚いソフトバンクリリーフ陣で存在感を見せられるか。
オフは巨人の坂本勇人に弟子入りし、自主トレに同行した成果が出たのか、キャンプ前の対外試合5試合で14打数6安打2打点を記録。身長170cmと小柄ながら、思い切りのいいフルスイングが魅力。出身地にちなみ、「沖縄のアルトゥーベ」とも呼ばれている男がレギュラー奪取を目指す。
そんな豆田とは対照的に192cmの長身を誇るのが「所沢のランディ・ジョンソン」と呼ばれる高卒3年目左腕、羽田慎之介(2021年ドラフト4位)だ。実家はベルーナドームから車で十数分の場所にあり、小学校時代はライオンズジュニアでプレーした経験を持つ左腕エース候補。角度のあるストレートは最速157キロで、今季の目標のひとつに160キロ超えを掲げる。
ちなみに、豆田も埼玉県出身。地元出身の凸凹コンビが活躍すれば、チームの順位アップにも貢献しそうだ。
ところがその後、右肩の張りで選手登録を抹消。9月に5ヵ月ぶりの1軍登板を果たすと、6回2/3を無失点の好投で2勝目をマーク。結果的に1年目は4試合に投げ、2勝1敗・防御率1.80の安定感を発揮。今季に新人王資格を残すために、25イニングの登板に留めた、とも言える。
18日に行われた楽天との練習試合では3回を投げ、3安打無失点。当然、開幕ローテ入りも期待されている。
上述したように、ここでは「2年目以降」の選手たちを取り上げたが、7年ぶりに「ルーキーの新人王」が登場する可能性も十分にある。若手選手が活躍するほど、プロ野球は面白くなるはずだ。
プロ野球開幕まであと1ヵ月。開幕1軍入りをかけ、若手選手の必死のアピールが見られるのはこの時期の大きな楽しみの1つ。昨秋のドラフトでは何人もの大卒選手が「即戦力」として指名されただけに、どのルーキーが春先から抜け出すのかは気になる点の1つだ。
ただ、パ・リーグは昨季、高卒3年目の山下舜平大(オリックス)が新人王を獲得。さらにさかのぼれば、2018年の田中和基(楽天)以降、パ・リーグでは6年連続で「入団2年目以降」の選手が新人王を獲得している。今年(2024年)も同じ傾向が続くのか。「ルーキー以外の新人王候補・ブレイク候補」をピックアップしてみたい。
なお、新人王の資格は……(1)海外のプロ野球リーグに参加した経験がないこと。(2)初めて支配下選手登録されてから5年以内。(3)【打者】前年までの1軍公式戦での打席が60打席以内。(4)【投手】前年までの1軍公式戦での投球回が30イニング以内。これらを満たすなかから注目選手を球団別に取り上げていく。
オリックス・バファローズ
まずは毎年のように若手投手が台頭するオリックスから。今季注目の1人は大卒3年目の椋木蓮(2021ドラフト1位)。1年目はプロ初登板となった西武戦で6回無失点の好投を見せて初勝利を挙げると、7月20日の日本ハム戦で9回2死までノーヒットノーランの圧巻投球を披露した。ところがその後、右ひじを痛め、トミー・ジョン手術を選択。2年目の昨季は全休し、今季は復活を期すシーズンだ。1年目は4試合、17.2イニングしか投げていないため、新人王資格をまだ有している。
そしてもう1人、注目を集めるのが高卒2年目の齋藤響介(2022ドラフト3位)。昨季は1軍初登板初先発で4回2安打無失点と好投。白星こそつかなかったが150キロのストレートを連発する圧巻デビューを飾った。また、オフには山本由伸がテレビのインタビューで“後継者指名”をしたことでも話題に。まずは開幕1軍を目指すことになる。
育成枠でも2人の投手に注目。才木海翔(2022年育成2位)は11月に台湾で行われたアジアウィンターリーグで10試合に登板。計10イニングで15三振を奪い、奪三振率は13.5。防御率0.00という見事な成績を残し、5セーブで最多セーブ(タイ)に輝いた。
もう1人は4年目の川瀬堅斗(2020年育成1位)。才木同様、アジアウィンターリーグで活躍し、3登板で2勝0敗、防御率0.95の好成績を残した。今年もまたオリックスの若手投手に驚かされそうだ。
千葉ロッテマリーンズ
今季、開幕ローテ入りを目指すのは、明石商時代には甲子園に3度出場した中森俊介(2020年2位)だ。高卒3年目の昨季(2023年)、1軍デビュー。13試合に登板してプロ初勝利も挙げるなど3勝2敗、防御率3.54という成績を残し、CSでも登板を経験。オフはオーストラリアン・ベースボールリーグで武者修行に励んできた。吉井監督は去年のキャンプから期待をかけてきた逸材だけに、真価の問われる4年目となる。
2022年ドラフト1位の菊地吏玖は、即戦力として期待されながら、春先に左内腹斜筋損傷で離脱するなど出遅れ、昨季は1軍登板1試合のみに終わった。ただ、11月のアジアウィンターリーグでは9試合に登板して防御率0.00の抜群の安定感を誇った。今季は開幕から中継ぎとして挑むシーズンとなる。
福岡ソフトバンクホークス
小久保新監督が2軍で育ててきた注目株は、高卒4年目の井上朋也(2020年ドラフト1位)。昨季、2軍では89試合に出場して打率.253、チーム2位の9本塁打、38打点の成績を残し、9月6日に1軍昇格。同日、スタメンデビューを飾ると、2安打を放つ活躍でいきなり「お立ち台デビュー」も経験した。オフは三塁を争うライバル、栗原陵矢の自主トレに弟子入り。“師匠”を打ち負かしてのレギュラー獲得を目指す。
また、「現役ドラフト2期生」で注目株とされるのが日本ハムから移籍してきた長谷川威展(日本ハム2021年ドラフト6位)。昨季は2軍で34試合に登板し、すべてリリーフで8勝0敗。イースタン・リーグの最多勝利投手賞を受賞した。また、1軍でも通算11試合で防御率0.87の安定感。層の厚いソフトバンクリリーフ陣で存在感を見せられるか。
東北楽天ゴールデンイーグルス
今江敏晃監督が昨年末、「次期ブレイク候補」として名指ししたのが高卒4年目を迎える入江大樹(2020年ドラフト5位)と、社会人出身2年目の平良竜哉(2022年ドラフト5位)のふたり。このうち、春季キャンプで大きくアピールし、「春季キャンプMVP」に選出されたのが平良竜哉だ。オフは巨人の坂本勇人に弟子入りし、自主トレに同行した成果が出たのか、キャンプ前の対外試合5試合で14打数6安打2打点を記録。身長170cmと小柄ながら、思い切りのいいフルスイングが魅力。出身地にちなみ、「沖縄のアルトゥーベ」とも呼ばれている男がレギュラー奪取を目指す。
埼玉西武ライオンズ
自ら「新人王を狙いたい」と宣言しているのは、今季が高卒4年目の豆田泰志(2020年育成4位)だ。昨季7月に支配下登録を果たすと、1軍で16試合に登板し、0勝0敗6ホールド1セーブ・防御率0.59という好成績をマーク。身長173cmと小柄ながら、最速152キロを誇る縦回転のストレートは「豆直球」の異名で注目されている。そんな豆田とは対照的に192cmの長身を誇るのが「所沢のランディ・ジョンソン」と呼ばれる高卒3年目左腕、羽田慎之介(2021年ドラフト4位)だ。実家はベルーナドームから車で十数分の場所にあり、小学校時代はライオンズジュニアでプレーした経験を持つ左腕エース候補。角度のあるストレートは最速157キロで、今季の目標のひとつに160キロ超えを掲げる。
ちなみに、豆田も埼玉県出身。地元出身の凸凹コンビが活躍すれば、チームの順位アップにも貢献しそうだ。
北海道日本ハムファイターズ
ルーキーイヤーの昨季も新人王候補に名前が挙がった注目株、それが金村尚真(2022年ドラフト2位)だ。昨季は期待通り、開幕ローテ入り。開幕3試合目でプロ初登板初先発を果たし、6回2安打6奪三振1失点と好投。次の試合ではプロ初勝利も記録した。ところがその後、右肩の張りで選手登録を抹消。9月に5ヵ月ぶりの1軍登板を果たすと、6回2/3を無失点の好投で2勝目をマーク。結果的に1年目は4試合に投げ、2勝1敗・防御率1.80の安定感を発揮。今季に新人王資格を残すために、25イニングの登板に留めた、とも言える。
18日に行われた楽天との練習試合では3回を投げ、3安打無失点。当然、開幕ローテ入りも期待されている。
上述したように、ここでは「2年目以降」の選手たちを取り上げたが、7年ぶりに「ルーキーの新人王」が登場する可能性も十分にある。若手選手が活躍するほど、プロ野球は面白くなるはずだ。