2位を死守する戦いが続いているDeNA。王者阪神相手に白星を掴むことはできなかったが、延長12回を戦い抜き2−2の引き分けでゲームを終えた。
2回に筒香嘉智のソロで先制するも5回に追いつかれ、その裏に勝ち越すもすぐ試合を振り出しに戻される。中盤からはどちらが流れを呼び込むかというゲームになったが、その後は両軍のリリーフ陣が踏ん張り続け、最後まで決着が付かなかった。
負けられないDeNAの状況下において、9回から2イニングを無失点で切り抜けた伊勢大夢の力投を見せた貢献はゲームの大きなウエイトを占めた。
9回は下位打線ながらも9番に森下翔太がいる嫌なイニングを冷静に3者凡退に抑え、10回は1死から中野拓夢にヒットを許しながらも植田海を空振り三振、走ったランナーを山本祐大が差し、冷静に与えられた仕事を全うした。
三浦監督も「中盤以降に1点もやらずにいけたのは大きかったですね」とリリーバーたちの働きを称賛。伊勢には「明日あさってと2日空くこともありますし、伊勢の状態も見て、悪ければ回またぎは捺せられないですし、(9回の)球数が増えていればもう1イニングはなかったかもしれないですし」と条件がそろったことでの2イニングだったと説明。「接戦の中、先のイニングも考えた中でもう1イニングをしっかりと抑えてくれました」と仕事人ぶりを称えていた。
伊勢も「勝たなければいけない試合だということは当然わかっていましたし、流れ的にも0−0が続いていたので、どうにかフォアボールだけはやめようと意識してマウンドに上がりました。祐大にも助けられましたし、我ながら今日は周りがよく見えていたなと思います」と自己分析。
今シーズン初の回またぎには「去年のCSとかはキツかったですけど、今日は明日あさってと休みですし」と意に介さず「いまリリーフで1番状態がいいと思ってもらえてると自分でも思っているので、そこは責任を持って。序盤は(ローワン)ウィックがこういう場面をやってくれていたので、いまは自分の番だなと思ってやってました」とブルペン陣の軸としての自覚も口にした。
また「これがCSだったら相手ももっとガムシャラにランナーを進めたりと工夫してくると思いますし、主要人物は下がっていないと思うので。本番ではこうは行かないよと思いながらマウンドを降りました」と、謂わば消化試合の阪神が相手との意識付けを再確認し、この先につなげていくスマートな一面も垣間見せた。
正念場になって重要なマウンドが増えている伊勢大夢。この先もタフネス右腕がチームを救い続ける。
取材・文 ・ 写真/ 萩原孝弘