「とにかくまずはやってきたことで自分のボールをとにかく投げる。その中であとは試合になったら打者との勝負なので、そこは正々堂々としっかりと自分のピッチングができたらいいなと思います」。
練習試合、オープン戦に向けてこのように意気込んでいたロッテの高卒3年目・田中晴也が、開幕先発ローテーション入りへ向けてしっかりとアピールしている。
今季対外試合初登板となった2月18日のヤクルトとの練習試合は3回を無失点に抑えたが、初回8球全てストレートで三者凡退、2月26日のオリックスとの練習試合でも、ストレート主体の投球で4回を1失点にまとめた。
ストレートは「順調にきていると思います。ファウルが取れているのでいいかなと思います」と手応え。昨季、走者を出してからのクイックの精度、走者を出した時にストレートのスピードが落ちる傾向にあったが、「不安なくできているので、対バッターに集中できているので、良いかなと思います」と、3月6日の広島とのオープン戦では0-0の3回二死三塁で山足達也の初球に152キロを計測するなど、ランナーを背負ってからも140キロ台後半のストレートを計測する。
対外試合が始まってから、ストレートで打ち取っていくスタイル。2月の練習試合では短いイニングだったこともあったのか、ストレート中心の投球が目立った。
「シーズン通して真っ直ぐが軸にならないといけないピッチャーなので、変化球を投げてもシーズン序盤ですし、真っ直ぐが通用しないことにはシーズン通用しない。真っ直ぐを投げて、まずはそこの一番大事なところをわざと多めに投げていました」と、その理由を説明した。
変化球も「良くなっていると思います」と話し、今季から投げ始めたチェンジアップも「順調に来ていると思います」とのことだ。
今年の田中晴也はストライク先行で打ち取れている。「ゾーンで勝負できているのもありますし、変化球の精度が良くなっているので、そこでアウトを1球で取れたりだとか、広島戦でもありましたけど、平行カウント、フルカウントのところでチェンジアップで1球で終わらせたりだとか、変化球の精度も1つの理由かなと思います」。
◆ 「自信を持ってシーズンを始められている」
開幕先発ローテーション入りに向けアピールを続けているが、投げるたびに、自信を持って投げられるようになっているのだろうかーー。
「投げるたびというよりは、今年は自信を持ってシーズンを始められているので、投げるたびにできることも増えているので、そういった意味ではいいのかなと思います」。
田中はクイックをはじめ、課題にしていたことを1つずつクリアしている。課題克服するために考えていることについて訊くと、「どうやったら良くなるかなというのを常に考えていますし、考えるだけで終わらないで、次の日のキャッチボールで実行したりだとか、そこに対して反省が生まれますし、トライして考えて反省してをずっと繰り返しています。そこは大事にしているのかなと思います」と、20歳とは思えないほど、落ち着き、そして自分自身と向き合っている。
「いいところを伸ばそうと思いますし、課題はクリアしないと良くならない。毎試合、毎試合、良いところと悪いところが出るので、そこに対してどうアプローチするのかというのを考えています」。
開幕まで2週間を切った。「今まで通りしっかりゾーンの中で勝負して、今までできないことは急に新しくできないと思うので、しっかりその日に100%のコンディションで、自分ができることを100%表現できればいいかなと思っているので、平常心でやっていきたいと思います」。プロ3年目の今季、どういう投球を披露するのか、シーズンを終えた時にどんな成績を残しているのか、今から楽しみだ。
▼対外試合登板成績
2月18日vsヤクルト 3回 28球 0被安打 1奪三振 0与四球 0失点
2月26日vsオリックス 4回 64球 3被安打 5奪三振 1与四球 1失点
3月6日vs広島 5回 55球 2被安打 3奪三振 1与四球 0失点
3月15日vs日本ハム(二軍) 5回2/3 86球 3被安打 9奪三振 2与四球 0失点
取材・文=岩下雄太