ロッテ・中村稔弥はプロ7年目の今季もロングリリーフを中心に、15試合・20回を投げて、0勝0敗、防御率3.15だった。
中村稔は昨シーズン終了後にZOZOマリンスタジアムで行われた秋季練習で、「体力強化と真っ直ぐの質を上げるのと、もう1個新しい変化球を覚える練習したい」をテーマに練習に励み、25年に向けた自主トレは「とにかくまずは体力。ランニング」と徹底的に走り込んだ。
昨季終了後に「シーズン最終盤になると真っ直ぐの球速も落ちてきていた。終盤もしっかり強い球が投げられるように、やっていかないといけない」と課題を口にしていたが、「それはランニング、ピッチングとかも全部そうなんですけど、量をこなしていけば、自然と体力がついてくると思うので、このキャンプは投げ込み、しっかりして走り込みもして、体力をつけて、何イニング投げてもバテないような体を作っていきたいなと思います」と石垣島春季キャンプでも継続して走り込み、投げ込みを行った。
「体を絞った状態で、そこからスライダーの習得をやってきた。練習しなかったら、いつまで経っても投げれないと思うので、このキャンプでもちょっと多めに今日(2月4日)も投げていました。何か少しでもきっかけがつかめていけたらいいなと思います」と、自主トレ、石垣島春季キャンプでスライダーを磨いた。
「練習試合、オープン戦では、自分がやってきたことをしっかり出したいんですけど、僕の立場的には最初から結果を残さないといけない。結果にはこだわりながら、自分でもやってきたつもり。そこをしっかり出していければなと思います」。
対外試合初登板となった2月20日のDeNAとの練習試合では無失点に抑えながらも、2回・44球、4被安打されたが、2月24日の巨人とのオープン戦は1回を危なげなく、3人で片付けた。3月2日のソフトバンクとの『球春みやざきベースボールゲームズ』では、0-9の8回に登板すると、1イニング目となった8回は打者3人にわずか9球で終えると、2イニング目となった9回もテンポの良い投球で三者凡退に抑えた。
しかし、3月8日のソフトバンクとのオープン戦で1回3失点、3月12日の日本ハムとのオープン戦で1回1失点とピリッとせず、この登板を最後にファームで過ごした。
ファームでは「無失点に抑えることしか考えていなかったです」と、5月7日の西武二軍戦から5月24日の楽天二軍戦にかけて6試合連続無失点に抑えた。
オフから磨いてきたストレートに関して、「ボチボチですね。ファウルを取りたいなと思っています」と話し、武器であるツーシームについては、「いい感じで最近は投げられていますね」と、6月8日の日本ハム二軍戦、6-1の7回二死走者なしで平田大樹を2ボール2ストライクから空振り三振に仕留めたインコースツーシームは素晴らしかった。
6月5日のオイシックス戦、6月8日の日本ハム二軍戦では、90キロ台の遅いカーブも投げていた。昨年8月28日の取材で「今速いカーブの方がストライクが取りやすいので、そっち(ハーマンカーブ)を使っています」と、90キロ台のカーブを封印していたが、再び投げるようになった理由について「いろんな球種を試していたんですけど、カーブってやっぱり狙っていないボールだと思うので、そこでストライクが取れればでかいなと思って投げていました」と説明した。
6月12日に今季初昇格を果たすと、14日のヤクルト戦で今季初登板し1回を無失点。初登板から3試合連続無失点に抑えたが、7月9日の日本ハム戦、7月16日のソフトバンク戦で2試合連続失点。登板間隔が空いて調整が難しい中でも、7月26日の日本ハム戦は1回無失点。
「最近ちょくちょく投げています」と、0-5の8回一死三塁でレイエスを1ボールから2球目の131キロのスライダーで三ゴロを打ち取ったスライダーは非常に良かった。
7月30日の楽天戦は、1-6の5回一死一、三塁で先発・石川柊太の後を受けて登板すると、堀内謙伍にレフト前適時打を浴びたが、代打・フランコを一邪飛、中島大輔を遊ゴロに打ち取る。走者を背負った場面で登板し、5回裏ロッテの攻撃終了後、イベントが行われ、5回裏攻撃終了から6回表が始まるまで少し時間が空くが、それでも抑えるのが中村稔弥の凄さである。
「しっかり抑えようというのを大前提で投げました。(時間が空いて)難しいですけど、それが僕の仕事なので。気持ちを切らさずに先頭に入っていこうという気持ちで投げられました」。
イニング跨ぎとなった2-7の6回、先頭の宗山塁を二ゴロ、続く村林一輝を空振り三振、ボイトに四球も黒川史陽を遊ゴロで無失点。その裏、打線が3点を奪い5-7となった7回もマウンドに上がった中村稔は、先頭の辰己涼介にライト前に運ばれるも、ゴンザレスを右飛、堀内を二直、田中和基を三ゴロで、2回2/3・44球を投げ、2被安打、1奪三振、1与四球、無失点の好リリーフだった。
翌7月31日に一軍登録抹消されたが、8月10日に再昇格。「ストライク先行は意識しています」と投球テンポが早く、ストライク先行の投球。8月22日の西武戦は2回を無失点に抑えれば、9月2日の日本ハム戦は、0-8の6回二死一、三塁で先発石川柊太の後を受けて登板し、1回1/3を無失点に抑えた。
9月16日に一軍登録を抹消され、その後、一軍に昇格することなくシーズンを終えた。先発投手がマウンドを降りた後のロングリリーフで今年も存在感を示したが、1年通しての活躍というところに今季も課題として残った。来季こそシーズン通して一軍で投げ抜きたい。
取材・文=岩下雄太