ロッテ・石川慎吾(撮影=岩下雄太)[撮影=2024年10月8日]

 「今年のシーズンは見ての通りなので、それが実力ですし、あったことを反省して次にどう活かすかが大事になってくる」。

 ロッテの石川慎吾は移籍3年目の今季をこのように総括した。

 今季は開幕を二軍で迎え、ファームで18試合に出場して打率.380、5打点をマークし、5月7日に一軍登録。同日の楽天戦、『4番・指名打者』で出場すると、0-0の初回一死一、二塁の第1打席、「早い回にチャンスで回ってきたので、自分自身ラストチャンスと思っていきました。結果的にヒットになって点が入ったので良かった」と、藤井聖が2ボールから投じた3球目のチェンジアップをレフト前に適時打を放った。

 ただ、5月放った安打は2本で、6月13日に一軍登録抹消。7月1日に再昇格を果たしたが、3試合に出場したのみで7月11日に一軍登録を抹消された。

 その後、一軍昇格はなかった。外野の競争が熾烈で、髙部瑛斗、藤原恭大、西川史礁、山本大斗といった若手・中堅の活躍が目立った。「自分のコントロールできることに100%フォーカス置いてやってきたので、他人どうこうというのは正直ないですね。単純に結果を残している若い選手のこともリスペクトしていますし、すごいなと思います。そこに自分もなんとかチームの力になれるようにと思ってやってきましたけど、このザマなので」。

 その言葉通り、7月26日のDeNA二軍戦、0-0の5回二死一塁で、佐藤都志也の初球、佐々木千隼のモーションを完全に盗み二塁盗塁を決めた。石川慎は走塁について「チームとして課題だとやっているところなので、足が遅いから、走塁やってきていないからというのではなくて、チームとしてやろうということなので、そこに対して全力で取り組めたらなと思います」と話した。

 持ち味である右方向の打撃も素晴らしく、9月11日の楽天二軍戦、9月12日のオイシックス戦でライトへ本塁打を放った。石川は「右方向の打球は僕の持ち味でもあるので、そこは消さずにやっていけたらなと思います」と語った。

 石川は巨人からトレードでシーズン途中に加入した23年、同年7月6日の西武戦、巨人時代の本拠地・東京ドームで移籍後初出場を果たし、スタンドから大歓声が送られる中、センター前に移籍後初安打を放つなど、夏場以降チームに欠かせない存在となり、同年は打率.348、出塁率.381、得点圏打率.474、左投手の打率.373と勝負強さを誇った。その時のような活躍をチームもファンも待っている。

 「サブさん、ファームでも結構長いことやらせてもらいましたし、コミュニケーションも頻繁にとらせてもらいますけど、芯をしっかり持っている方ですし、どういう野球をしたいのかというのをいち早く察知してお世話になった分、しっかり男にできたらなと思います」。来季は、サブロー新監督を“男”にすべく、バットで貢献していく。

取材・文=岩下雄太

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