「良かったです。感覚も良かったです」。
18時から大宮で行われる西武戦に予告先発となっているロッテ・西野勇士は、6回を1失点に抑えた前回登板の4月2日のオリックス戦をこう振り返った。
立ち上がりからストレートが力強く、追い込んでからのフォークも良かった。オープン戦序盤の3月9日の取材では、フォークについて「調子が悪いというか、練習中です。握りを変えてしっかり落ち幅を出そうとしていて、今はその練習中です」と課題を口にしていたが、3月19日の楽天とのオープン戦以降、フォークの落差が大きくなったように見える。
今季初登板となった2日のオリックス戦も、0-0の初回先頭の中川圭太を1ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた142キロのフォークはストライクゾーンからボールゾーンに良い落ち。0-0の初回二死走者なしで西川龍馬を2ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた6球目のフォークもストライクゾーンからボールゾーンにストンと落ちた。
現在のフォークは「良いと思います。(ミスした球は)何球かありましたけど、全体的にミスも少なかったし、しっかりと落ちも出ているので腕も振れている。良い結果も出ているし、本当に良いんじゃないかなと思います」と手応えを掴む。
左打者の外のフォークはシンカー気味にも見えたが、本人は「どっちに落とすとかの微調整はないんですけど、落ち幅はしっかりしているので」とのことだ。
前回登板のオリックス戦はフォークだけでなく、「もとからコントロールに自信のある球ですし、そこはいつも通りという感じですかね」とスライダー、カーブなど満遍なく投げた。
気になったのが、シュート。1-0の4回先頭の中川圭太に2ボール2ストライクから投じた5球目のシュートをライト前に運ばれるなど、インコースに投げきれていなかったように感じた。「この間、甘めに入っていましたね、正直。難しいのは際、際にいった時にボール先行になるのが僕は嫌だったので、少し甘めに行こうと思ってちゃんと甘めにいってるなという感じでした」と分析する。
では、ライト前に安打を打たれたのはある程度、仕方がないものと思っているのだろうかーー。
「しょうがないです。自分で甘く投げているので、わざとというか。もう1個厳しくというか、もう1個球1個分くらい厳しく投げられたらいいなと思います」。
走者を出しても、「バッターが何を絞っているかにもよりますけど、しっかりそこにバッターとの意識の差を作って打ち取れているところはあると思うので、いいんじゃないかなと思います」と0-0の2回一死一塁で頓宮裕真を1ボール2ストライクから投じた5球目の139キロフォークで三併に仕留めたり、6回1失点と西野の真骨頂である“ゲームを作る”ことはできた。
昨季の反省を踏まえ、今季は開幕に向けての調整を先発ローテーション入りを狙った2023年の形に戻した。「とにかく順調です。開幕に合わせることはしっかりできたので、本当に良い状態でゲームに入っていけたのかなと思います」。
去年に比べて好スタートを切れた要因に「ストレートが去年、シーズン最初悩んでいる状態だったので、それに比べたらすっきりした状態で入れている。軸になる真っ直ぐが良いからだと思います」と説明した。
同学年のヤクルト・小川泰弘が3日の広島戦でマダックスを達成した。西野も完封、マダックスをしたいか訊くと、「ライアンはすごいなと思いますけど、マダックスをしたいは、ないですね。最後まで投げ切るというのはシーズン中どこかでやれたらいいなと思っています」とキッパリ。
「ずっとそうですけど、とにかくゲームを作って、勝ってたらそのまま6回、7回くらいまで繋いで、負けていても逆転できる状態で次に渡していけるくらいゲームを作っていけたらいいなと思います」。今夜もゲームを作る西野の投球を見せてくれるはずだ。
取材・文=岩下雄太