7月31日に一軍登録抹消されたロッテ・中村稔弥が10日、一軍登録された。
一軍登録抹消前の7月30日の楽天戦は、1-6の5回一死一、三塁で先発・石川柊太の後を受けて登板すると、堀内謙伍にレフト前適時打を浴びたが、代打・フランコを一邪飛、中島大輔を遊ゴロに打ち取る。
走者を背負った場面で登板し、5回裏ロッテの攻撃終了後、イベントが行われ、5回裏攻撃終了から6回表が始まるまで少し時間が空くが、それでも抑えるのが中村稔弥の凄さである。
「しっかり抑えようというのを大前提で投げました。(時間が空いて)難しいですけど、それが僕の仕事なので。気持ちを切らさずに先頭に入っていこうという気持ちで投げられました」。
イニング跨ぎとなった2-7の6回、先頭の宗山塁を二ゴロ、続く村林一輝を空振り三振、ボイトに四球も黒川史陽を遊ゴロで無失点。その裏、打線が3点を奪い5-7となった7回もマウンドに上がった中村稔は、先頭の辰己涼介にライト前に運ばれるも、ゴンザレスを右飛、堀内を二直、田中和基を三ゴロで、2回2/3・44球を投げ、2被安打、1奪三振、1与四球、無失点の好リリーフだった。
◆ ツーシーム、スライダー、カーブ
前回一軍で投げていた時は、7月9日の日本ハム戦、1-12の8回二死走者なしで水野達稀を1ボール2ストライクから空振り三振に仕留めた132キロのツーシームが良かった。
6月12日の取材で「いい感じで最近は投げられていますね」と話していたツーシームだが、現在は「低めに投げないと落差的には落ちていないボールがあるので、しっかり制球していかないといけないなと思います」と明かした。
武器であるツーシームだけでなく、「最近ちょくちょく投げています」と話すように、今季はスライダーの投球の割合が増え、7月26日の日本ハム戦、0-5の8回一死三塁でレイエスを1ボールから2球目の131キロのスライダーで三ゴロを打ち取ったりもしている。
気になるのは、昨年8月28日の取材で「今速いカーブの方がストライクが取りやすいので、そっち(ハーマンカーブ)を使っています」と、90キロ台のカーブを封印していたが、「いろんな球種を試していたんですけど、カーブってやっぱり狙っていないボールだと思うので、そこでストライクが取れればでかいなと思って投げていました」と、6月8日の日本ハム二軍戦で90キロ台のカーブを多投するなど、再び90キロ台のカーブを投げるようになった。ただ、前回一軍登録されていた時には、90キロ台のカーブをほとんど投げていなかった。その理由について聞くと、「タイミングですね、タイミングです」と説明した。
投球フォームも少しコンパクトなフォームに変わった。そこについては、「リラックスして力を入れずにキレで勝負できるように意識して投げているので、ちょっとそういう感じがあります」と教えてくれた。
最短で一軍の舞台に戻って来た中村稔弥。「最後まで一軍にいたいですね。無失点に抑えていい結果を残せるように頑張りたいです」。ロングリリーフを主に担当し、登板間隔が空いたり、相手の勢いがついた打線を止めなければならないなど、勝ち試合で投げるリリーフとは違った難しさがある。自分の役割を果たし、一軍完走を目指す。
取材・文=岩下雄太