全体2位で指名されたタイラー・ブレムナー(写真=GettyImages)

 現地時間13日に始まった今年のMLBドラフト会議。初日は3巡目までの合計105人が指名された。14日の2日目はさらに500人以上の指名が予定されている。

 今年のドラフトは初日の序盤からサプライズの連続だった。ナショナルズが全体1位で指名したのは17歳の高校生内野手イーライ・ウィリッツ。MLBの公式サイトで発表されていたプロスペクトランキング(以下、MLBランキング)では5位の評価だった。同じ高校生内野手のイーサン・ホリデイやケイド・アンダーソン(ルイジアナ州立大)といった有力候補を押し退けて、1年に1人だけに与えられる栄誉を勝ち取った。

 そして、それ以上にファンを驚かせたのが、続く全体2位指名である。指名権を持っていたエンゼルスが指名したのは、地元カリフォルニア大サンタバーバラ校の3年生右腕タイラー・ブレムナー。なんと、MLBランキングでは18位という“伏兵”だった。

 ブレムナーは、大学3年目の2024-25シーズンに不調に陥り、先発とリリーフを行ったり来たり。前年の11勝1敗、防御率2.54から、5勝4敗、防御率3.49に成績を落としていた中での全体2位指名には本人も驚いたに違いない。

 それでも95マイル(約152.9キロ)を超える速球とチェンジアップのコンビネーションは大学屈指と言われている。課題とされるスライダーの制球力さえ習得できれば、指名順に恥じない投手になる素質は当然あるだろう。

 実は、エンゼルスのサプライズ指名はここ数年のトレンドでもある。1年前は全体8位で大学生内野手のクリスチャン・ムーアを指名したが、MLBランキングは25位という評価。さらに2年前のドラフトでも、MLBランキング26位のノーラン・シャヌエルを全体11位で指名するなど、ここ数年のエンゼルスは独自路線を貫いている。

 ただ、過去2年のサプライズ指名は大当たりだった可能性が高い。シャヌエルとムーアはどちらも即戦力としてすでにチームに貢献中。シャヌエルは、ドラフトされた23年にメジャーデビューを果たし、3年目の今季は2番打者に定着している。ムーアも2年目の今季、3Aで打率.350をマークすると、ドラフトから1年たたないうちにメジャーデビューを飾った。

 ブレムナーは投手のため、若干時間を要しそうだが、早ければ1年後にはメジャーで戦力になっていてもおかしくないだろう。

 また、今年のドラフト初日を終えてエンゼルスには別のプランも見え隠れした。それが“勝利”への執念だ。初日はブレムナーを含めて4人を指名したが、そのうち3人が即戦力になり得る大学生。2巡目(全体47位)で指名したチェース・ショアーズ(ルイジアナ州立大)は、今年のカレッジ・ワールドシリーズで最終回を締めくくり、胴上げ投手に輝いた投手である。さらに、3巡目補足(全体105位)で指名されたネイト・スニード(テネシー大)は、昨年のカレッジ・ワールドシリーズを制したチームの中心投手に一人だった。

 メジャー30球団の中で最もポストシーズンから遠ざかっているエンゼルス。こだわり抜いたドラフト戦略は数年後に花を咲かせるか。勝利の味を知る若手選手の台頭に要注目だ。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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