ロッテの佐藤都志也は、故障に泣いた1年となった。
昨季リーグ4位の打率.278をマークし、“打てる捕手”として存在感を発揮。シーズン終了後に行われた『ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12』の日本代表の一員として、日の丸を背負った。昨季終了後の取材では「キャッチャーをやっているので勝手にそうなってくると思う。変にチームを鼓舞することはないと思うんですけど、キャッチャーとして必要な声は出していかないといけないかなと思います」とチームの中心としての自覚を口にした。
石垣島春季キャンプでは、捕手陣のチーム最年長。「周りを見てもやっぱり下の方が多いです。外野手の最年長も髙部なので、僕らの年代ももう若手っていうか、もう引っ張っていかなきゃいけない存在になってくると思う」。
春季キャンプではチームを引っ張る頼もしい姿を見せていたが、2月13日のフリー打撃の際に右足に自打球を当てて、『右足第1指末節骨骨折』と診断され離脱。3月15日の日本ハム二軍戦に『3番・指名打者』で出場し実戦復帰を果たすと、3月18日の楽天とのオープン戦から一軍に合流し、『5番・捕手』でスタメン出場。3月21日の巨人とのオープン戦ではマルチ安打をマーク。0-0の2回一死走者なしの第1打席、戸郷翔征が1ボール1ストライクから投じた3球目の143キロストレートをレフト前安打、0-5の4回二死走者なしの第2打席、泉が1ボール1ストライクから投じた3球目の149キロストレートをレフト前安打は“らしい安打”だった。
なんとか開幕に間に合い、3月28日のソフトバンクとの開幕戦で「いい流れで回ってきたので初球から積極的に打ちにいき1発で仕留めることができたのでよかったです」と今季第1号2ランを放った。
最高のスタートを切ったが、打率.105と苦しみ、4月23日に一軍登録を抹消。「僕は一人キャンプをしています。キャンプしていなかった分、鍛えるところは鍛えて、一からやっています」。巨人とのオープン戦での逆方向への2安打、開幕戦で本塁打を放つなど、“らしい”当たりはあった。
ただ本人は、「全然、しっくりきていなくて、たまたまヒットになった感じがすごいしていて、気持ち悪い感覚だったので、全然わからなかったです」と5月7日の取材で明かしている。
「今は振ること、振れることを意識しているので、逆方向というよりもちゃんと打席の中で振りたい、やりたいことを常に意識してやっています」。
再昇格後、6月10日の広島戦で2安打し、復調の兆しを見せたかのように思えたが、再び故障で6月14日に一軍登録を抹消された。
7月26日のDeNA二軍戦、『2番・捕手』で実戦復帰を果たすと、7月29日に一軍昇格。7月30日の楽天戦、1-7の5回二死走者なしの第1打席、岸孝之が1ストライクからの2球目の外角131キロチェンジアップを左中間に破る二塁打を放つと、続く3-7の6回二死二、三塁の第2打席は「戦力になれて良かったです。前の打席に1本打って久々に凄い良いコールを聞けたので、この打席も声援に応えることができて良かったです」と2点適時二塁打を放った。
8月30日のソフトバンク戦、5-4の8回無死走者なしの第4打席、尾形崇斗が2ボール2ストライクから投じた4球目のストレートをライトスタンド最前列に開幕戦以来となるアーチを放つと、翌31日のソフトバンク戦、0-1の2回無死走者なしの第1打席、「後ろに繋ぐ気持ちで行って結果こうなったので良かったです」と、松本晴が1ボールから投じた2球目の132キロスライダーをライトへ2試合連続の本塁打。8月は月間打率.324(37打数12安打)、2本塁打、3打点と“打てる捕手”としての存在感を放った。
9月に入ってからも3日の日本ハム戦から3試合連続安打を放ち、7日の西武戦では1-0の3回二死一塁の第2打席、「追加点を取ることができて良かった」と篠原響が3ボール1ストライクから投じた5球目のスライダーを第4号2ラン。
佐藤は9月8日の取材で打撃について「良い感じでは打てているんですけど、タイミングの取り方は良くなっているかなと」と手応えを掴み、「バッティングはタイミングなので、タイミングをすごい上手く取れているのかなと思います。タイミングが取れていない時は打てていないですし、そこはタイミングをしっかり取れているのが、よくなってきているところかなと思います」と話した。
打撃の状態が上がらなかった5月に取材した時に「下半身を使ってスイングすること」を意識していると話していたが、タイミングを意識しているのだろうかーー。
「もちろんタイミングなんですけど、下半身で打たないと。調子が悪くなってくると手が先行しちゃうので、あまり手のことをふれずになるべく下半身を使って打てるようにバッティング練習からやっています」。
この取材後も打撃の状態を維持し、9月7日の西武戦から12日の楽天戦にかけて5試合連続安打。最終的には68試合に出場して、打率.207、4本塁打、18打点だったものの、オールスター明けは打率.266(124打数33安打)、3本塁打、12打点。
シーズン終了後の10月10日に『左足有痛性三角骨除去術』。今季は故障に泣いた1年になった。サブロー新監督となる来季、“打てる捕手”として、存在感を放つ1年にしたい。
取材・文=岩下雄太