「本当に1試合1試合、1つのアウトをしっかり取ってチームの勝利に貢献していきたいと思います」。
ロッテの鈴木昭汰は、益田直也をはじめとした実績のあるリリーフ陣が一軍不在の苦しいブルペンの台所事情の中で、勝ち試合の8回、9回を中心に投げ、マリーンズのブルペンを支えている。
プロ4年目の昨季、松井裕樹(パドレス)と自主トレを行い、“体の使い方”、“野球に対する考え方”、“栄養面”など野球に関わる全てのことを教わり、開幕から27試合連続自責点0、自身初のオールスター出場、51試合に登板して、2勝2敗27ホールド5セーブ、防御率0.73と抜群の安定感を誇り、シーズン終了後には『ラグザスpresents第3回WBSCプレミア12』の日本代表に選出されるなど、飛躍の1年となった。
今季に向けては昨季と同じく松井と自主トレを行い、「新しいこともしましたし、どんどんやることが増えているなと思います」と去年学んだことを継続しつつ新しいことも学んだ。
2月26日のオリックスとの練習試合で対外試合初登板を果たすと、「0というのは結果だけなので、まずは内容、良い点も悪い点もあったし、自分のやりたいことはキャンプから通してできたと思うので、それをしっかり開幕で今シーズンぶつけていきたいなという思いが今はあります。良い時も悪い時もあると思いますけど、1年間通してチームに貢献していきたいと思います」と、練習試合・オープン戦は7試合・7イニングを投げ、無失点に抑え、開幕を迎えた。
今季初登板となった3月28日のソフトバンク戦、ホールドがつかない7-1の7回にマウンドに上がり、10球中8球がストレートのパワーピッチングで1回を無失点に抑えると、3月30日のソフトバンク戦では7-4の9回に登板し今季初セーブをマーク。
今季4試合目の登板となった4月11日のソフトバンク戦で初失点、続く4月16日の日本ハム戦で無失点、4月18日の楽天戦で失点し、4月22日の西武戦で無失点と「続けて失敗しないことが大事なので、そこら辺は気をつけてやっていきたいと思います」と失点した次の登板で、しっかりとスコアボードボードに“0”を入れるあたりもさすがだ。
3月30日のソフトバンク戦、7-4の9回先頭の周東佑京を3ボール2ストライクから見逃し三振に仕留めた8球目の外角145キロストレート、4月16日の日本ハム戦、3-0の8回一死走者なしで五十幡亮汰に投じた初球の外角147キロ見逃しストライクなど、左の外角のストレートが良い。「右バッターのインコース、左の外は生命線なので、そこはしっかりやっていきたいと常に思っています」。
スライダーも、4月3日のオリックス戦、2-2の7回無死一塁で杉本裕太郎を1ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた縦に落ちるスライダーが良かった。「あれも良かったっすね。スライダーは常に良くないとダメだと思っているので、そこら辺はしっかりやっていきたいですね」。
今季も勝ち試合の8回、9回とポジションは固定されていないが、現在6試合連続無失点に抑えるなど、安定した投球を継続。「去年1年間やっている。8回、9回と任せてもらえるようにしっかり頑張りたいと思います」。
去年は開幕から27試合連続自責点0に抑えるなどしたが、「成績は去年が良すぎたけど、1試合1試合大事にやっていく中で、勝ちを許さずやっていけたらいいかなと思います」との考え。
現在チームは借金9の最下位と苦しんでいる。そのため、登板間隔が空くことも多いが、調整が難しい中でもきっちりと登板した試合でゼロに抑えて戻ってくるのはさすが。チームの勝利のため、今日も腕を振る。
取材・文=岩下雄太