レッドソックス・吉田正尚(写真=GettyImages)

 現在、メジャーリーグは地区シリーズの真っただ中。同シリーズが終わると、リーグ優勝決定シリーズ、そしてワールドシリーズへと続いていく。

 今年のポストシーズンには日本人選手も多く出場。4チームから合計8人がポストシーズン進出の美酒を味わった。しかし、このうちダルビッシュ有と松井裕樹が所属するパドレス、そして吉田正尚が所属するレッドソックスはワイルドカードシリーズ(以下、WCS)で無念の敗退を喫した。

 来季に向けてその存在感をアピールしたかったのが吉田だろう。

 吉田は、2022年オフにオリックスからレッドソックスへ移籍。5年総額9000万ドル(当時のレートで約123億円)という大型契約を結んだ。

 1年目は7月ごろに首位打者争いに絡む活躍を見せたが、8月以降に失速。2年目はわずか108試合の出場にとどまり、打撃成績も軒並み下げた。

 さらに吉田の評価急落となった原因がその守備力。身体能力の高い選手がそろうメジャーリーグにおいて、吉田の守備範囲の狭さと肩の弱さは大きな弱点として浮かび上がった。

 そして迎えた3年目の今季は、前年オフに受けた右肩の手術からの回復が遅れ、開幕に間に合わず。それどころか守備に就けないことがネックとなり、今季のメジャー初出場は遅れに遅れて7月上旬となった。

 吉田の月間打率を7月から9月まで順番に並べると、.239→.214→.333。8月までは打率2割台前半に低迷し、内野ゴロの多さから「二ゴロマシーン」などと揶揄されたが、9月に入ってからは一気に挽回。レギュラーシーズン終盤は中軸の4番を任される試合も多かった。

 さらにライバル・ヤンキースとのWCSでは全3試合に出場し、7打数4安打、打率.571と、苦しむレッドソックス打線において一人気を吐いた。

 第1~2戦は、相手先発投手が左腕ということもあり、スタメンを外れたが、2試合続けて代打で起用され3打数2安打。特に第1戦は値千金の逆転タイムリーを放ち、第2戦でも一塁へのヘッドスライディングで気迫を見せた。

 孤軍奮闘ともいえる活躍で吉田の評価は間違いなく上昇したが、今季のレギュラーシーズンにおけるOPSは過去3年で自己ワーストであることも事実。ケガの影響があったとはいえ、やはりDH専任の選手としては長打を打てなさすぎる。

 今季は205打席で、4本塁打しか記録できず、500打席換算で9本塁打。DHとしてはあまりにもさみしい数字だ。また、WCSで放った4本の安打も全て単打で、やはり長打力を発揮できない部分が大きなネックとなっている。

 もし地区シリーズに進出していれば、吉田本人にとってもさらなるアピールの機会となったはずだが、それも叶わなかった。また、今季絶えずトレード話が浮上していたように、球団も吉田を放出し、長打が期待できる選手をDHに起用したいのが本音だろう。

 ポストシーズンの活躍で若干トレード価値は上がったものの、このままでは吉田に触手を伸ばす球団が現れるかは微妙なところだ。

 吉田の高額サラリーがネックとなって、トレード話もなかなかまとまらないようなら、5年契約の残り2年間は飼い殺し状態になる恐れも……。年齢的にベテランの域に差し掛かる吉田には来季、4年目の逆襲に期待したい。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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