「初めてなので楽しみながら、日程もハードなので、色々考えながらやっていけたらいいなと思います」。
オールスター前にこのように話していたロッテ・藤原恭大は、ここまでマリーンズのトップバッターとして打線を引っ張る。
監督選抜で初めて出場した『マイナビオールスターゲーム2025』の第1戦、ガラポンで1番の打順を引き当て、1-0の3回無死一塁の第2打席、松葉貴大(中日)が2ストライクから投じた3球目をセンター前にオールスター初安打を記録。
オールスター明け、最初のゲームとなった7月26日の日本ハム戦(エスコンフィールド)で4打数0安打に終わったが、翌27日の日本ハム戦、「死ぬ気で打ちました。もうそれだけです」と、3-4の8回一死三塁の第4打席、田中正義が1ストライクから投じた2球目の155キロストレートをレフト前に弾き返す同点打。さらに、4-4の11回二死満塁の第6打席、宮西尚生が3ボール1ストライクから投じた5球目の139キロのストレートを見送り決勝の押し出し四球を選んだ。
7月31日の楽天戦では3打数0安打も2四球、5打席で30球も楽天投手陣に投げさせた。8月に入ってからは2日の西武戦で2安打、3日の西武戦で1安打、5日のソフトバンク戦は無安打だったが、現在2試合連続中だ。
◆ 早いカウントで好結果
藤原といえば、追い込まれてからノーステップ打法で高い打率を誇っていたが、7月に入ってからは初球、ファーストストライク、1ストライクからの安打が増えている。7月以降28安打放っているが、そのうち初球安打が4本、1ボール0ストライクから1安打、0ボール1ストライクからの安打が5本、1ボール1ストライクが5安打、2ボール1ストライクが3安打だ。
シーズンのカウント別打率を見ても、0ボール0ストライクの打率が.429(21-9)、1ボール1ストライクの打率が.324(34-11)、2ボール1ストライクの打率が.500(16-8)と高打率。
6月27日の取材でマークが厳しいと感じることがあるかについて「入りとか変化球を投げきているので、そう感じるところはありますね」と話していたが、7月30日の楽天戦では第2打席に、古謝樹が投じた初球のスライダーをライト前に弾き返した。早いカウントでの打撃について「狙い球を決めて振り抜けていけています」と教えてくれた。
5月10日時点で0ボール2ストライクからの打率が.500(6-3)だったが、現在はシーズンの0ボール2ストライクの打率が.237(38-9)。7月29日の楽天戦、西口直人が0ボール2ストライクからストレートをセンター前に弾き返した安打は良かった。追い込まれてからの打撃に藤原は「もっと打てると思います」とキッパリ。
現在藤原は368打席。今季の目標にひとつに掲げた規定打席到達に100を切った。「変わらず、やれることをやっていきたいと思います」と藤原。そのバッティングで、チームに勢いをもたらしていく。
取材・文=岩下雄太