「1年目の目標は開幕スタメンを取りに行くという強い気持ちでやっていくのと、しっかりとシーズン通して出られるように、新人王を目指してやっていきたいと思います」。
昨年12月1日の契約会見で、“開幕スタメン”、“新人王”を目標に掲げたロッテのドラフト1位ルーキー・西川史礁(青山学院大)は、練習試合、オープン戦とバットでしっかりと結果を残し、開幕一軍、開幕スタメンが手に届きそうなところにいる。
14日の広島とのオープン戦では、チームが放った安打数はわずかに1本だったが、その1本が西川が放ったもの。『5番・左翼』で先発出場した西川は、0-0の2回一死走者なしで迎えた第1打席、開幕投手が内定している先発・森下暢仁が2ボール2ストライクから投じた6球目の133キロをレフトに弾き返す二塁打。開幕を2週間後に控え、各球団の主力投手たちが開幕に向けて本気モードになっていく中、変わらず安打を放っているのは、非常に頼もしい。
◆ 2月の対外試合から好結果
西川は2月の石垣島キャンプでは、「もちろん意識はしますし、2人とも本当に打球も強いですし、飛ばしますし、そこに力が入りすぎちゃう部分がたまにあるんですけど、逆にいい意味で考えずに普段通り、自分のやるべきことをやろうと思っています」同じ右の長距離砲外野手の山口航輝、山本大斗と同じ組で打撃練習を行ったが、平常心を貫いた。
ロッテの外野手は山口、山本だけでなく、髙部瑛斗、岡大海、藤原恭大、愛斗、和田康士朗、角中勝也、荻野貴司など、レギュラー、一軍枠を巡って競争が熾烈。石垣島春季キャンプ中、西川は「充実していますし、ここで毎日練習してやってきたことを次はオープン戦でしっかり自信を持ってやるだけだと思うので、しっかりと自信を持ってやれるようにしっかりやっていきたいと思います」と話し、「バッティングで結果を残すことが大前提なんですけど、守備であったり、走塁であったり、アピールできるところがたくさんあると思うので、そこをしっかりアピールしてやっていきたいなと思っています」と対外試合に向けて意気込んだ。
対外試合初戦となった2月16日の楽天モンキーズとの練習試合、『3番・左翼』でスタメン出場すると、3-3の6回二死一、二塁の第3打席、「毎打席考えることは一緒で、どうしてもランナーを返したいという強い気持ちがあったので、そこで1本出たのはこの先自信になりますね」と、1ボール1ストライクから投じた3球目をレフトに一時勝ち越しとなる適時打を放った。
同日の楽天モンキーズ戦、対外試合初安打が適時打と最高のデビューとなったが、「ひとつホッとしたところがあるんですけど、欲を言えばもう1本、2本打ちたかったなというのはありますね」と、4打数1安打という結果に満足することはなかった。
2月19日の広島との練習試合ではNPBの対外試合で初安打を含む3安打。2月22日の中日とのオープン戦では、1-1の9回一死走者なしの第4打席、清水達也が1ボール1ストライクから投じた3球目のストレートをセンター前に弾き返しオープン戦初安打。2月28日の韓国ロッテとの練習試合では、0-0の初回無死走者なしの第1打席、パク・セオンが2ボールから投じた3球目の高めのストレートを左中間スタンドに先頭打者本塁打。これが対外試合初本塁打となった。
3月に入ってからも、ZOZOマリンスタジアムでの初のオープン戦となった3月6日の広島戦、0-0の初回二死走者なしの第1打席、床田寛樹が投じた外角の初球ツーシームをライト線に、マリン初試合・初打席・初安打となる二塁打を放つと、2-0の3回無死一、三塁の第2打席、松本竜也が2ストライクから投じた3球目のチェンジアップをレフトへ、オープン戦初打点となる犠飛を放った。
西川はここまで対外試合16試合に出場して、打率.378(45-17)、1本塁打、6打点と結果を残し続けている。開幕まで2週間を切った。開幕に向けて、一軍でバリバリ投げる先発、リリーフを相手にどういう打撃を見せるか非常に注目だ。
取材・文=岩下雄太