今季8年ぶりに最下位に終わったロッテは、5日に今季のレギュラーシーズンを終えたばかりだが、3日後の8日からZOZOマリンスタジアムで秋季練習が始まった。
打撃練習を見ていると、シーズン最終盤から2箇所のケージで行っていた打撃練習を1箇所で行っている。その理由について栗原健太打撃コーチは「1箇所だと走塁が集中してできるので、そういうのもあります」と教えてくれた。
昨年の秋季練習では“インコース、アウトコース、全て反対方向の意識”で打撃練習を行い、その狙いについて当時、福浦和也現二軍監督は「基本的にバットが外回りしないことが1つ。内側から入っていくイメージですね。インコースの真っ直ぐに遅れないタイミングでインコースの真っ直ぐを反対方向に打つタイミング、より早く捉えないと打てないので、インコースの真っ直ぐを強くというのは。バットの内側に出ないと打てない」と説明していた。
この秋の打撃練習を見ていると、初日の8日の打撃練習では愛斗、石川慎吾といった右打者がセンターから反対方向に打っていたが、藤原恭大は引っ張った打球が多かった。
藤原は「監督に確率良くホームランを打つようにしようと言われているので、引っ張ってホームラン打てる角度、ホームラン打てるボールを見極めながらやっています」と語った。
選手ここによってテーマを与えて打撃練習をしているのだろうかーー。
栗原コーチは「そうですね、藤原、安田、(西川)史礁、(上田)希由翔とかは、強く遠くにというのはサブロー監督とも話しているので、はい」と明かし、「秋季練習、秋季キャンプと期間があるので、色々それだけじゃなくて、クールごとに意識を持ってやっていく感じですかね」と続けた。
ただ、打撃練習を見ていると、右打者で言えば、センターから反対方向に打っている選手もいる。選手によっては、状況に応じたバッティングも課しているのだろうかーー。
「ケースバッティングとか状況に応じたバッティングが大事になってくる。とにかくただ打つだけではなくて、目的意識を持ってやるように選手たちにはいっていますね」。
練習後に選手とその日の練習のフィードバックを行ったりしているのか訊くと、栗原コーチは「個々によっては違うので、まずどういう意識を持ってやっていくか話を聞いて、こちらが思っていることと選手が思っていることを擦り合わせて、違う方向になっていないかというので、やっていこうかなと思いますね」とのことだ。
秋季練習2日目の9日は個別練習で髙部瑛斗、安田尚憲、山口航輝、上田希由翔、寺地隆成の5人が打撃練習を行った。ケージで打撃練習するだけでなく、股割りティー、チューブを使った素振りなどを行い、最後はロングティーで練習を締めた。
栗原コーチが、「個別に関しては、あんまり休憩している時間をなくすというか、あんまりダラダラ休憩している時間があると勿体無いので、何かやれること、チューブ引っ張ってやったりしていました。とにかく下半身強化が主になるんですけど、股割りティーにしても、それを入れてとこうかなという感じですね」と説明したように、選手たちは休むことなく、バットを振り込んだ。
ロングティーに関しては「最後は締めですよね。体を大きく使って、強く遠くにというので(メニューに)いれています」と意図を教えてくれた。
ロングティーでは他の選手たちが練習を終える中、山口が他の選手よりも長く打っていた。栗原コーチは「個別が5人いたのでじゃんけんさせて、一番勝った人が1人で打つと選手たちが決めていたので、それが山口だったということですね」と明かした。
打撃部門ではチーム打率.241、73本塁打、441得点はいずれもリーグ5位に終わった。単純な打撃能力を上げるだけでなく、進塁打、バント、状況に応じたバッティングなどの精度アップも求められる。
栗原コーチは「個々のレベルアップ、今よりもしてくれたら来年良い戦いができると思う。それにはシーズンを通して一人ひとり課題が見つかったと思うので、秋季練習、キャンプで少しでも克服できるようにサポートしていきたいと思います」と誓った。この秋は始まったばかり。選手たちにとって厳しい練習の秋になるが、これを乗り越えた先に明るい未来が待っているはずだ。
取材・文=岩下雄太