“Vision2025”を掲げながら、今季56勝84敗3分の最下位に終わったロッテは、2026年に向けて大きく動き出している。
吉井理人監督が今季限りで退任し、来季は23年からロッテの二軍監督、今季途中から一軍ヘッドコーチを務めていたサブロー新監督のもと、巻き返しを図る。8日にZOZOマリンスタジアムで行われた就任会見でサブロー監督は、「今年ダントツの最下位ということで、難しいチームづくりになるとは思いますけど、甘さを取り除いて厳しい練習をして来シーズン若い選手が多いチームなので、羽ばたけるようなチームにしたいなと思います。」と力強く意気込んだ。
就任会見が終了すると、すぐに秋季練習を開始。投手陣では5年連続規定投球回に到達した小島和哉、11月15日と16日に行われる『ラグザス侍ジャパンシリーズ2025』の日本代表に選出された種市篤暉といった主力選手が参加し、野手陣は高卒7年目で初の規定打席に到達した藤原恭大、新人ながらリーグトップの27二塁打を記録した西川史礁、球団の高卒2年目までの選手では21世紀初となるシーズン100安打を達成した寺地隆成ら若い選手たちが中心に、秋季練習に参加している。
秋季練習2日目となった9日は、ウォーミングアップの後、野手陣はランニングメニューをこなし、その後は走塁練習、守備練習、守備練習も内野手はファーストとセカンドのノックを江村直也コーチが打ち、サードとショートのノックは根元俊一コーチが打つなど、秋季練習は参加人数が少なく、待ち時間がほとんどない。すぐに自分のノックの順番が回ってくる。朝から足が動きっぱなしだ。
守備練習が終わると、打撃練習だが、1箇所のケージで行い、塁上で打球に合わせて走塁練習、ティー打撃、マシンを相手にバント練習をローテーションで回す。個別練習では打撃、守備(捕手、内野、外野)に分かれて行い、この日個別練習が打撃練習だった寺地は、打撃練習終了後に休むことなく防具を着け、江村コーチとマンツーマンで守備練習を行っていた。
とにかくハードな秋季練習を予感させるスタートとなった。10日には球団から秋季キャンプの日程が発表され、みやざきフェニックスリーグは10月27日まで開催されるが、2日後の10月29日から宮崎で秋季キャンプがスタート。参加メンバーは発表されていないが、秋季キャンプは11月17日まで行われ、秋季練習、フェニックスリーグに参加する選手たちは、1ヶ月半休むことなく体を動かし続けることになる。
このオフは美馬学が現役を引退し、荻野貴司、澤村拓一、石川歩といった長年チームを支えてきたベテラン選手たちが退団。今季昭和生まれの選手が5人いたが、現時点で昭和生まれの選手は角中勝也のみ。国吉佑樹、西村天裕、二木康太など来季の契約を結ばない30代選手も多く、一気に若返りが進み、チームとして“転換期”を迎える。
小島は「チームとしても(今年の順位)現実を受け止めないといけないですし、自分の成績も悪かったので、それもしっかりと受け止めないといけない」と話し、「自分も歳も上の方ですし、引っ張っていかないといけないという自覚がある。行動、姿勢で見せられるようにしないといけないと思います」と自覚を示した。
今季初めて規定打席に到達した藤原は、来年の5月で26歳。若返りが進むチームの中で、引っ張る立場になってきた。「僕より若い選手が多いので、中堅という立ち位置かわからないですけど、それくらいの気持ちを持って背中でもそうですけど、引っ張っていけるようにやっていきたいと思います」と頼もしい言葉が返ってきた。
今季最下位に終わったが、投手も野手も若手・中堅選手たちが経験を積んだ。秋の猛練習で心も体も鍛え、来季は歓喜の秋を迎えたい。
取材・文=岩下雄太