新庄監督と古林睿煬(右) (C)Kyodo News

◆ 白球つれづれ2025・第19回

 新庄剛志監督率いる日本ハムがパリーグの単独首位に立った。

 9日から本拠地、エスコンフィールドで行われた楽天戦に3連勝。阪神と共に20勝一番乗りを達成した。

 5月に入るとチームの勢いは一気に加速して、6勝2敗1分け。その内容が素晴らしい。まるで盆と正月が一緒にやってきたようなお祭り状態だ。6勝1分けの内容を振り返ってみる。

5月1日 vs.ソフトバンク ○3-2
・台湾から新加入の古林睿煬(グーリン・ルェヤン)が来日初勝利

5月4日 vs.西武 ○3-2
・4年目の達孝太が今季初先発初勝利

5月6日 vs.オリックス ○7-3
・清宮幸太郎、万波中正、野村佑希の和製大砲トリオがアーチ競演

5月7日 vs.オリックス 延長12回 2-2引分け
・51年ぶりの10投手総動員

5月9日 vs.楽天 ○2-1
・先発の金村尚真が今季3度目の完投

5月10日 vs.楽天 ○8-7
・楽天・村林の逆転満塁弾を万波が再び逆転満塁弾返し。史上初の快挙

5月11日 vs.楽天 ○4-0
・台湾の「火球男」古林が98球完封。“マダックス”で2勝目

 この6勝分に今季の日本ハムの強さが集約されている。

 まず、古林、達、金村に代表される若手投手の台頭だ。昨年までは大黒柱の伊藤大海に、ベテランの山﨑福也、加藤貴之らで先発ローテーションを固めたが、若手の台頭で質量ともに充実している。

 第二に、万波、野村、清宮の和製大砲に凄みが増して、破壊力抜群。目下9本塁打でリーグトップを快走する万波に、フランミル・レイエスも加えてチーム本塁打39本は両リーグ断トツの数字だ。

 これだけ打線が充実すれば、下手な小技は必要ない。昨年はリーグで2番目に多い115個の犠打が、今季は開幕から15試合連続犠打ゼロのNPB新記録まで達成している。

 22年に誕生した新庄体制。これまでは監督が最大のスターで、野球そのものも奇襲、奇策を好む傾向にあったが、徐々に若返り策が実を結び、5月の攻勢を見ると横綱相撲に変化してきているのがわかる。

 11日の楽天戦では一番打者に、現役ドラフトでソフトバンクから加入した吉田賢吾選手を抜擢すれば4号本塁打を放つ活躍。二番に捕手の田宮裕涼を起用する。このあたりは日替わりオーダーで、チーム内競争を煽る狙いが見て取れる。

「今年の4番は野村君で行きます」と未完の大器に主役の座を与えると、見事に大役を果たしている。「6~7人のスター選手を作りたい」と年頭に誓うと、その通りに有望なスター候補生が次々に誕生しているのだから“新庄パワー”も神がかってきた。

 最大のライバルと目されるソフトバンクが故障者続出で出遅れたのを尻目に貯金は最大の6。強いて不安材料を探せば本拠地で、直近の楽天戦3連勝を加えても7勝11敗の「外弁慶」ぶりだが、これから暑い夏になれば、涼しい北海道は強みになりそう。

 両リーグ20勝一番乗りは栗山英樹前監督時代の12年以来。この時はリーグ優勝を飾っている。昨年オフ、一度は勇退も考えたと言う指揮官は、もう一度構想を練り直して集大成の1年と位置付けた。もちろん、頭の中には「優勝」の二文字しかない。

 昨年の交流戦突入前にはソフトバンクに4.5ゲーム差つけられて2位だったが、今季は現時点でその宿敵に4ゲーム差をつけている。

 まだこの先には100試合以上の長丁場の戦いが続く。

 快勝の続いたエスコンフィールドでは、試合後に野手を集めてOBの田中賢介氏によるバント教室が開かれたと言う。交流戦や先々の戦いを見据えた準備である。

 一見、派手さと奔放さがが全面に出る新庄監督だが相手の裏をかくことを好む策士でもある。“メイストーム”で相手を蹴散らし、もう一段高みに登ることを視野に入れている。

文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

この記事を書いたのは

荒川和夫

1975年スポーツニッポン新聞社入社。野球担当として巨人、西武、ロッテ、横浜大洋(現DeNA)等を歴任。その後運動部長、編集局長、広告局長等を経て現在はスポーツライターとして活動中

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