ロッテの澤田圭佑は今季、流れを呼び込む投球を何度も見せている。
9日のオリックス戦、1-1の6回に先発・小島和哉が太田椋に勝ち越しのソロを浴び、安打と四球で二死一、二塁となったところで澤田がマウンドに上がった。澤田は廣岡大志に対し、ストレート中心のパワーピッチングで2ボール2ストライクとすると、最後は5球目の外角150キロストレートで空振り三振。ピンチを脱した澤田はマウンド上で雄叫び。
澤田のピッチングが打線に火をつけ、直後の6回裏、先頭のソトが二塁打、続く安田尚憲の内野安打で二、三塁とし、藤岡裕大の犠飛で同点に追いついた。
今季は澤田がビハインドで登板し、無失点に抑え、直後に同点に追いつくというケースが多い。7月8日の日本ハム戦では1-4の6回に登板すると、テンポよく三者凡退に抑えると、その裏、寺地隆成、ソトの適時打などで同点に追いつけば、7月31日の楽天戦も1-5の7回に登板し、3人で片付け、その裏に打線が4点を奪った。
ビハインドで登板する際、流れを持ってこようと考えてマウンドに上がっているのだろうかーー。
「そういうのは全くなくて、普通に目の前のバッターに集中して投げているだけです」。
◆ 昇格後は安定した投球
7月5日に再昇格してから12試合に登板しているが、失点した登板は8月6日のソフトバンク戦のみ。7月6日のオリックス戦から8月2日の西武戦にかけて10試合連続で無失点に抑えた。昇格してからの投球について「手応えはないんですけど、最低限のピッチングくらいかなと思っています」と自己分析する。
変化球では、昨年秋から熱心に取り組んできたスライダーの投球割合がかなり増え、澤田の投球を支える球種の1つになっている。7月31日の楽天戦、先頭の村林一輝を2ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた5球目の128キロスライダーは非常に良かった。
「スライダーはどんどん良くなってきているんじゃないかなと言う感じです。カウントでも勝負球でも使っているので、左バッターに投げていない分、ここからそっちにも投げていこうかなと思っています」。
フォークも投球の割合が少ないが、7月8日の日本ハム戦、1-4の6回一死走者なしで石井一成を1ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた132キロのフォークボール、7月31日の楽天戦、1-5の7回二死走者なしで黒川史陽を1ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた131キロのフォークボールは良い落ちだった。本人も「良いと思います」と振り返る。
ただ、「もう一つ落ちたらいいんですけど、落ちなくても高さを間違わないようにという感じで投げています」と落差については課題にしているようだ。
カウント球で投げるチェンジアップも打者のタイミングを外している。「チェンジアップも最近、またちょっと良くなっているかなと思います」と好感触。
リリーフ陣の台所事情が苦しい中で、澤田の働きは非常に大きい。「1試合1試合頑張るしかないので、1試合でも多く投げられるように頑張ります」。この夏も、必死に腕を振る。
取材・文=岩下雄太