メジャーリーグは来週がオールスターブレーク。今年は現地時間15日(火)にブレーブスの本拠地「トゥルーイスト・パーク」で、1試合限りのオールスターゲームが開催される。
そんな夢の球宴を前に2日がかりで行われるのが、MLBドラフト2025だ。初日の13日(日)は、米国東部時間の午後6時(日本時間14日午前7時)にスタート。戦力均衡ラウンドなどを含めて3巡目までの上位105人が指名される。
14日(月)に4巡目から20巡目までの指名が行われ、2日間合計で600人以上の名前が呼ばれる予定だ。
注目の指名順だが、昨年12月に行われたドラフトロッタリーの結果、ナショナルズが全体1位指名権を獲得している。以下、エンゼルス、マリナーズ、ロッキーズ、カージナルスが上位5位までを指名。注目のドジャースは、全体40位まで指名権がない。
今年の目玉は、18歳の内野手イーサン・ホリデイだろう。3歳上の兄は2022年のドラフトでオリオールズに全体1位で指名されたジャクソン・ホリデイ。同じ右投げ左打ちの遊撃手として、史上初の兄弟全体1位指名に期待が高まる。
同年齢時の評価としては、フィジカルとパワーの両面で弟が上との声も聞かれる。父マット・ホリデイもメジャー通算316本塁打を放った強打の外野手だったが、弟のイーサンはより父に近いタイプか。
ただ、ナショナルズはすでにC.J.エイブラムズというスター遊撃手を抱えている。喫緊の課題が防御率5点台の投手陣とされるだけに、即戦力の投手を指名する可能性も十分ありそうだ。
その場合は、ケイド・アンダーソン(ルイジアナ州立大)、ジェイミー・アーノルド(フロリダ州立大)、リアム・ドイル(テネシー大)という3人の左腕が候補に挙がる。
アンダーソンは今季のリーグ戦で、防御率こそ3.18に終わったが、119回で180個の三振を奪い、12勝1敗と勝ち越した。また、先月に行われたカレッジ・ワールド・シリーズでチームを全米チャンピオンに導き、自身も最優秀選手に輝いている。
ナショナルズとすれば、3~4年後を見据えて伸びしろのあるホリデイか、それとも26年にも戦力となり得るアンダーソンか、苦渋の選択を強いられる。
この他には高校生右腕のセス・ヘルナンデスや17歳の両打ち遊撃手イーライ・ウィリッツなども将来を嘱望される存在だ。ウィリッツは、父レジ―が元メジャーリーガーという2世選手でもある。
もう一人、トッププロスペクトとまでは呼べないものの、かつてメッツやロッテで活躍したベニー・アグバヤニの息子もドラフト候補入りしている。
MLB公式のドラフトランキングで234位に入ったのはブルーイン・アグバヤニ。ハワイ生まれの18歳は、強打の外野手だった父とイメージは異なり、俊足巧打の内野手だ。ドラフト30巡目(全体836位指名)の父を超えることは間違いないが、順位次第でミシガン大学への進学も視野に入れているという。
そんなアグバヤニと同じくハワイに縁がある選手も指名される可能性がある。智弁和歌山出身の21歳、武元一輝である。
高校時代に投手として最速151キロ、打者としても通算20本塁打を放ち、プロ野球のドラフト候補にも名前が挙がったが、米国留学を決断。ハワイ大学に進学すると、二刀流選手として“第二の大谷翔平”として注目を浴びた。
1年目の2023~24年シーズンは、投手として20試合に登板し3勝1敗5セーブ、防御率4.10、打者として打率.313をマークした。2年目は、防御率5.75、打率.256と投打にやや苦しんだが、素質は一級品。当面は投手一本に絞ることを明言しているが、20巡目までに指名する球団が現れるかどうか。
真夏の祭典を前に行われるドラフト会議。メジャーリーグの将来を担う金の卵たちの行方にも注目しておきたい。
文=八木遊(やぎ・ゆう)