殿堂入りが注目されるビリー・ワグナー(写真=GettyImages)

 現地時間21日(日本時間22日)に2025年度の米国野球殿堂入り投票結果が発表される。有資格1年目のイチローとともに殿堂入りを果たす可能性がある3選手を取り上げた。

 第1回のカルロス・ベルトランに続いて、今回は左腕ビリー・ワグナーにスポットを当てたい。

 1993年のドラフト1巡目(全体12位)でアストロズに指名されたワグナーは、公称178センチ、81キロと投手としてはかなり小柄な部類。しかし、伸びのある直球を武器に早くから頭角を現した。

 1995年に24歳でメジャーデビューを飾ったが、その年は1試合に投げたのみ。翌年に9セーブを挙げると、貴重なサウスポーとしてメジャー定着を果たした。

 2010年に38歳で引退するまで通算16シーズンのうち9シーズンをアストロズで過ごし、合計5球団を渡り歩いたが、意外にも個人タイトルには縁がなかった。

 最も多くセーブを挙げたのは、アストロズでの最後の年となった2003年で44セーブ。メッツ時代の06年に40セーブを挙げたが、40セーブ台に乗せたのもこの2回だけだ。

 通算防御率2.31からも分かる通り、とにかく大崩れしなかったことがワグナーの最大の特長だった。シーズン防御率は2点台がほとんど。2000年に6.18と散々な成績を残したこともあったが、それ以外の15シーズンは全て1点台か2点台に抑えていた。

 特筆すべきは奪三振率の高さだろう。唸るようなストレートを武器に1997年から3年連続で奪三振率14.0超えを達成。その後は11.0前後に落ち着いていたが、30代後半になって再び上昇。現役ラストイヤーとなった2009年には13.5を叩き出している。

 1990年代では珍しい左投げのクローザーだったが、実は元々の利き腕は右だ。子供時代にアメフトで右腕を2度骨折したため、左で投げてみたところこれが吉と出た。もし右腕を骨折していなければ、ワグナーが投じたえぐいストレートはメジャーで見られなかったかもしれない。

 そんなワグナーもこれが10度目の殿堂入り投票を迎える。有資格初年度の2016年に10.5%の得票に終わり、3年目までは10%台前半で推移していた。4年目にようやく16.7%に伸ばすと、5年目には31.7%に。その後もアップダウンがあったが、昨年度は73.8%とし、あと一歩まで迫っている。

 先発投手に比べると、救援投手は過小評価されがちで、これまで殿堂入りを果たしたのは7人だけ。そのすべてが300セーブ以上をマークしている。ちなみにこれまでの7人はすべて右腕なので、もしワグナーが殿堂入りすれば左投の救援投手として初の快挙となる。

 なお、ワグナーは現役時代のほとんどをナ・リーグで過ごしたため、イチローとはほとんど対戦したことがない。唯一顔を合わせたのは、アストロズ時代の2002年6月22日。延長10回に打席に立ったイチローをセカンドゴロに打ち取っている。

【ビリー・ワグナー通算成績(1995~2010年)】
853試合、47勝40敗、422セーブ、防御率2.31

文=八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊・プロフィール】
1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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