ロッテ・寺地隆成(C)Kyodo News

 ロッテの高卒2年目・寺地隆成が7日、『マイナビオールスターゲーム2025』に監督選抜で初出場を決めた。

 寺地は昨季高卒1年目ながらイースタン・リーグ2位の打率.290をマークし、一軍プロ初出場となった10月3日の日本ハム戦、第1打席にレフトレフトフェンス直撃の二塁打を放ちプロ初安打を記録した。シーズン終了後にはオーストラリアで行われたウインターリーグに参戦。

 ウインターリーグが終わり、日本に戻ってからは「1月中は自分の練習。自分の苦手分野を克服していきたいと思っているので、バッティングだったらインコースのさばき、内からというイメージを多くしてみたり、今日(1月28日)もスローイングの練習をしたんですけど、以前よりは横に流れるスローの変化がなくなってきているので、そこをやってきましたね」と課題に真摯に向き合った。

 ロッテ浦和球場で1人で自主トレを行ったが、それも自身の課題がわかっているからこそ。

 2年目の今季に向け「目標としているのは初ホームラン。去年よりも試合の出場機会を多く求めて、今年は去年よりもしっかり出場できるように頑張っていきたいと思います」と一軍出場試合数のアップを誓った。

 春季キャンプは石垣島組でスタート。第1クール最終日には「いい緊張感でチームプレーだったり、できているんじゃないかなと思います」と話し、「日に日に成長しているってところをしっかり見ていただいて、まずはバッティングだと思うんで。守備もそうですけど、バッティングでどんどん成長していっている姿を見ていただければなと思います」と実戦練習がスタートする第2クールに向け意気込んだ。

 2月8日のライブBPでは「打席の内容はまだまだかなと感じていて、真っ直ぐに刺されないように手で探り探りになって、手で合わせにいこうとしていた部分があったので、ここから修正していきたいと思います」と納得いかず。田中楓基からセンター前に安打性の当たりを放ったが、「少し先バットの気味だったので、あれが芯で捉えていたら左中間だったり、レフトに強い打球だったのかなと思うので」と反省の言葉が並んだ。

 同日の全体練習後の室内練習場では「速い球になれるというか、実戦でのピッチャーのストレートであったり、マシンで普通の打席に立った球速よりはるかに速いと思うので、動体視力というか、反応ができる練習になっていると思います」とマシンに近づいて打席に立ち、打撃練習を行った。

 2月11日のライブBPでは、「3球目から逆打ちのサインのプレーだったんですけど、しっかり反対方向に。真っ直ぐ入りですけど、スライダーにしっかり対応できたかなと思います」と坂本光士郎が投じた3球目をレフト前にポトリと落ちる安打。同日の午後から行われた紅白戦でも「真っ直ぐ入りで、浮いたスライダーと思って、なかなか踏ん張りが効かなくて引っ掛けたような打球でしたけど、打ち損ないにしてはそんなに悪くはないのかなと。全然悪くない打席だったかなと思います」とピッチャー強襲の安打を放った。

 守っても、「スローイングを課題にしていた中で、自分の形の中でしっかり腕を振って、いいスローイング、少し垂れましたけど、いいスローイングに繋がったのですごく良かったのかなと思います」と友杉篤輝の盗塁を刺した。

 同日の紅白戦の出来について、「守備の面では盗塁を刺した部分と、ブロッキングで止められた部分もありましたけど、2つ逸らしてしまったのでもう1回練習をし直して、しっかり試合の中で止められるようにしたいと思いました。2打席目初球ストレートを打ちにいってショートゴロだったと思うんですけど、あのショートゴロでも感覚自体は全然悪くなくて、自分のポイントで前で捉えて、あれが少しバットの上で当たって弾き返せていればショートの頭を超えて、自分の本来の打撃ができたと思うので、トータルで見たら悪くないのかなと思います」と振り返った。

 2月14日のライブBPでは捕手として、「去年だったらなかなかない経験を今シーズンまだ始まっていない中で、春のキャンプですけど受けさせていただいたというのはいい経験になりますので、これから一軍にいれば組ませていただくことがあると思うので今のうちにコミュニケーションをしっかり取っていきたいと思います」と小島和哉、種市篤暉の球を受けた。

 石垣島春季キャンプでは攻守に課題を持って取り組み、対外試合に突入した。

◆ 対外試合

 「結構、自分なりにしっかり考えて打者の特徴だったり、ピッチャーのこともそうですけど、試合の感覚は慣れてきたんじゃないかなと思います」。

 2月中の対外試合は打率.077と苦しんだが、その原因について「なかなか今まで初球から打てる、メンタル面もそうですけど、自分で打撃を崩しに行っちゃっているということがすごく多かったので、そこをなんとか少しでも変えたいなと思って、自分なりに初球から振れる準備を心がけてやりました」と説明。

 3月7日のソフトバンクとのオープン戦で猛打賞を達成すれば、3月12日の日本ハムとのオープン戦でも2安打とバットでアピール。ソフトバンク・濵口遥大、日本ハム・齋藤友貴哉からは自身が課題にする“インコース”での安打を放ったが、「変化球だったので、うまく対応できたのかなと感じた部分があります。まだストレートには刺されている部分があるので、そこはこれからの課題かなと思います」と客観的に自己分析した。

 守備面については「ブロッキング面でもしっかり自分の形で入って、しっかりとめている部分が自分の中でも大きく見えているので、すごく自信につながっている部分ではあるんですけど、スローイングが練習でやっていることが繋げられていない。そこはもっと練習、意識をしてやっていかないといけないなと思います」と話した。

 ファームでは昨季、試合が終わった日にその日の反省を行なっていたが、オープン戦期間中も「打撃では今日の打撃の内容をしっかり振り返って、明日の練習からどういう意識を持って、打席に入る準備ができるか考えたりして、キャッチャーでは去年同様、しっかり打者の特徴を踏まえて試合の中でどう感じていくかをやりながら、毎日ここの配球はこうした方が良かったんじゃないかなというのを振り返ったりします」と変わらず、反省し翌日の試合に活かした。

◆ 開幕直後は出場機会に恵まれず

 「開幕一軍はいいことだと思いますし、それを目標にしていたところなので、でも今は出られていないというのが現状。出場した時になんとか結果を出したいなと思います」。

 寺地は開幕一軍を掴んだが、開幕当時の立ち位置は期待の若手の1人ではあったものの、今季を迎えるにあたって捕手には昨季ベストナインを受賞し、プレミア12の日本代表の佐藤都志也がおり、出場するためにはその壁を越える必要があった。

 打席が立てていないことへの不安感は「少しはありますけど、そういうプランじゃないですけど、出場させていただける機会が少ないと思っていた。そこでなんとか少ないチャンスの中で結果を出したいですね」と前を向いた。

 打席に立てない中で、ホームでの試合前練習では工夫を凝らした。試合では白黒のバットを使用しているが、試合前の打撃練習の序盤では白木のバットで打つ。レギュラーとして出場する現在も、変わらず続けている。その理由について「自分が使っているバットより少し長くて、ヘッドを走らせるために、最初のバッティングの時に使うようにしています」と教えてくれた。

 「出場機会が少ない中でもしっかり自分の中で結果を出さないと。一番は打撃でアピールしないといけないので、しっかりアピールできるように。捕手のところでも佐藤都志也さんに勝ることができないと出場機会が増えていかないと思うので、そこを目指してやっていきたいです」。

 少ないチャンスを逃さなかった。4月18日の日本ハム戦は『9番・捕手』でスタメン出場し、守っては田中晴也、鈴木昭汰、中森俊介の3投手をリードし日本ハム打線を無失点に抑えれば、打っても0-0の5回二死走者なしの第2打席、加藤貴之が1ボールから投じた2球目の121キロのスライダーをライトフェンス直撃の二塁打を放った。

 4月22日の楽天戦は0-0の3回二死走者なしの第1打席、「まっすぐを狙って、うまく反応して打つことができたと思います。1本打つことができて嬉しいです」と、早川隆久が1ボール1ストライクから投じた3球目のインコース145キロのストレートをライトへプロ初本塁打を放つと、1-0の8回一死走者なしの第3打席、藤平尚真が3ボール2ストライクから投じた8球目の140キロインコースフォークを右中間スタンドに本塁打と、1試合に2本塁打。守っても先発オースティン・ボスを来日初勝利に導く好リード。

 4月19日と4月20日の楽天戦、4月22日の西武戦ではベンチスタートも、4月20日の楽天戦と4月22日の西武戦、代打で2試合連続安打を放ち、4月23日の西武戦から先発マスクの機会が一気に増えた。

 開幕から1ヶ月半が過ぎた5月18日の取材で、チャンスが少ないかもと話していた中で、レギュラーでの出場機会が増えたことについて訊くと、「レギュラーと言っても、ピッチャーの兼ね合いもそうですけど、出させていただいている以上、責任を持ってやらないといけないと思いますし、その分、勝利に貢献しないといけない。出ている以上は頑張らないといけないと思います」と、浮ついた様子が全くなかった。

 交流戦が入ってからは『2番・捕手』が寺地の定位置になっている。「任された打順で打っている感じです。そこに関しては、特にどの打順だろうがやることは変わらないので、はい」と、自身のバッティングをすることだけを考えている。

 今季に向けてシーズンオフは“ストレートの対応”、“インコースのさばき”を取り組んできたが、その成果を一軍の舞台で発揮しているように見える。

 寺地本人は「まだまだやと思っているので、これからさらにインコースの対応であったり、長所でもあるセンターから左方向というところを消さないようにやっていきたいと思います」と現状に満足していない。

 “まだまだ”と感じる部分はどういったところになるのだろうかーー。

 「ストレートでいく中でファウルを取られたり、若干打たされている打席も多いと思うので、その打席を少しでも少なくできるように。自分からバッティングフォームを崩さないよう自分の中の形で、1球、1球対応できればなと思います」。

 一軍と二軍の違いがあるとはいえ、ファームでは昨季不調の時期もあったが、今季は好不調の波が小さい。

 そこに関して寺地は、「自分の中でもタイミングを崩されてしまうとフォームも崩れて打てないというのが、自分でも明確にわかっています。去年はそれがわからなかった部分があったと思うんですけど、今年は自分の中でもわかっているのでその試合の中で1打席、1打席工夫して、次の打席はこういこうというのをやっているので、去年と違う結果になっているのかなと思います」と明かした。

 守備面では「なかなか自分の思う通りにいかないことであったり、自分の技術不足というところもあると思うので、ここからさらに練習で補っていければなと思います」と課題を口にする。

 打撃面では、すでに21世紀以降に入団した球団の高卒2年目シーズン最多となる56安打をマークし、21世紀以降に入団した高卒2年目までの球団通算安打数も西岡剛氏と並ぶ57安打。この更新もほぼ間違いない。

 高卒2年目のまだ19歳という若さ。将来が非常に楽しみだ。オールスターという夢舞台で、“ロッテ・寺地隆成”の名を全国に轟かせてほしい。

▼ 寺地隆成の今季成績

58試 率.273(205-56) 本5 点18

▼ 21世紀以降のロッテ高卒2年目シーズン安打トップ3

1位 56安打 寺地隆成(25年)

2位 54安打 西岡 剛(04年)

3位 25安打 藤原恭大(20年)

▼ 21世紀以降のロッテ高卒2年目までの通算安打数トップ3

1位 57安打 西岡剛、寺地隆成

3位 35安打 松川虎生

取材・文=岩下雄太

この記事を書いたのは

岩下雄太

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