現在最下位に沈むロッテは、野手では西川史礁、山本大斗、寺地隆成、投手では中森俊介、田中晴也、木村優人といった20代前半の選手たちが一軍でポジションを掴もうと必死にアピールする。その中で、種市篤暉、鈴木昭汰、小川龍成の“98年世代”の3人から中心選手としての自覚がひしひしと伝わってくる。
取材していてそれを強く感じたのが小川だ。小川は4年目の昨季、23年11月から“三遊間に低いライナーで打てる感覚”を身に付けるために必死にバットを振ってきた結果、昨季シーズン自己最多の119試合に出場するなど成長の1年とし、今季は怪我で二軍落ちがあったが、ここまで37試合に出場して、打率.194、6打点、4盗塁。
小川は6月26日の取材で、走塁について「しっかり一軍で貢献する立場の選手だと思います。盗塁もそうですし、走塁の部分でも相手の隙をどんどん狙って次の塁を盗むという意識はあるので、そこはもっともっとやっていきたいと思います」と話すと、守備についても「この前の送球ミスであったり、もったいないエラーもある。そういったミスをしてはいけない立場だと思っているので、どんな状況であっても確実にアウトを取ったりプレーを完了させるというところは、もっとこだわってやっていきたいですね」自覚を示した。
「攻撃でも自分の役割をしっかりやって、守備でも自分が引っ張っていく立場だと思うので、ミスをなくしていいプレーをしっかり出してピッチャーを助けたり、本当に守備の中心だと思ってしっかり引っ張っていきたいと思います」と決意を述べた。
種市は高卒3年目の19年にチーム最多タイの8勝をマークし、20年には一時奪三振数でリーグトップに立つも同年9月にトミー・ジョン手術を受け、23年に一軍本格復帰すると同年にシーズン自己最多の10勝、昨季は自身初の規定投球回に到達。今季はここまで、11試合・67回を投げ、2勝4敗、48奪三振、防御率3.36の成績を残す。
種市は「僕が若手の時も5回で降りても、涌井さん、石川さんが7回、8回投げていただいた。そういう部分を今、僕がやらないといけないと思います。若手には短いイニングを全力で投げてもらって、僕は長いイニングを投げて、中継ぎを休ませられるように頑張りたいと思います」と、エース格として頼もしい言葉。
20年ドラフト1位で入団した鈴木は、4年目の昨季、開幕から27試合連続自責点0に抑えるなど、51試合に登板して、2勝2敗27ホールド5セーブ、防御率0.73と抜群の安定感を誇り、シーズン終了後には、『ラグザスpresents第3回WBSCプレミア12』の日本代表に選出されるなど、飛躍の1年となった。今季も、開幕から勝ち試合の8回、9回を投げ、ここまで25試合に登板して、1勝2敗12ホールド5セーブ、防御率3.33と、マリーンズのブルペンを支えている。
ブルペン陣に若手選手が多かった5月28日の取材で鈴木は、「やることは変わらないし、ベテランがいなくて普段頼りにしていたことが顕著に表れていますけど、それをいつまでも頼っているようじゃダメだし、自分がそういう役割を担っていければいいなと思っています」と話していた。
種市、鈴木、小川から中心として引っ張っていく姿勢を感じると6月27日の取材で鈴木に伝えると、「その通りだし、僕らみたいな人間がどんどんチームを引っ張っていかないといけないと思います」と語った。
鈴木によると、同学年の選手たちでチームを引っ張って行かなければという話はしていないとのことだ。
常勝軍団を築くためにも、種市、鈴木、小川といった98年世代をはじめとした彼らと近い世代の選手たちがチームの中心、日本を代表する選手に成長していく必要がある。
取材・文=岩下雄太