「気持ちは良くないですね。う〜ん、まず真っ直ぐで押せていないことと、やっぱり真っ直ぐで押せない分、変化球で空振りが取れていないという印象です」。
ロッテの種市篤暉はここまで登板した2試合の投球に、全く満足していない。
満足していない原因のひとつがストレート。「メカニックが良くないので、前回も抑えましたけど、到底自分のピッチングではないなと思ってマウンドで投げていました」。これまで種市はストレートが良くない原因に“左肩の開きが早くなっている”ことを挙げることがあったが、現在納得のいくストレートが投げられていないひとつに左肩の開きが早くなっていると明かした。
また、2月の石垣島春季キャンプから意図的に高めのストレートを投げているように見えるが、「投げたいとは思っています。練習はしています」とのことだった。
最大の武器であるフォークは、3月23日の巨人とのオープン戦、1-0の2回先頭の岡本和真に初球インコース136キロフォークで空振り、2ボール1ストライクから4球目の138キロインコースフォークで空振り、今季初登板となった3月30日のソフトバンク戦、1-4の5回無死一塁で山川穂高に1ストライクから投じた2球目の134キロのインコースのフォークで空振りと、右打者のインコースに良いフォークを投げ込んでいる。本人も「フォークは右の方が感覚は良いです」とのこと。
今季の種市を見ていると、右打者のインコースに4月8日の西武戦、7-1の7回先頭のネビンに1ボール1ストライクから投じた3球目にインコースの136キロシンカー系フォークで空振り、3月30日のソフトバンク戦、0-4の3回二死満塁でリチャードに1ストライクから投じた2球目の外角ストライクゾーンからボールゾーンに落ちたフォークはスライダー系と、右打者のインコースにシンカー系、アウトコースにスライダー系のフォークを投げ分けているように見える。種市に確認すると、「最近はそこまで意識していないですね。軌道、綺麗に落とせればという感じです」と教えてくれた。
スライダーも縦に落ちるスライダー、スイーパー系のスライダー、逆曲がりのスライダー、有吉さんスライダーとバリエーションが増えたように見えるが、本人は「勝手に曲がっていくという感じですね。自然な感じです」と意図して投げていないようだ。
3月30日のソフトバンク戦、1-4の6回無死走者なしで、リチャードを2ストライクから空振り三振に仕留めた135キロスライダー、1-1の3回先頭の古賀悠を1ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた外角137キロスライダーは、“スイーパー”に見えた。「スイーパーより全然曲がっていないですけど、あれはいい軌道だったっすね」と納得の1球が投げられた。
4月8日の西武戦、1-1の4回先頭の西川愛也に2ボールから3球目に132キロの外からのスライダーで見逃しを奪ったが、このスライダーについては「基本的にはジャイロ回転のスライダーを投げたいと思っています」と明かした。
気になるのは、ここまで2試合で奪った三振数が8とやや少ない。「真っ直ぐがいい形で投げられたらいいなと思っています。今はそこに集中すべき時じゃないかなと思っています」と分析する。
18時に行われる日本ハム戦に先発する。「変わらず長いイニングを投げて勝てるようなピッチングをしたいと思います」。1イニングでも長く投げ、チームを勝利に導いてみせる。
取材・文=岩下雄太