ロッテの4番・山口航輝が21日の楽天戦、3本塁打7打点の活躍で勝利に貢献したが、ソロ本塁打ではなく2ラン、2ラン、3ランだったのも、3番を打つ髙部瑛斗が出塁していたからこそだ。
『3番・センター』でスタメン出場した髙部は0-0の初回二死走者なしの第1打席、瀧中瞭太が3ボール2ストライクから投じた6球目の141キロシンカーを右中間を破る三塁打でチャンスメイクし、続く山口の第5号先制2ランに繋げた。
一挙9得点を奪った4回の口火を切ったのも髙部のバットからだった。2-1の4回無死走者なしの第2打席、瀧中が1ボールから投じた2球目のシンカーをセンター前に弾き返し出塁し、続く山口が第6号2ランでリードを広げる。さらに、8-1の4回二死一、三塁の第3打席、瀧中が1ボール2ストライクから投じた6球目の111キロカーブを叩き、一、二塁間を破る適時打を放った。
髙部はこの日放った3本のうち2本がライトへ引っ張ったあたり。開幕直後の髙部は反対方向への打球が多かったが、7月7日に一軍登録抹消され、7月8日の日本ハム二軍戦では、4-6の7回一死一塁の第4打席、「あれは何回もできることじゃないので、ああいう形で打てれば最高ですね」と松岡洸希が1ボール1ストライクから投じたインコース136キロフォークをライトスタンドに本塁打。
7月18日に再昇格後は17安打放っているが、そのうち11本が引っ張った安打。髙部は「強く振ると考えて引っ張る方向が出てきているかなと思います」と手応えを掴む。
21日の楽天戦の第1打席のように、右中間を破って三塁打というのも増えている。8月11日のオリックス戦、3-5の10回一死走者なしの第5打席、才木海翔から放った右中間を破る三塁打、8月14日の日本ハム戦、8-1の6回二死走者なしの第3打席、福島蓮が1ボール2ストライクから投じた4球目の137キロチェンジアップを右中間を破る三塁打も非常によかった。8月11日のオリックス戦、14日の日本ハム戦の2本の三塁打については「振ることを意識してという感じですね」と振り返った。
◆ 球数を投げさせる
髙部は、早いカウントから打って安打が出ている時は好調の理由のひとつと話すなど、早いカウントから積極的に打ちにいくスタイルが持ち味だが、再昇格後は「場面に応じて実践したりしています」と、打席内で投手陣に球数を投げさせている。
7月27日の日本ハム戦では、4-4の11回二死一塁で山本拓実から粘りに粘って、3ボール2ストライクから8球目の152キロストレートを見送り四球を選んだ。「状況ですよね。自分でしっかり状況を見ないといけないなと感じたので、そこは考えています」。
4打席立って1試合に10球投げさせない日もあったが、7月27日の日本ハム戦は5打席で25球、8月11日のオリックス戦は5打席で23球、8月19日の楽天戦は5打席で24球と相手投手に球数を投げさせる試合も増えている。
◆ 盗塁成功率10割
走っても、今季13盗塁決めているが失敗は0。盗塁失敗がないことは「結果論」としながらも、「準備もしっかりしていますし、そこでいい可能性でできているのはいいことかなと思います」と話した。
8月11日のオリックス戦、0-1の4回一死二塁で池田来翔の打席中に、「隙があったので、はい。何回も見て隙だらけだったので、行ったという感じです」と、相手の隙を突いて三塁盗塁成功させ、池田来翔の犠飛に繋げた盗塁は見事だった。
打って走って、さらには守って存在感を見せる髙部。本来であればセンターのレギュラーとして毎試合出場してほしい存在だが、今季は外野のレギュラー争いが激しくベンチスタートの日もある。
「全部のパターンがあるので、守備、走塁、バッティング全部いけるように常に準備はしています」といつ声がかかってもいいようにしっかり準備している。
残り試合が40試合を切った中で、髙部は「少しでもいい成績を残せるように個人としてもやっていけるようにしないといけないですし、チームのことに関しても最下位なので少しでも借金を減らして、少しでもいい形で終われるようにと思ってやっていかないといけないと思います」と意気込んだ。1本でも多く放ち、1つでも多く盗塁を決め、それがチームの勝利に繋がる。そんな試合を残り36試合で見せてほしい。
取材・文=岩下雄太