開幕から本来はロッテのブルペン陣を支えなければならない中堅、ベテランが苦しむ中、昨季51試合に登板して、チームトップの27ホールド、防御率0.73と抜群の安定感を誇った鈴木昭汰が、今季も変わらずマリーンズのブルペンを支えている。
現在は勝ち試合の8回を中心に投げ、6月11日の広島戦から9試合連続無失点、6月15日のヤクルト戦から7試合連続ホールドを挙げる。6月22日のDeNA戦の投球は素晴らしかった。10-9の8回表のロッテの攻撃は、ウィックの前に三者連続3球三振に倒れ、その裏、DeNAの攻撃は1番・度会隆輝からの打順だった。
DeNAに傾きそうな流れの中、マウンドに上がった鈴木は先頭の度会を2ボール2ストライクからストレートで見逃し三振で、まずは先頭打者を打ち取る。続く松尾汐恩も2ボール1ストライクからの4球目のツーシームで二飛、最後は佐野恵太を1ボール2ストライクから4球目のスライダーで二ゴロに仕留め、1番から始まるDeNAの攻撃を3人で片付けた。
あの日の投球について「僕らは優勢なのは変わりないので、どんな流れでもアウトを3つ取ることは変わりないので、あんまり余計なことは考えず、1人1人戦っていこうと思って投げました」と振り返った。
今季の鈴木の投球を見ていると、三振が多く取れている印象。数字を見ても、ここまで25回を投げ25奪三振、奪三振率は8.88と、現時点では昨季の奪三振率7.66を上回る。6月27日の取材で、本人に奪三振が多いことについて訊くと、「らしいですね。そんなイメージがないんですよ」とポツリ。
6月17日の阪神戦、3-1の8回二死走者なしで中野拓夢を3ボール2ストライクから外角のストレートで見逃し三振を仕留めたように、“左打者のアウトコース”に三振を奪っているイメージがある。ただ本人は「それは、たまたまじゃないですかね」とのこと。
三振を奪えていることに加え、ここにきて無失点投球が続く。昨季は交流戦の最初に疲れが溜まっていたと話していたが、今季は「そこまで疲れているというわけではないですね」と力強い言葉を残し、この先も連投を含め、どんどん投げていきたい考えを示す。
マリーンズのブルペンには欠かせない存在になった鈴木。プロ入り2年目までは一軍で先発登板もあったが、3年目以降はリリーフを務めている。リリーフのやりがいはどんなところにあるのだろうかーー。
「いい場面で投げさせてもらっている責任もありますし、終盤に投げるのは勝ちに繋がるので、喜びというのはありますね」。
益田直也が一軍不在時には「ベテランがいなくて普段頼りにしていたことが顕著に表れていますけど、それをいつまでも頼っているようじゃダメだし、自分がそういう役割を担っていければ」と話すなど、中心選手としての自覚も出てきた。
「本当にどんどん試合数が減ってくるので、1個の勝ちを確実に勝てるように、しっかり投げていきたいと思います」。自身の役割を果たし、1つでも多く勝ちに貢献していく。
取材・文=岩下雄太