ロッテの高卒2年目・寺地隆成は19歳ながら、打率はリーグ7位の.271をマークし、守ってもチーム最多の66試合で先発マスクを被る。プロ1年目の昨季イースタン・リーグ2位の打率.290を記録した打棒を、一軍の舞台でも変わらず発揮しているところに凄さを感じる。
昨季ファーム打撃コーチとして寺地を指導し、今季は一軍で打撃コーチを務める栗原健太コーチは「対応力はすごいある子なので、だいぶ打席に立っている中で、慣れてきていますし、頑張ってくれていますね」と評価。「まずは速い真っ直ぐを打てるところじゃないですか。150キロを超えるストレートを捉えられる。その中でちょっと浮いてきた甘い変化球を拾って打てる対応力が高いんでしょうね。普通は狙い球を絞ったりしていくじゃないですか、彼はそれができるところがありますよね」と寺地の凄さについて語った。
開幕は3番手捕手でスタートも少ないチャンスをモノにし、高卒2年目ながら『マイナビオールスターゲーム2025』にも監督選抜で出場するなど、順調にチームの中心選手として階段を登っている。寺地自身の中で、一軍でやれている感覚はあるのだろうかーー。
「徐々にですけど守備の方は若干良くなっているのかなと感じていますし、バッティングもそれなりの結果、求めている結果とは程遠いですけど、徐々に結果が出ているのかなと思います」。
求めている結果とは具体的にどんなところなのだろうかーー。
「打てる日もあれば打てない日もあると思いますが、凡打の内容だとか、ヒットを打ったらもう1本出したいところで出せないというか、5日のソフトバンク戦もそうですけど、1打席目に折角ヒットを打ったのに、そこから無駄にしているわけではないですけど、結果的に無駄になってしまっている打席が多いと思います。詰めの甘さだと思いますし、これからどんどん詰めていかなければいけないところなので、そこはやっていかなければならないのかなと思います」。
ここ最近は白黒のバットだけでなく、白木のバットで試合に出場することもある。7月27日の日本ハム戦は全打席白木のバットで打席に立った。開幕から試合前練習では、ヘッドを走らせるために白木のバットを使用している。試合で白木のバットを使っているのも、同じ理由なのだろうかーー。
「それもありますし、ちょっと気分転換に、打てない日の次の試合とかだったり、ちょっとヒット打てなさそうだなと感じた時に気分転換に変えているという感じです」と教えてくれた。
寺地は今季に向けて、一軍の試合を1試合でも多く出場すること、プロ初本塁打を掲げたが、79試合に出場し、本塁打も5本放っており、目標は達成しているようにも見える。現在、自身に課している目標はあるのだろうかーー。
「これからもっと試合に出たいと思いますし、数字的な部分を出してしまうと、結果的にそれが達成できなかった時にアレだなと思うので、特に数字的な目標は出していないんですね。最終的には周りの人から見てもいい数字と言われるところを目指していきたい。そこを目指していければなと思います」。
捕手というタフなポジションを務めながら、バットで結果を残し、試合が終わってからもファーム時代の時と変わらず、試合の振り返りを行っている。睡眠をしっかり取れているか心配になる。寺地は「大丈夫です!」と頼もしい一言。
今季を足がかりに将来は“打てる捕手”として、マリーンズだけでなく、球界を代表する捕手に成長していくことが期待される。残りの試合でも攻守に結果にこだわっていく。
取材・文=岩下雄太