「勝ちがついたのはすごい嬉しかったですね」。
ロッテの河村説人は前回登板の8日のオリックス戦(ZOZOマリン)で、22年5月11日の楽天戦以来となる白星を手にした。
河村は20年ドラフト4位でロッテに入団し、1年目の21年は先発・リリーフで20試合に登板して4勝(1)を挙げ、2年目の22年も2勝をマークしたが、同年9月16日に『右尺骨神経前方移行術および右肘内側側副靭帯補強術』。実戦復帰まで5カ月から6カ月を見込んでいたが、23年は一、二軍登板なし。23年10月10日のみやざきフェニックス・リーグのKBO選抜1戦で実戦復帰を果たした。
同年オフに育成選手となったが、24年7月31日に支配下選手に復帰。しかし、一軍登板はなかった。11月にZOZOマリンスタジアムで行われた秋季練習では「上半身の筋肉をつけたいなというのと、来年1年間やれるような体力作りをしたい」と体づくりに着手。
シーズンオフは西野勇士、中森俊介、田中晴也とともにアメリカ・ドライブラインで自主トレを行い、ストレートのスピードを上げるために動作解析を行いフォームの改善点などを行った。
練習試合とオープン戦で1試合ずつ登板したが、開幕は二軍で迎え、4月8日の巨人二軍戦で7回を投げ無失点に抑えれば、4月24日のオイシックス戦、5月3日のヤクルト二軍戦、5月11日のDeNA二軍戦と3試合連続クオリティスタート(6回以上3自責点以内)と安定した投球を披露。6、7月は失点が目立ったが、8月5日の日本ハム二軍戦は、「今までだと力一杯投げて次の日に腕が張っていたんですけど、自然な感じで8回を投げられた。そこはいい感覚ですね」と、右肘手術後最長となる8回を投げ、4被安打、4奪三振、1与四球、無失点の好投。
満を持して8月14日の日本ハム戦で、22年5月26日以来の一軍登板となったが、3回2/3を投げ5失点でノックアウト。ファームでの登板を経て、9月8日のオリックス戦で再び一軍先発のチャンスが巡ってきた。
初回いきなり連打で無死一、二塁のピンチを招き、太田椋を右飛に打ち取ったが、続く頓宮裕真に先制の適時打を浴びた。初回に失点したが、ファームでもイニング序盤での失点が多かった。そこは割り切って2回以降のマウンドに上がったのだろうかーー。
「そうですね、また取られていると思ったんですけど、前回の反省でコーチとかと話して、1点取られてズルズルいった部分があった。そこをしっかりある程度失点を許容して切り替えられるようにというのは、登板前にも話していました。その通りに切り替えられたかなと思います」。
その裏、味方が3点を奪い逆転。2回以降は「ストレートの感じが良くなかったので、スライダー、フォークの方がある程度コントロールできたので、そういう配球になったのかなと思います」と、変化球主体の投球に切り替え、5回を1失点にまとめた。
本来だったらストレートを多めに投げて抑えていきたいというのはあったのだろうかーー
「もちろんストレートで押していきたいところはあるんですけど、相手もあることなので、その時に抑えられるボールを選択した結果、あんな感じになったという感じですね」。
ストレートに関しては、昨秋からこだわっていた部分でもある。現在のストレートについて「スピードという部分ではどうなんですかね、手術前より出ているのか、出ていないのかわからないですけど、8日の登板だけでみると空振りも多かったので、スピードの割には空振りがあったのは良かったのかなと思います」と話した。
河村にプロ初勝利を挙げた21年7月7日のソフトバンク戦と今回の復活勝利、どちらの喜びが大きいか訊くと、「今回の方が全然嬉しかったですね」と即答。「1年目の勝利は何も考えずというか、流れでやって取った勝利なんですけど、今回はうまくいかないこともあったので、今回の方が全然嬉しかったですね」とその理由を説明した。
復活の白星を挙げたが、これからが大事。「色々おめでとうとは言われたんですけど、始まったというか、なんていうんですかね、安心してはダメというか、これをきっかけにもっと投げていきたいと思います」と本人も自覚している。
復帰後2勝目を目指し、13時からの楽天戦に先発する。
取材・文=岩下雄太