「今年の成績見ても、そんなに休んでいられないのは当たり前」。
ロッテの石川柊太は、8日から始まったZOZOマリンスタジアムで行われている秋季練習に参加している。昨オフにソフトバンクからロッテにFA移籍した石川柊は、移籍1年目の今季は19試合・103回1/3を投げ、4勝7敗、防御率4.62だった。
これまでロッテを取材してきて、秋季練習に実績のある30代以上の投手が参加しているケースはほとんどなかった。今年の秋季練習では5年連続規定投球回に到達した29歳の小島和哉、11月15日と16日に行われる『ラグザス侍ジャパンシリーズ2025』の日本代表に選出された27歳の種市篤暉も参加しているが、昨年は小島と種市はZOZOマリンスタジアムで行われた秋季練習メンバーには入っていなかった。それだけに、FAで今季から加入した選手が、秋季練習に参加していることに驚いた。
石川柊太は、「新体制になって、サブローさんが考えるチーム方針とかあると思うので、秋季練習に選択肢とかじゃなくて、出ない理由の方が少ない。ランニングをしっかりやって課題もいろいろある中で取り組んでいます」と説明。
「いっても(今季は)100イニングくらいしか投げていない。体を休める必要もないのかなと。野球人生が終わってから休めばいいことですし、マリーンズ1年目というところで、いろんな意味でやらない理由、(秋季練習に)来ない理由はないのかなというところですね。環境がここなのか、自分でやるかだけなので、何も変わらないのかなと。監督が変わったことでコミュニケーションも取れますし、そういった意味でプラスしかない」と前向きにトレーニングに励む。
この秋、石川自身が課して取り組んでいることについて訊くと、「出力が出ていなかったところが自分の中ですごく問題なので、メカニック的なところでの調整もそうですし、体づくりを今一度やっていかないといけない」と話し、「課題的にはチームとしては例えばクイックとかを取り組んで、チームで決められたこと以前にマウンドで自分が有利に戦うひとつの要素。そういうところを詰めていかないと勝つのが難しくなってくる。一つ一つのところ、甘いところを見直して取り組んでいくのが課題という感じですね」と続けた。
「怪我はダメですけど、怪我を怖がってしまっては壁を破れなかったりする。自分も歳をとってきてもうひと踏ん張りというところで、こういう環境でやれるのは大きいこと。環境に感謝してやっていくというところですかね」。
FA移籍1年目の今季は悔しい結果に終わったが、このオフベテラン選手たちが相次いで退団し、若返りが進む中で、実績があり、経験のある選手の力は必要だ。特に石川柊太はソフトバンク時代に何度もリーグ優勝、日本一を経験し、優勝の難しさ、喜びを知っている数少ない選手。来季マリーンズが優勝争いに加わった時に、“勝ちを知っている経験”は間違いなく大きな力になる。環境に慣れた2年目の来季、本領発揮するための準備ははじまっている。
取材・文=岩下雄太