2024.09.13 18:00 | ||||
横浜DeNAベイスターズ | 5 | 終了 | 2 | 中日ドラゴンズ |
横浜 |
「シンプルに打席に入れてる」
奇跡への執念を胸に戦っている三浦ベイスターズ。夢に向けて“つなぐ”気持ちが、打線にも走塁にも、継投にも形となって現れた。
打線は初回、2試合欠場していたトップバッターの梶原昂希が内野安打で出塁し、2番の牧秀悟との間でランエンドヒットで1・3塁の形を作ると、3番の佐野恵太の犠牲フライであっという間に先制した。先発のアンソニー・ケイも3回までパーフェクトピッチングを披露。4回には先頭の岡林勇希に四球を与え初めて出塁を許したが、福永裕基のバントを華麗に捌きセカンド封殺と相手に流れを渡さぬ気概を見せた。するとその裏には、山本祐大、桑原将志、京田陽太の3連打でチャンスメイクすると、梶原昂希と牧秀悟の連続タイムリーで3点を追加。この回の5安打すべてがシングルヒットと、後ろにつなぐ意識が貴重な追加点を挙げる要因となった。
7回には2死後に牧と梶原のミスでピンチを招き、村松開人のタイムリーで2点を返されるが、ホームランで同点の場面を気迫の投球で任務完了。裏にはその牧が二塁打からセンターフライでタッチアップで三塁へ進み、タイラー・オースティンの犠牲フライで再び突き放し、試合を決めた。
試合後三浦監督はケイについて「立ち上がりからきちんと抑えてくれましたし、リズムを作ってくれました。安定した投球で、ほぼほぼ(持ち球)全部よかったのかなって感じで。うまく(山本)祐大もリードしながら、攻めてくれたと思います」と約2ヶ月ぶりの勝ち星を挙げた助っ人左腕を高評価。
猛打賞に加え足でも見せた牧秀悟には「キャプテンとして苦しいこともいっぱいあったと思うんですけど、そういうの一切見せずに常にチームのことを最優先に考えて。しかも自分の打席、自分のプレーっていうのもやりながら、打つだけじゃなく走塁意識も、率先してチームを引っ張ってくれてます」と最敬礼した。
また5単打を集中させ3点を奪った攻撃には「決めるより繋ごうって感じですよね。下位打線から繋いで繋いでっていうところで、上位に回してしっかり返してくれました。しかし、返すっていうか、繋いでまた繋がれた打者が、また後ろにつなぐ。1発決めてやろうっていう気持ちじゃなく、みんなシンプルに打席に入れてると思いますね」と頷いた。
就任以来掲げていた“つなぐ野球”で勝ち星を掴んだ指揮官。「もうみんな必死に今日の試合を戦ってくれてます。ベンチだけじゃなく、チームスタッフ全員で戦えてると思います」との言葉に、確かな覚悟が滲み出ていた。
取材・文・写真:萩原孝弘