ロッテの茶谷健太は昨季まで2年連続で開幕から一度もファームに落ちることなくプレーしたが、今季は開幕一軍を逃すなど43試合に出場して、打率.222だった。
茶谷は昨季打率.167に終わり、2025年シーズンに向けて「下半身を使う、下半身を強くする。下半身主導で。下半身で力強さをもう1回取り戻せるようにやっています」と“下半身の強化”を図った。
シーズンオフには「ちょっとバッティングフォームを一から作り直そうと思って、結構変えました」と打撃フォームを変更。石垣島春季キャンプの取材で、「意識するところを変えて、打ちにいく方向とか、打ちにいき方は一緒なんですけど、フォームでこっちの方がちょっと力入るなとか、色々試しながらオフシーズンやってきたものをまだうまくできてないんで、そこをどんどんもっと突き詰めてやっていくしかないなと思います」と話していた。
それは去年を振り返った中で、変えた方がいいと感じたのだろうかーー。
「そうですね。なんか変えなきゃと。去年は同じことを継続してという感じだったんですけど、同じことやっていても毎年変わるものは変わるのかなとかあるので」。
打撃練習ではここ数年、センターから逆方向を意識してきた。2月4日の取材で「昨日はちょっとポイント前にしてみたいな感覚があったんですけど、今日は特に体を閉じてセンター方向に打ちに行くようにというのを意識して、打ちにいくことは継続してやっています」と教えてくれた。
対外試合に向けて「しっかり出た時に、結果を残せるように1日1日大切にやっていきたいです」と決意を述べるも、2月の練習試合の出場は4試合、オープン戦も3月22日の巨人戦のみで、大半をファームで過ごした。
これまでは練習試合、オープン戦に一軍に帯同するも、競争の兼ね合いでベンチスタートの日もあり、打席数をなかなか確保できずにいた。今季は開幕を二軍で迎えたが、「この打席はこうしてみよう、ああしてみようと、打席の中でテーマを持って毎打席やる流れでしたのでやっていました」と、打席に立つことで自身の状態を把握することができた。
ただ、2年連続開幕一軍スタートだった中で、開幕をファームで迎えたことについて「結果が残せていなかったので、悔しいのはもちろんあるんですけど、しょうがないなと。結果が残っていないのが全てなので」と淡々と話した。
ファームでの打率は.227だったが、「二軍の数字は残っていないですけど、いい当たりが増えてきているかなと思います」とファームで4試合連続安打中という中で、4月5日に一軍昇格。
『8番・ショート』で今季初スタメン出場となった4月18日の楽天戦、1-0の5回二死一塁の第2打席、楽天先発・早川隆久が1ボール2ストライクから投じた7球目のカーブを、ライト前に落とし、今季初安打を放った。
5月は代走、守備固めが中心でなかなか打席に立つことがなかった。それでも、試合前の練習では「実戦に近い速いマシンを見たり、打ったり、できることはそこしかない」と、とにかく今できることを行い、いつ出番が来てもいいように準備した。
5月初打席となった21日のオリックス戦、0-0の3回一死二塁の第1打席、宮城大弥が3ボール2ストライクから投じたストレートを見送り四球を選ぶと、続く0-0の5回二死走者なしの第2打席、宮城が2ボール2ストライクから投じた5球目のストレートを二塁打。さらに1-3の7回二死一塁の第3打席は、宮城が1ストライクから投じた2球目のスライダーをライト前に運び、久々のスタメン出場、打席機会で全打席出塁した。
翌22日も、0-0の3回無死走者なしの第1打席に四球を選ぶと、0-0の5回二死一塁の第2打席、「繋いでいこうという気持ちでいったことがああいう結果になってくれたと思います。しっかり振りぬくことができました」とオリックス先発・田嶋大樹が3ボール2ストライクから投じた8球目のカットボールをレフトフェンス直撃の適時二塁打。
3-0の7回二死一、二塁の第3打席、「追い込まれていたのでコンパクトにセンター方向のイメージで打ちに行きました。ランナーを返すことができて良かった」と、川瀬堅斗が1ボール2ストライクから投じた5球目のストレートをセンター前に適時打を放ち、2試合連続のマルチ安打を達成した。安打が出ている理由について「強い打球が打てているのかなと思います」と話し、新しい打撃フォームについても「自分が気になっているところが少しずつ確率が上がってきているのかなという感じがします」と手応え。5月は月間打率.500、2打点と打ちまくった。
6月に入るとスコアボードに“H”ランプを灯すことができず、7月7日に一軍登録を抹消。ファームでは33試合に出場して、打率.327(113-37)、1本塁打、10打点としっかり打ち、9月11日に再昇格。9月22日の日本ハム戦、守備から途中出場し安打を放ったが翌日に一軍登録を抹消された。今季は43試合に出場して、打率.222、2打点という成績だった。
内野は全部のポジションを守れ、バッティングでも好不調の波はあるが、これまで他の選手に比べてチャンスが少ないことが多かった中で、与えられたチャンスをモノにしてきた。若い選手が増えてきた中で、来季はもう一度存在感を放ちたい。
取材・文=岩下雄太