ドジャース・山本由伸(写真=GettyImages)

 ドジャースが2年連続世界一を達成し、幕を閉じた2025年のメジャーリーグ。ワールドシリーズで3勝を挙げるなど、チームを牽引した山本由伸が、ナ・リーグのサイ・ヤング賞最終候補3人の中に名前を連ねた。

 今季は東京で開催された開幕戦先発を務め、戦線離脱することなくフル回転。最終的に、レギュラーシーズンは30試合に登板し、12勝8敗、防御率2.49と、ファイナリストにふさわしい数字を並べた。

 しかし、チームへの貢献度を示すrWAR(Baseball Reference版)を見ると、山本の5.0は、ナ・リーグ全投手の中で7位。同じくサイ・ヤング賞の最終候補入りを果たしたクリストファー・サンチェス(フィリーズ)の8.0や、ポール・スキーンズ(パイレーツ)の7.6に比べると、やや物足りない数字といえるだろう。

 しかも、山本が記録した今季のWAR5.0は、歴代日本人投手の中でも7位止まり。ポストシーズンでは確かに強いインパクトを残したが、ことレギュラーシーズンに関しては上位2人に大きく離された3位という評価だろう。

 ちなみに日本人投手の歴代トップ10は以下の通りだ。

【日本人投手シーズンrWAR歴代トップ10】

1位 7.0 岩隈久志(2013年マリナーズ)

2位 6.2 大谷翔平(2022年エンゼルス)

3位 5.6 ダルビッシュ有(2013年レンジャーズ)

4位 5.4 松坂大輔(2008年レッドソックス)

5位 5.3 黒田博樹(2012年ヤンキース)

6位 5.2 田中将大(2016年ヤンキース)

7位 5.0 山本由伸(2025年ドジャース)

8位 4.7 野茂英雄(1996年ドジャース)

9位 4.7 野茂英雄(1995年ドジャース)

10位 4.6 ダルビッシュ有(2022年パドレス)

 やや抜けた1位は、2013年に7.0を叩き出した岩隈久志。2015年に達成したノーヒッターがファンの記憶に深く刻まれているが、実はメジャー2年目の13年に圧巻のパフォーマンスを披露していた。

 同年は14勝6敗の好成績で、防御率2.66はリーグ3位。rWARに至っては、ア・リーグ投手の中で2位クリス・セールの6.5を退けてトップだった。しかし、勝利数が伸び悩み、代わりに21勝3敗のマックス・シャーザー(当時タイガース)が30人中28人の1位票を獲得しサイ・ヤング賞の栄誉に輝いた。

 12年前の岩隈でさえ逃したサイ・ヤング賞。山本には日本人投手初の偉業達成が期待されるが、それは来季以降に持ち越しとなりそう。

 それでも、山本は来季開幕時にまだ28歳という若さで、ピークはまだまだ先だろう。数年以内に岩隈超えのWARを叩き出し、日本のファンにビッグニュースを届けてくれる可能性は十分あるはずだ。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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