● ロッテ 2 - 5 ソフトバンク ○
<25回戦・ZOZOマリン>
「思っていた以上にめっちゃ緊張しました」。
ロッテのドラフト4位・坂井遼(関東第一高)がレギュラーシーズン最終戦となった5日のソフトバンク戦(ZOZOマリンスタジアム)で公式戦デビューを果たした。
1-1の6回にマウンドに上がった坂井は、このイニング先頭の4番・山川穂高を初球の146キロストレートで中飛に仕留めると、続く栗原陵矢も初球の147キロのストレートで二ゴロに打ちとり、わずか2球で2アウトを奪う。
川瀬晃には初球のストレートはプロ入り後最速となる149キロストレートで見逃しストライク。その後、3ボール2ストライクから投じた低めの148キロストレートが外れ四球を与えてしまう。走者を出しても崩れなかった。谷川原健太を2ボール2ストライクからインコース146キロストレートで見逃し三振。プロデビュー戦は1回・13球を投げ、0被安打、1奪三振、1与四球、無失点、プロ初ホールドを記録する最高のスタートとなった。
坂井は「1球投げるごと、1つアウトを取るごとに歓声が凄くてもう1回投げたいなっていうのは凄く思いました。入団してからの自己最速も出たので自分以上のものを今日発揮できたのかなって思いました」と振り返り、吉井理人監督は「素晴らしかったです。良いまっすぐを投げていたので、自分が19歳の時を考えたら、箸にも棒にもかからないノーコンピッチャーだったので大したもんだなと思ってみていました」と目を細めた。
2日前の取材で「もしチャンスがあるなら、そこで抑えて来年に向けて頑張りたいと思います」と話していた19歳のルーキは、有言実行のピッチングだった。
◆ プロ1年目を振り返る
坂井は4月4日の取材で「意識していることは再現性を高めるというのと、体を全体で使って、楽にボールを投げることを意識してやっています」と話し、「まずは体重を増やすんですけど、脂肪だけではなくて筋肉量も同時に上げていく方針で今はやっています。高校の時は76から78くらいだったので、今は86ぐらいなので10キロくらいですね」と体づくりを中心に励んだ。
ZOZOマリンスタジアムで行われた5月29日の巨人二軍戦でファーム公式戦初登板を飾り、1回を無失点に抑え、ファーム公式戦2度目の登板となった9月24日の西武二軍戦では、2-5の8回に登板し2回を無失点。
10月2日に一軍練習に合流。一軍と二軍の違いについて坂井は「トレーニングの内容は違いますが、一軍の方が自分次第という感じなので、そこで甘えないできっちりやっていこうかなと思います」と、プロの自覚を持って取り組んだ。
4月4日取材した時には「まだ体を扱いきれていないところがあって、球速が出ていないのもあるんですけど、それも慣れるのも時間だと思うので、そこかなと思います」と話していたが、現在は「まだまだだと思うので、これからフェニックスもあるので、そこで完成形に近づけたらなと思います」と口にした。
「スライダーを軸にまっすぐで押して行った中で、スライダーで空振りだったり、抑えられたらなと思います。まっすぐとスライダーを武器にしていきたいと思います」と坂井。
プロ1年目を終え、「とても早いなという感じです」と充実した表情を見せた。来季に向けて楽しみな若手がもう1人加わった。
取材・文=岩下雄太