ロッテ・岡大海 (C)Kyodo News

 ロッテの岡大海は今季、故障で離脱した期間はあったが、65試合に出場して、打率.274、2本塁打、18打点、OPS.726、得点圏打率.333の成績だった。

 「バッティングは打球スピードを意識しているのはありますし、昨年に引き続き引っ張った打球がゴロにならないように意識して取り組んでいます」。

 昨季はシーズン自己最多の420打席、104安打、44四球と23年の数字を上回り、本塁打と打点は23と全く同じ数字を記録した岡は、2025年シーズンに向けて、“スイングスピード”、“ライナーの打球を増やせるように”意識して自主トレに励んできた。

 春季キャンプは都城組でスタート。「いつもより実戦が遅くなるというのもあったので、フィジカル面をいつもより長くできたというのはありますし、自分ができる調整をさせていただいたかなと思います」。2月26日のオリックスとの練習試合から対外試合に出場したが、初打席から18打席安打がなかった。「やっぱり映像とか確認しながらやっていましたね」と、課題と向き合った。

 3月9日のソフトバンクとのオープン戦で初安打をマークすると、オープン戦は12試合に出場して、打率.265、1本塁打、4打点、尻上がりに調子上げ、開幕を迎えた。

 今季は開幕スタメンから外れたが、今季初スタメンとなった3月29日のソフトバンク戦、0-1の5回二死一、三塁で迎えた第3打席、「チャンスだったのでランナーを返す気持ちで打ちに行きました」と大関友久が3ボール2ストライクから投じた6球目のストレートをレフトスタンドへ一時逆転となる3ランを放てば、4-4の8回無死走者なしで迎えた第4打席、ヘルナンデスが2ボール2ストライクから投じた6球目のストレートをセンター前に弾き返しマルチ安打を達成。さらに4-4の10回一死二塁の第5打席、藤井皓哉が1ボール1ストライクから投じた外角のカットボールを逆らわずにライト前に決勝の適時打と、本塁打を含む3安打4打点の大暴れ。

 岡は4月5日終了時点で、打率450、1本塁打、6打点、OPS1.150、得点圏打率は.600と好スタートを切ったが、「まだ数試合なのでなんとも言えないです。2日のオリックス戦も三振をたくさんしていますし、なんとも言えないですね」と謙虚な姿勢を示した。

 3・4月の月間打率.241、5月は出場機会が減少し9試合に出場して打率.190も、交流戦最初のゲームとなった6月4日の巨人戦、4番・山本大斗がライトへ先制本塁打を放った直後の第1打席、「1打席目ですし、前のバッターの(山本)大斗がホームランを打ったので、なんとか流れを持って来れたらなと思って打席に入りました」と、先発・井上温大に対して2球で追い込まれたが、そこからボールを見極め、ファウルで粘り、3ボール2ストライクから9球目のスライダーを見送り四球を選び、続く藤岡裕大の一発につなげたのは見事だった。

 同日の巨人戦、3-0の3回二死一、三塁の第2打席、「なんとか追加点をという気持ちで打席に入りました。ランナーを返すことができて良かった」と井上が2ボールから投じた3球目の127キロスライダーをライト前に追加点となる適時打。

 この時期の岡はフライの打球が増え、打ち取られた打球もゴロアウトよりもフライアウトが多かった印象。6月11日の取材で岡は「フライでもちょっとうまく伝わっていないというか、弱くはないですけど、そういう打球が多いのでしっかり捉えた打球をしていきたいと思います」と話している。

 交流戦に入ってから若い選手のスタメン出場が増え、一軍にいる選手たちを見渡しても、30代以上の選手は数えるほどしかいなかった中で、岡は「とにかく若い選手には思い切ってやってもらいたいなと思いますし、迷いなく試合に臨めるようにサポートしていきたいなと思います」と年長者として若手選手たちを支えた。

 6月は月間打率.345、7月も月間打率.333と復調したが、故障により7月14日に一軍登録を抹消。8月22日のDeNA二軍戦で二軍公式戦復帰を果たすと、9月11日に再昇格。9月13日の楽天戦、0-2の4回無死走者なしの第2打席、「なんとか負けている段階だったので塁に出たい気持ちでいました」と、荘司康誠が1ボール2ストライクから投じた5球目のストレートを右中間を破る二塁打。この安打をきっかけにチームは打者一巡の猛攻で一挙6点を奪い逆転に成功した。

 9月24日の西武戦は『3番・センター』でスタメン出場すると、0-0の初回二死走者なしの第1打席、菅井信也が投じた初球の146キロストレートをレフト前に運び、先発出場した試合では6戦連続安打となった。3-0の5回一死満塁の第3打席、「前の打席でやられていたのでなんとかこの打席ではランナーを還したいと思っていました。追加点を取りたかったですし打てて良かったです」と、菅井が1ストライクから投じた2球目のチェンジアップをセンター前に2点適時打。この日は2安打2打点の活躍で勝利に貢献した。

 故障前も打ち、復帰後もコンスタントに安打を放っていたが、9月23日の取材で打撃の状態について「う〜ん、特別良いわけではないと持っていますし、悪いとも思っていない状況で、しっかりその日その日、整理して打席に入れているかなとは思っていますけどね」と自己分析。

 復帰前と変わらず安打を積み重ねている姿は、故障から一軍復帰までの間、かなり良い過ごし方をしたのではないだろうかーー。

 「一番は打ち損じを少なくと言いますか、そういう部分もありますし、強いあたり、ずっと言っていますけど引っ張った打球だったり、ゴロにならないように意識して取り組んでいますね」と、ゴロにならないバッティングを心がけてきた。

 また、岡が故障で離脱している間、西川史礁をはじめとした年下の若手、中堅の野手が一軍の試合に多く出場していた。若い選手の活躍に岡は「本当にみんな成長している部分もありますし、自分自身も日々よくしていかないといけないなと思っています」と刺激を受けた。

 岡は9・10月も打率.297と安定した成績を残し、シーズンを終えた。チームは最下位に終わり、ベテラン選手たちの退団が相次ぎ、若返りが進んできた中で、ベテランの力は必要。来季も欠かせない存在を発揮してほしいところだ。

取材・文=岩下雄太

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