ロッテの山口航輝は8月5日に一軍昇格してから12試合に出場して、7本のアーチを描く。
特に先週の8月19日楽天戦からの6試合は凄かった。『7番・指名打者』で出場した19日の楽天戦、0-2の2回無死二塁の第1打席、「25歳、1本目を打つことができて良かったです」と、岸孝之が1ボール2ストライクから投じた4球目の143キロストレートを滞空時間の長いバックスクリーン右に“山口らしい”打球の第3号2ラン。
今季初めて4番の打順で出場した翌20日の楽天戦、「1、2打席目打てなくてチャンス潰していたのでより一層集中して、最高の結果になって良かったです」と、2-2の7回二死二、三塁の第4打席、西垣雅矢が2ボール2ストライクから投じた6球目の143キロカットボールをレフトラグーン席に決勝の第4号3ラン。
21日の楽天戦は、マリーンズファンをワクワクさせた。0-0の初回二死三塁の第1打席、「しっかり捉えることができて良かったです」と、瀧中瞭太が1ストライクから投じた2球目の145キロストレートをレフトスタンド中段に自身初となる3試合連続本塁打を放つと、2-1の4回無死一塁の第2打席、瀧中が1ボール1ストライクから3球目の134キロフォークを左中間スタンドに放り込む第6号2ラン。
勢いの止まらない山口は、8-1の4回二死一、三塁の第3打席、柴田大地が2ストライクから投じた3球目の148キロストレートをレフトスタンドへ第7号2ラン。これが山口にとって22年9月22日のオリックス戦以来となる自身2度目の1試合3本塁打となった。
先週の1週間だけで5本の本塁打を放った。
◆ 栗原コーチの山口評
現役時代に通算153本塁打を放った栗原健太打撃コーチは、現在の山口をどう見ているのだろうかーー。
「グッチ(山口)もファームでしっかりやってきたことを一軍でできているのかなと思いますし、甘い球を一発で仕留められている。彼の持ち味である長打というのが出ていますし、1本出ると感覚が出ていると思うので、このまま行ってほしいと思いますね」。
栗原コーチは石垣島春季キャンプ中、山口のバッティングについて「山口に関しても反応と言いますかね、そういうのも練習方法ですよね。どんどんそういうのを入れていかないと。わかっていて真っ直ぐを空振りするというのはアレなのでね。まずはこの時期、真っ直ぐに対して自分のタイミング、ポイントで捉えられるようにやっていく時期だと僕は思っている。選手にも伝えていますし、そこの練習の方法だったり彼とも話しながらやっていきたい」と話していた。
現在の山口のまっすぐの対応を栗原コーチはどう見ているのだろうかーー。
「21日の楽天戦もインコース寄りのまっすぐを打つことができたので、それも成長しているんじゃないかなと思います」。
これから重要になってくるのが、“継続”して打つことができるかどうか。栗原コーチは、山口が“継続”して打っていくために、どういったところを見ていきたいのだろうかーー。
「クイックとかが早いピッチャーに対してのタイミングですかね。少し課題があるので、本人も自覚していると思うんですけど、そこがしっかり対応できるようになってくると、もっともっと確実よく打てると思います」。
22年にチーム最多の16本塁打を放ち、プロ入りしてから1試合3本塁打を2度も打ったことのある長距離砲。瞬間的な爆発はこれまで何度も見てきた。本物の長距離砲になるため、残り試合好不調の波を少なく打って、来季に繋げてほしい。
取材・文=岩下雄太