ブルペンで投球練習するロッテ・東妻勇輔(撮影=岩下雄太)※撮影2024年

 ロッテの東妻勇輔は今季、6試合に登板して、1ホールド、防御率6.75と、2年連続で悔しいシーズンとなった。

 東妻は25年に向けた自主トレは「全てにおいて基礎体力、筋力とかが落ちている気がしていて、まずはフォーム云々よりも基礎的なところからやらないとなというのはあった。球速を上げたいがために体重を増やしていたんですけど、もう1回減らして、痩せて筋量も増やしてどうなるかというのを試しながらやっていました。キレという面では去年より出ているのかなと思っています」と体力向上を図った。

 2月の春季キャンプは都城組でスタートも、2月18日の糸満キャンプから合流すると、練習試合、オープン戦に6試合に登板。3月7日のソフトバンクとのオープン戦から3試合連続無失点に抑えていたが、開幕を二軍で迎えた。

 シーズン序盤、ファームでスライダーが冴え渡り、空振りを多く奪った。

 「右に対してはスライダーが絶対的に自信のあるボール。それでどんどん空振りが取れているので、どんどん投げ込んでいる状態ではあります。左に対しても今年は何球かインコースにスライダーがうまいこと使えているので、それが三振増えている理由かなと思います」。

 4月5日のDeNA二軍戦では、3-0の7回無死一塁から加藤響を3ボール2ストライクから128キロのスライダーで空振り三振、3-0の7回二死三塁から上甲凌大を2ストライクから3球目のスライダーで空振り三振に仕留めた。

 「去年とかに比べたらスライダーが自分の投げたい軌道になってきたかなというのはあります」と自己分析しながらも、「今からだと思うので、正直」と、スライダーで空振りが取れるかがポイントと見ていた。そう明かす理由について東妻は、「いつもキャンプが終わって4月、5月はスライダーがいい感じで投げられているんですけど、ここから疲れてきたり、体が変わってきたりで、多分曲がり方が変わってくると思うので、そこがキープできるかがこの先の課題かなと思います」と説明した。

 「やることは変わらないので、自分のやれること、やれる場所というのも一軍に上がってからじゃないとわからないですし、どこを任されてもできるようにオールマイティーに準備していました」といつ一軍から声がかかってもいいように準備し、ファームで15試合・16回2/3を投げ、0勝1敗、防御率0.54の成績を残した。5月13日のくふうハヤテ戦から7試合連続無失点に抑え、満を持して6月19日に今季初昇格を果たした。

 今季初登板となった6月21日のDeNA戦、0-5の8回に登板し、先頭の筒香嘉智に「去年も打たれていたので、悪いイメージがあったので甘いところに入らないで行こうと思ったら余計に外に逃げていっちゃいました」と四球を与えてしまう。「外にツーシームで。狙ってはいたんですけど、思い通り行きすぎた感じだったので、たまたまかなと思います」と、続く戸柱恭孝をツーシームで遊併。

 梶原昂希は2ボール2ストライクから投じた7球目の128キロスライダーで空振り三振に仕留めた。5月29日の取材で「左に対しても今年は何球かインコースにスライダーがうまいこと使えているので、それが三振増えている理由かなと思います」と話していた中で、一軍のマウンドで左打者からスライダーで空振り三振を奪った。

 「ファームでやってきたことが一軍一発目で出せたので、自信とまではいかないですけど、使える球になったのかなというところはありますね」と振り返った。

 6月24日の巨人戦、6-3の6回に今季初めて勝ち試合の場面で登板し、ホールドを挙げたが1失点。それでも、「任されている場面はビハインドのそういう場面だと思うんですけど、やることは変わらないです。ゼロに抑える、どの場面でもゼロに抑えるのが一番だと思うので、場面気にせず、ゾーンで勝負して、ピンチでいっている時はピンチをとめるような、ビハインドで投げるんだったら、チームに流れがくるようなピッチングを心がけて頑張っています」と、7月1日の楽天戦から3試合連続無失点に抑えた。

 投球の割合を見ると、スライダーとツーシームが多かった。投げている場面が走者を置いた場面での登板が多かっただけに、自信のあるボールを優先していたのだろうかーー。

 「今も僕はどっちにしても真っ直ぐがシュート回転するので、だったら自分で動かせたほうが計算ができる。そういうところも含めて、自分で動かしに行っているというほうが正しいかもしれないです」。

 7月9日の日本ハム戦で1回を投げ3失点、翌7月10日に一軍登録を抹消され、その後一軍に昇格することなくシーズンを終えた。開幕からファームで安定した投球を披露しながらも、なかなか一軍昇格の機会が訪れなかった中で、交流戦の最終盤で巡ってきたチャンスをモノにすることができなかった。若手の台頭がある中で、30歳を迎える来季は意地を見せたい。

取材・文=岩下雄太

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