日本ハム・柴田獅子 (C)Kyodo News

◆ 白球つれづれ2025・第30回

 またも“新庄マジック”がさく裂した。

 球宴明けの26日、日本ハムの本拠地、エスコンフィールドに黄金ルーキーが降臨した。

 柴田獅子と書いて「レオ」と呼ぶ。昨年のドラフト1位で福岡大大濠高から入団した19歳。最速149キロの速球に、高校通算19本塁打。入団時のスカウティングレポートには「二刀流目指す九州の怪童」と記されている。

 187センチ・87キロのボディにあふれるほどの才能。日本ハムと言えば世界の二刀流・大谷翔平選手を生んだゆかりの球団。柴田にも無限の夢が広がる。

 まずは投手としてデビューしたロッテ戦の出来が出色だ。

 先発のマウンドに上がると、予定の3回をノーヒット、3奪三振。わずか39球で抑え込んだ。最速は154キロと入団時より5キロもパワーアップ。何よりストライク先行で大崩れしない。見守った加藤武治投手コーチも「マウンド度胸はあるし、凄いセンス。これからが楽しみ」と最上級の評価を与えた。

 高卒ルーキーが初先発のマウンドを無安打で降板したケースは87年中日の近藤真一以来38年ぶりの快挙。これには事前告知なしで、柴田の快投を称える「観戦証明書」を球団が来場者に配布したほどだから、異例づくしの快投だったことがわかる。

 さかのぼる事、9カ月前。ドラフト会議の主役は楽天が1位獲得した宗山塁選手(明治大)だった。日本ハムも宗山争奪戦に参戦するが敗れて、スケールの大きい高校生に方向転換。ここでもソフトバンクと再び競合の末、柴田獲得にこぎつけた。

 他球団なら、どんな育成方針をとったかわからないが、日本ハムには大谷を育てた「二刀流プログラム」がある。

 イースタンリーグでは投手と野手で積極起用。投手として8ゲームに登板して防御率2.31。打者としては打率.156と苦しんでいるが、2本塁打を放ち長距離砲の片鱗は覗かせている。(イースタンの記録は7月25日現在)

 球団としては、焦らず育成しながら次回一軍では5イニングを任せる方針。本人は早く二刀流デビューを熱望している。

 それにしても、この時期の高卒ルーキーデビューには驚かされる。

 球宴明けも首位を快走しているが、足元には王者・ソフトバンクが忍び寄ってきている。1戦たりともおろそかに出来ない時期に計算の立たない新人抜擢はギャンブルにさえ映る。

 だが、新庄剛志監督は球宴前から、柴田の初先発を予告している。もちろんファームからの報告も上がっていただろう。それでも今季のチームは伊藤大海を筆頭に加藤貴之、山﨑福也、北山亘基らが勝ち星を重ね、そこに達孝太や細野晴希らの若手が成長、リーグ屈指の「投手王国」を作り上げている。何もこの時点で柴田の抜擢をする必要がないようにも思える。

 しかし、球団と指揮官にとってはこの先の天王山を見据えた時、ますます若手有望株を使うチャンスは限られる。加えて、29日からはソフトバンクと3連戦が控えているので、エース級を温存しておきたい。こうしたチーム事情と、若手の積極的な起用を好む新庄流も加わって“獅子の挑戦”が決まっていった。

 球団や柴田本人にとっても、この経験が来季以降に生かされるのは言うまでもない。

 将来的に柴田の二刀流がフル回転していけば、大谷以来の話題と人気を呼ぶだろう。19歳の若者に加えて、今季ブレークした達孝太投手もまだ21歳。打者を見渡しても清宮幸太郎(26歳)、万波中正(25歳)、野村祐希(25歳)など高卒で獲得した有望株が開花しだしているのが、チームの快進撃を支えている。

 今年のオールスターを見ても、パワー型の選手は圧倒的にパリーグに多い。そこに近い将来、未完の大器・柴田獅子が加われば、日本ハムの将来は間違いなく今以上に明るいものとなる。

 ライバルのソフトバンクには間もなく20歳になる前田悠伍投手がいる。2年前のドラ1左腕は今月13日の楽天戦で、一足先にプロ1勝を記録した。さらに加えるなら高校の4年先輩でもあるオリックス・山下舜平太投手は柴田の大きな目標となる。近年は故障で出遅れているが、こちらもメジャーが熱視線を送る逸材だ。

 近未来のエース候補2人と一歩前を行く先輩。彼らの“ライバル物語”にも注目していきたい。

文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

この記事を書いたのは

荒川和夫

1975年スポーツニッポン新聞社入社。野球担当として巨人、西武、ロッテ、横浜大洋(現DeNA)等を歴任。その後運動部長、編集局長、広告局長等を経て現在はスポーツライターとして活動中

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