「試合数は少ないので、もっと投げたかったのはありますけど、11年目にして初めて今のところ全部(一軍に)いるので、(最後まで一軍に)残れたらいいなと思います」。
ロッテの小野郁はプロ11年目で、自身初の一軍完走が目前だ。小野は20年にロッテに加入してから3年連続40試合に登板し、22年には自身初となるオールスターゲーム出場を果たした。23年は開幕かららしくない登板が続き、5月4日に一軍登録抹消となり、同月19日に右肘の手術を受けた。昨年4月6日の西武二軍戦で実戦復帰し、シーズン終盤の9月18日に右肘手術後初となる一軍昇格、同日の楽天戦で一軍登板を果たすなど、一軍で3試合に登板した。
完全復活を目指す今季はここまで開幕からロッテのブルペンでは唯一、1度もファームに落ちることなく、一軍でプレーしている。今季もシーズンオフの自主トレでは、1年間戦うための体力づくりをテーマに取り組んできたが、シーズンも最終盤に来て「大きな怪我もないですし、そこに関しては練習の成果があるのかなと思います」と自信を見せる。
7月2日の楽天戦、6-3の7回二死二塁で堀内謙伍に対し、2ボール2ストライクから投じた7球目に自己最速の159キロを計測するなど、力強いストレートを投げている。ストレートについて「あまり落ちることもなく、まっすぐは維持できたというか、そんなに悪い方に変わるようなことはなかったのかなと思います」と話す。
武器であるスライダーに関しても「まっすぐとスライダーを軸にして投げているので、いい時もあれば悪い時もあるし、もっと良くはできるかなと思います」と、さらに向上していきたい考え。
チェンジアップは140キロを超えることが多いが、「チェンジアップは的を絞らせないために、その1球がないときつい。チェンジアップは最近投げられているので、来年からもっと使えるように練習したいと思います」と明かした。
また、8月26日のオリックス戦から走者がいない時もクイック気味で投げている。その理由について訊くと、「理由とかはないですけど」としながらも、「体のバランスというか、投げているバランスがそれが一番良いので投げているだけですね」と教えてくれた。
苦しいリリーフ事情の中で、ビハインド、同点、勝ち試合の7回、先発がイニング途中で降板した時の登板など、さまざまなポジションで腕を振っているのは立派。小野は残り2試合連投すれば、移籍2年目の21年に記録したシーズン自己最多タイの49登板となる。残り2試合、怪我なく、シーズンを戦い終えて欲しい。
取材・文=岩下雄太