初回に5点ずつ取り合う予想外の展開から一転、膠着状態が続いたCSファーストステージ第2戦。延長で巨人に勝ち越し点を許しながらも、その裏に2アウトからサヨナラを決めたDeNAが、王者・阪神との挑戦権を勝ち取った。
ゲームのハイライトは11回裏の石上泰輝のヒットに盗塁、林琢真の同点打、蝦名達夫のサヨナラだが、指揮官はその前の坂本裕哉の熱投にフォーカスした。
11回表、1死1-3塁のピンチでマウンドに上った坂本は、オコエ瑠偉に四球を与え満塁とし、続く佐々木俊輔にボテボテのファーストゴロで勝ち越しを許す。しかしそこから若林楽人をスプリットチェンジで空振り三振、泉口友汰をセカンドフライに打ち取り最少失点差に食い止めた。
三浦監督も「1点取られた後、坂本があの後しっかりと1点で凌いだことが、その裏に繋がったと思います」と劇的勝利の重要なポイントと指摘。「打ち取ったのにコースヒットでしたからね。もちろん点を取られた時は『あー点取られた』と思うかもしれないですけど、すぐに切り替えて次の打者に向かっていきましたからね。そのあとしっかりと後続を打ち取って、最少失点で切り抜けてくれました」と最敬礼した。
坂本は「オコエを三振にとって、1点もやらずにイニングを終えようと思ったんですけど、ああいう形になってしまって…。もし野手が点を取ってくれなかったら、僕はただ点を取られただけの人だった。本当に野手の皆さんに感謝です」とまず反省。しかしそのあとは「点を取られたげれども不運な当たりだったので、切り替えはスパっとできました」とメンタルをセットし「最少失点で抑えれば、味方がなんとか打ってくれると思いました。ここで食い止めないと、明日三戦目となったらそこにも響いてくると思ったので、とにかく次の1点は絶対にやらないぞという気持ちで投げました」とチーム全体の影響を考え、冷静に後続を断ったと振り返った。
次は敵地で阪神に立ち向かう戦いが待っている。「去年の経験もありますし、自分ではポストシーズンは得意だと思っています。任されたところでは、もう点を取られることがないように頑張っていきたいです。チームが勝ちに直結する場面で貢献したいです」と目を光らせた。
昨年のCSは全5試合中4試合に登板し、防御率0.00と回答を披露した坂本裕哉。ブルペン陣唯一の左腕として、昨年同様マウンドを支配する。
取材・文 ・ 写真/ 萩原孝弘