【DeNA】”ハマのルパン"が白星とファンの心を盗み取った!華麗な石田裕太郎のデビューに三浦監督「チームに何か感じるものを与えてくれた」と絶賛
ルーキー右腕の気迫の投球をバックも強力アシスト。交流戦ホーム最終戦は、ファンも含めた横浜スタジアム全体が「絶対に勝つ」との“氣“に満ち溢れていた。
4連敗中のチームに流れを呼び込んだのは、ドラ5ルーキーの石田裕太郎のピッチングだった。初回は周東佑京と今宮健太の嫌らしいコンビを連続三振に斬って取るが、栗原陵矢、山川穂高、近藤健介のクリーンアップをいずれも抑えられずに満塁の大ピンチ。そこで迎えたのは、このカード9打数6安打といいようにやられている柳町達と暗雲が漂う場面だったが、落ち着いてファーストゴロに打ち取りガッツポーズ。
その裏は先頭の蝦名達夫の詰まった当たりが内野安打となるなどいいムードは続き、佐野恵太に代わりスタメン起用された梶原昂希もヒット、タイラー・オースティンはフォアボールといきなり無死満塁のチャンス。ここで6試合ぶりに4番に入った牧秀悟がレフトスタンド最上段へグランドスラムを叩き込み、スタンドもベンチはお祭り騒ぎとなった。
中央大の先輩からのビッグプレゼントをもらった石田は、レフトの筒香嘉智のダイビングキャッチや牧のスライディングキャッチにも助けられ、5回1失点と勝利投手の権利を持って降板。バトンを受けた坂本裕哉は安定感抜群のピッチングで中軸を抑え込むと、6回にはドラ6ルーキーの井上絢登にプロ初のタイムリーで貴重な中押し点をゲットした。
7回には筒香にダメ押し3ランも飛び出し8-4で快勝。ここ数試合溜まっていたベイスターズファンのフラストレーションを、一気にふっ飛ばすようなゲームとなった。
2020年の坂本裕哉以来となる新人の初登板初勝利を果たした石田裕太郎は「まさか勝てるとは思ってなかったんですけど」と素直な心境を吐露しつつ「相手はすごいいいバッターがたくさんいるので、ゾーンに自分で攻めていこうっていうのを心がけて、カウント負けしないようにってのは意識しました」と初登板の心意気を告白。初回の2死満塁にも「いきなり三振2個取れて、ちょっとほっとしたところでしたけど、内野の間を抜けたようなヒットと、ちょっと高めに浮いたスライダーだったんで、そんなに捕らえられてはないなっていう意識があったので、あそこは落ち着いて、正直タイムリーオッケーぐらいの気持ちで投げました」と強心臓ぶりも明かした。
三浦監督も「ファームで見て通りやってくれればっていうとこで、期待してるからこその今日の先発に指名したわけですから。もう最高の投球で選手たちもいいプレーで盛り立てましたし、いいところで追加点も取れました」とし「今のこのチーム状態の中で、ああいう裕太郎のようなガムシャラに投げるのは大事なのかなと。やっぱりチームに何か感じるものを与えてくれたかなと思います」と自軍に大きな勇気を与えるピッチングだったと頷いた。
生粋のハマっ子で筋金入りのベイ党が呼び込んだ大きな勝利。石田裕太郎の横浜愛を力に、敵地での交流戦でスパートをかける。
取材・文 ・ 写真/ 萩原孝弘