ニュース 2024.12.19. 09:00

ロッテ・佐藤都志也「キャッチャーで出ながら打てたというのはすごいよかった」打率リーグ4位と“打てる捕手”として存在感を示す1年

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ロッテ・佐藤 (C)Kyodo News
 ロッテの佐藤都志也はプロ5年目の今季、初めて規定打席に到達し、打率はリーグ4位の.278をマークするなど、“打てる捕手”として存在感を示す1年になった。

 打率.278はZOZOマリンスタジアム移転後、規定打席に到達した球団の捕手ではトップの数字。ただ本人は「サトさんよりヒットを打っていないのでね。“俺の方がヒット打っている”と言われそうなので、なんも言えないです。キャッチャーで出ながら打てたというのはすごいよかったと思います」と冗談まじりに話した。ちなみに佐藤は今季114安打で、07年に打率.270をマークした里崎智也氏は同年129安打だった。

 相手が対策してきた中で2割8分近いアベレージをマークしたのは立派。「打てない時期もありましたけど、その中でもコーチの方といろいろ話をして、僕に対しての攻め方、アナリストさんを含めて、インコース来るだろうとか、いろいろ対策できた中でできたのはすごい良い1年間だったかなと思います」と感謝した。

▼ マリン移転後の92年以降のロッテ捕手規定打席到達者
06年 里崎 智也 率.264(382-101)本17 点56
07年 里崎 智也 率.270(477-129)本14 点75
09年 里崎 智也 率.234(414-97)本10 点49
18年 田村 龍弘 率.239(415-99)本 3 点35
24年 佐藤都志也 率.278(410-114)本5 点45

継続して取り組む


 昨季まで好不調の波が大きかった佐藤は2月の石垣島春季キャンプから今季まで一軍打撃コーチを担当した村田修一コーチ(来季DeNAコーチ)と一緒に、“前に突っ込まない意識づけ”、“イメージの仕方”を継続して取り組んだ。

 練習試合では打率.273(22-6)、オープン戦が始まってからも最初の2試合は、6打数3安打。3月9日の取材では、「やろうとしてやっていることを試している途中なので、いいとか悪いとかはわからないですけど、やろうとしていることが良い方向につながっているのは確かなことなので、はい」と話し、「今までやってきたこと違うことをやっているので、気持ち悪いと感じることもあるんですけど、でもそれが慣れていけば自分のモノになってくると思うので、そこをどれだけ自分のモノにできるかというところだと思います」と話していた。

 オープン戦では打率.286(14-4)を残し、シーズン開幕を迎えると開幕から安打を量産。高打率の要因について4月17日の取材で、前に突っ込まないようにするための意識づけを徹底した結果、球数を投げさせたり、ボール球を見送ることができているという認識で良いかと質問すると、「そうだと思います。変に迎えに行ったりとかしていないので、球を呼び寄せて打つことができている」と自己分析。

 4月17日の取材日時点で打率.414をマークしていたが、「それはたまたまヒットになっているだけ」と謙虚。「去年に比べてミスショットが少なくなってきている。変なポップフライが少ないので、そういった意味ではアプローチ、コンタクト率が去年より上がっているので、いい方向に向かっているんじゃないかなと思います」と好感触を掴んでいた。

 4月終了時点で打率.385だったが、5月は一転して打率.224と下がった。「徐々に落ちてはいますけど、自分の頭でやりたいことと体の位置が今できていない状態。そこをなるべく早く一致させられれば。やりたいことをできていない体の状態というのもあると思うので、そこをなんとか早く一致させられるようにしたい」と6月2日に取材した時には話していたが、6月12日のDeNA戦から16日の中日戦にかけて5試合連続安打、同月22日のソフトバンク戦から25日の楽天戦にかけて3試合連続複数安打を放ち、25日の楽天戦では1試合4安打と復調した。

 6月28日の取材で佐藤は「今はあってる(頭で考えていることを体で体現できている)んじゃないですかね、ちょっとずつ。体の状態とかがあったので、やりたいことはうまくできているんじゃないかなと思います。ただ、ズレはあるんですけど、一時よりはいいんじゃないですかね」と解説。

 状態を上げるために意識していることについて佐藤は「キレを落ちていると思ったので、疲れているから動かないとかじゃなくて、ちょっとずつキレが出るようにランニングしたり、疲れを抜く方法、ウエイトもそうですけど、やることをやってダメだったら変えればいいやという感じではいましたね。交流戦終わったちょっとした時間も含めて、もう1回原点に戻って良くはなっているのかなと思います」と話した。

 これまでは調子が落ちたりすると、自分から取り組んできたことを変更することがあったが、「ここまでやってきたことが自分の中であっていると思って信じてやってこれているので、波がないというのも多少、不調になってもある程度盛り返せるのかなというのはありますね」と春季キャンプから取り組んできたことをブレずに続けた。

 6月は月間打率.289と盛り返し、7月に入ってからは、さらに勢いが加速し、3日の日本ハム戦から7日の西武戦にかけて4試合連続安打、1試合無安打を挟んで、12日のオリックス戦から19日の日本ハム戦にかけて7試合連続安打、前半戦を打率リーグ2位の.298で終えた。

 佐藤は前半戦のバッティングについて「何もいうことないです。いいと思います」とキッパリ。「途中、逆方向がでなかったり、逆に今度は引っ張りに入ったりとか、自分の中で工夫してできたことはあったんじゃないかなと思います」と振り返った。

 開幕から安定した打撃を続ける中で、相手投手が佐藤を対策してきているなと感じることはあるのだろうかーー。

 「もちろん。今までと違う配球をしてきたりとか、インコースを攻められたりとか、そういうのはすごいあるなという感じが結構しています」。

 相手投手を打つために、研究をしたりもする。

 「データを活用してどういう配球をしてくるとかというのは頭に入れて打席に入っています。あとは実際バッターボックスに入ったら、ピッチャーとの勝負なので、深くは考えていないですけどね」。

 捕手での考えが打撃に活きたり、繋がってきていることはあるのだろうかーー。

 「多少はこういうカウントだったら外中心の配球になるなとか、逆に1点も取られたくないからインコースにくるなとか、それくらいは自分がキャッチャーをやっていて、やられたくないことはやってくるので、その辺は頭に多少はあるかなと思います」。

 そして、自身初出場となった『マイナビオールスターゲーム2024』、第2戦で5安打2打点の大活躍で球団では89年の村田兆治氏以来となるオールスターMVPに輝いた。チームに戻ってからも、オールスター明け最初のゲームとなった7月26日の楽天戦から5試合連続安打と、7月は月間打率.347と打ちまくった。

 しかし、8月に入ると当たりがとまる。5月に月間打率を下がった時には、ランニングの量を増やして再び状態を上げた。

 8月の月間打率が上がらないのも頭で考えていることを体で体現することができていないからなのだろうかーー。

 「今は違います。わからなくなってしまっている」と自分の状態を取り戻すために試行錯誤。結局、8月は月間打率.236、9・10月も打率.210だった。シーズン終了後、夏場にわからなくなった打撃について訊くと、「わからなくなってもやることを変えずにやってきたところ。もう1回原点に立ち返っての繰り返しです。キャンプからやってきたことを継続できたのがよかったのかなと思います」と明かした。

 去年までは打撃の状態が悪くなると新しいことを試し、 “継続”して取り組むことができなかった。

 「そこをテーマに持ってやっていたので、ずっと絶対にやってきたことを変えない。打撃云々というよりもやるべきことを貫き通すことが今年のテーマだったので、そういった意味ではすごいよかったかなと思います」。

 村田コーチが今季限りで退団となったが、「いい結果残して違うことやって戻るのは嫌なので、基本的には形を変えずにやっていこうと思います」とのこと。

 今季やり通したことにプラス、新たに取り組んだ方がいいなと感じたことはあったのだろうかーー。

 「打席の中での読み、配球を読んだり、特徴を読んだりくらいじゃないですかね。根本的な打撃のイメージは変えていないです。そこは狙い球を絞ったりっていうところじゃないですかね」。

 また、昨年取材したときに“打てる捕手”の基準に打率.250を挙げていたが、それをクリア。「今年が基準になってくると思うので、そこは絶対にクリアしていかなければいけないかなと思います」。

 今季は5本塁打だったが、長打を増やしたい考えはあるのだろうかーー。

 「そんなに考えていないですけど、狙ったら打てなくなるというのが自分でわかっている。バッティング練習では良いと思うんですけど、試合になったらそこは求めているところが違うかなと思っています」。

 来季に向けては、「来年が大事かなと。こういうシーズンを過ごした中で、次の年が一番大事かなと思っているので、過去のことは捨ててまた新たに作っていく。優勝したいと思っているので、今まで5年間やってきましたけど、今年が一番悔しいシーズンだった。一番自分が試合に出たシーズンというのもあって、より一層優勝、ビールかけしているのを見ると、優勝したいし、みんなで喜びを分かち合いたいというのがあった。来年こそという気持ちを持ってやっています」と決意を述べた。

取材・文=岩下雄太

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