ロッテの育成・吉川悠斗は、6月29日の巨人二軍戦、7月9日の日本ハム二軍戦、2試合連続でクオリティスタート(6回3自責点以内)を達成するなど、ここまでファームで5勝をマークする。
圧巻だったのは6月29日の巨人二軍戦。初回から6回まで毎回のプロ入り後自己最多の12奪三振、打たれた安打も僅かに1本と6回・87球を投げ、1被安打、12奪三振、1与四球、無失点と圧巻の投球内容。
特に3-0の4回一死走者なしでリチャードに投じた初球のインコース見逃しを奪ったストレートをはじめ、ストレートが力強かった。吉川本人も「いつもくらいのイメージだったんですけど、うまいこと空振りとか取れていたので良かったかなと思います」と振り返る。
武器であるスライダーは、3-0の3回先頭の湯浅大を2ストライクから縦に落ちるスライダーで空振り三振、3-0の4回二死走者なしで三塚琉生を2ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた5球目の外角スライダーはカット系のような球だった。スライダーは何種類か投げ分けているのか確認すると、「指のかかり次第ですけど、というくらいですね」と教えてくれた。
6-0の5回二死走者なしで笹原操希を2ストライクから空振り三振に仕留めたフォーク系の軌道のチェンジアップも良かった。「チェンジアップが決め球なので、そこで空振りをしっかり取れていたのはどの試合もそうですけど、いい感じではあるのかなと思います」と自信を見せた。
7月9日の日本ハム二軍戦では、「特にいつも通り腕を振ってという感じで、いつも通りやっていたら大丈夫だと話はもらいましたね」と、経験豊富な田村龍弘とバッテリーを組んだ。初回制球に苦しみ2点を失ったが、6回を3失点にまとめ、5勝目を手にした。同日の日本ハム二軍戦では、5-3の5回一死走者なしで有薗直輝を3ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた6球目の126キロチェンジアップが良い抜けだった。
チェンジアップも抜いているボールと速いボールで投げ分けているのだろうかーー。
「チェンジアップは腕を振るとスピードが上がるくらいなので、握りとかは変えていないですし、腕の強さくらいかなと思います」。
直近2試合は6イニングを投げた。「できるだけ長い回を投げたいというのは常に思って投げているので、それはある程度うまいことできているんじゃないかなと思います」。
プロ入りから常々口にする“上半身と下半身の連動”については「結構、身についているのかなと思いますし、しっかり連動できていればこの前の巨人戦のような投球ができると思います。ある程度ズレているのかなというのがあれば、悪いピッチング内容になってしまうんじゃないかなと思うので、まだ大事にしていかなきゃなというところはありますね」と話した。
「とにかく抑えて、どんな形であれ抑えないといけないなというのがあるので、一軍に上がれるアピールできるくらい抑える、三振取ったりやっていけたらなと思います」。支配下選手登録期限の7月31日までの支配下選手登録を手にすることができるか注目だ。
取材・文=岩下雄太