カブス・鈴木誠也(写真=GettyImages)

◆ データで振り返る!メジャー日本人選手の2024年

▼ 第4回・鈴木誠也

 カブスの顔としてすっかり定着した鈴木誠也。今季は21年オフに結んだ5年契約の3年目だった。

 開幕戦で2番を任されると、最初の7試合中6試合で安打を放つ絶好のスタート。打率3割を維持していたが、4月中旬に右腹斜筋の張りで負傷者(IL)リスト入りを強いられた。

 約1か月後の5月中旬に戦列に復帰した鈴木だが、5月は月間打率が.219と低調。6月も打率自体は.258だったが、5本塁打&5盗塁とパワーとスピードの両面でチームを牽引した。

 7月以降は.299→.287→.329と月間打率も高水準を維持。終わってみれば、.283の打率こそ自己ベストに2厘及ばなかったが、本塁打と盗塁はともに自己ベストを更新する「21-16」をマークして3年目のシーズンを終えた。

 一時は「20-20」も視界に入るペースだったが、それは来季以降に持ち越し。それどころか、ケガなくフルシーズン働ければ、「25-25」を記録してもおかしくない。

 9月はほぼ指名打者に専念したが、それも好打率を残せた一因といえるかもしれない。また、打率だけでなく、OPSもオールスター休みを境に.813から889と良化させており、来季4年目の来季に期待を持たせるには十分なフィニッシュだった。

 ただ、気になるのは三振が増えたことだ。打席数は前年とほぼ同じだったにもかかわらず、三振の数は130から160に急増。長打を求められる打順を務めることも多く、本人もある程度、本塁打を意識した結果ではないだろうか。

 また、三振の増加以上に目を引いたのは、フライアウト1つ当たりのゴロアウト数を示すGO/AOの数値だ。

 23年はこれが0.94でゴロアウトとフライアウトの数がほぼ同じだった。ところが、今季は0.52と数値がほぼ半減。つまり、1つのゴロアウトに対してフライアウトが2つあったということを意味する。それだけ鈴木には“打球を上げる”意識が強くあったのだろう。

 そんな鈴木は今季、最も幸運な打者の一人だった。本塁打を除くインプレーの打球のうち安打になった割合を表すBABIPという指標があるが、鈴木の.370はなんとメジャートップ。打ち取られた当たりでも安打になることが多かった。ただ、打率自体は.283と前年の.285から悪化していたのは気になるところ。

 長い目で見れば、来季は同じようなBABIPは見込めず、今季と同じように長打に主眼を置くようなら、打率低下は否めないだろう。

 鈴木が加入した過去2年でチームはポストシーズン進出にあと一歩まで迫っている。若手の有望選手も徐々にそろってきている。自身初のポストシーズンはもちろん、鈴木の打棒次第では地区優勝争いも夢ではない。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊・プロフィール】
1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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